水虫のメカニズムとは?水虫から「卒業」する正しい方法
- 作成:2021/07/14
気温が高くなってくると気になり始めるのが水虫。毎年のように悩まされている人もいらっしゃるのではないでしょうか。水虫のメカニズムを知ってしっかり対処し、今年こそ水虫からの「卒業」を目指しましょう。
この記事の目安時間は3分です
水虫とは?治療法にはどんなものがある?
水虫とは、足の皮膚や爪に「白癬菌」という真菌(カビの仲間)が感染することで起こる病気です。皮膚に痒みや赤み、めくれなどの不快な症状が現れるほか、爪が白く濁ってしまう原因になります。すぐさま生命に関わるような病気ではありませんが、白癬菌をきちんと退治する治療を行わないと、何度も水虫を繰り返すことになります。
白癬菌とは?
白癬菌は、皮膚糸状菌と呼ばれるカビの仲間で、主に「ケラチン」というタンパク質を栄養源として増えます。ヒトの皮膚(一番外側の角質層)や毛髪・爪などには「ケラチン」が豊富に存在するため、白癬菌にとって格好の住処なのです。
白癬菌に感染するとどうなる?
白癬菌に感染すると、皮膚に痒みが現れたり、小さなブツブツができたり、皮がめくれたりします。手や足で発症したものを「みずむし」、太ももの内側(股)で発症したものを「いんきん」、お腹や背中などで発症したものを「たむし」、頭で発症したものを「しらくも」と呼び、これらはいずれも白癬菌による皮膚感染症です。
水虫はどうやって治療する?
皮膚の痒みや赤み、めくれなどといった目に見える症状が治まっても、「白癬菌」が皮膚に潜んでいる限りは何度も症状をぶり返してしまいます。そのため、皮膚に感染している「白癬菌」を完全に退治し切ってしまうことが、水虫治療のゴールです。
白癬菌の退治に効果的なのが、「抗真菌薬」と呼ばれる薬。一般的な水虫であれば塗り薬で簡単に治療できますが、症状のひどいものや、爪が完全に白く濁ってしまったような爪の水虫、白癬菌が毛包の深くまで侵入してしまう「しらくも(頭部白癬)」では、飲み薬で治療する場合もあります。
抗真菌薬とは?
白癬菌は、カビや酵母・キノコなどと同じ「真菌」と呼ばれる生物の仲間で、細菌やウイルスとは全く異なるものです。そのため、細菌を退治する「抗菌薬(抗生物質)」や、ウイルスを退治する「抗ウイルス薬」ではなく、真菌を退治する「抗真菌薬」を使う必要があります。
現在日本で使われている「抗真菌薬」には、以下のようなものがあります。塗り薬はいくつかの系統に分類されますが、水虫に対してはどの系統でも効果に目立った違いはありません。飲み薬は、現れやすい副作用や服用方法、飲み合わせの悪い薬などがそれぞれ異なるため、その人の体質や持病などによって使い分けます。
抗真菌薬には、どんな場面で感染する?
白癬菌は、湿気の多い場所を好みます。そのため、スポーツジムや銭湯などの足拭きマット・スリッパ・タオルなどを介して感染するケースが最も一般的です。また、他人との接触する機会の多い格闘技(柔道やレスリングなど)を行っていて感染することもあります。
いずれの場合も、皮膚に白癬菌が定着してしまわないうちに、皮膚をしっかり洗うことで感染を防ぐことができます。家族に水虫の患者が居る場合には、感染源となる足拭きマットやスリッパ・バスタオルなどを共用しないことも大切です。
気をつけていても、夏になると毎年水虫になってしまうのは何故?
この場合は「夏になると毎年新しく水虫に感染している」というより、「水虫をきちんと治療し切れていなかったため、毎年夏になるとぶり返している」可能性が高いでしょう。
湿気を好む白癬菌は、梅雨から夏にかけて活動が盛んになり、秋から冬にかけてはおとなしくなる傾向にあります。そのため、軽い水虫であれば、特に厳密な治療を行わなくても夏の終わりとともに症状は落ち着いて、一見治ったように感じることがあります。しかし、皮膚には白癬菌が残っているので、また次の夏がやってくると、白癬菌が活発になり、まるで「また水虫になった」かのような錯覚に陥るのです。
このサイクルを断つには、抗真菌薬で皮膚の白癬菌を完全に退治してしまうことが重要です。
水虫治療のコツ
白癬菌を完全に退治するためには、下記のような点に注意して抗真菌薬を使うことが大切です。
1 皮膚の痒みやめくれといった自覚症状がなくなった時点で治療を止めない
水虫治療のゴールは、皮膚の痒みなどの不快な自覚症状をなくすことではなく、皮膚の白癬菌を完全に退治してしまうことです。通常、自覚症状がなくなった時点では、まだ皮膚に白癬菌が残っていると考えられます。そのため、たとえば足の指の間にできた水虫であれば2ヶ月以上は抗真菌薬を使い続けて、白癬菌を完全に退治し切ってしまう必要があります。また、爪の水虫の場合はきれいに生え変わるまで治療を続けます。
2 薬は症状のある場所だけでなく、両足の足全体に使う
抗真菌薬を、皮膚の痒みやめくれといった自覚症状のある場所にしか使わない人もいますが、症状が片足だけに表れている場合でも薬は両足にまんべんなく塗る必要があります。二足歩行をしている限り、白癬菌が両足に感染している可能性があるからです。
この際、指の間や爪の周り、くるぶしといった場所はよく塗り忘れます。こうした塗り忘れがあると、退治しそこねた「白癬菌」がまた夏に数を増やし、水虫をぶり返すことになります。
3 抗真菌薬の入った薬を使う
市販薬(OTC医薬品)でも、医療用と同じ抗真菌薬の購入が可能です。しかし、中には効能・効果に「みずむし」と書かれていても、抗真菌薬の入っていない商品もあります。こうした商品では、一時的に自覚症状を軽く抑えることはできても、水虫の根本的な治療はできません。
水虫で気をつけなければならないことは?
水虫は、それ単体ですぐに生命に直結するような病気ではありません。しかし、時と場合によっては、生活に大きな支障を来たす原因になることがあります。
例えば糖尿病が進行している患者さんの場合、足の指の違和感に気付きにくく、水虫が悪化しやすい傾向にあります。症状が悪化すると、最悪の場合足を切断しなければならないこともあるため、糖尿病の治療を受けていて水虫になったら、軽い症状のうちから皮膚科を受診し、専門医のもとでしっかりと確実な治療を行う必要があります。
また、高齢者の場合は水虫による足の痒みや痛みによって、歩く機能や立った際のバランス感覚に問題が生じることもあります。こうした悪影響は、転倒や骨折、歩かなくなることによる足の筋力低下といったことにも繋がるため、きちんと治療することが大切です。
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