中1で脳腫瘍を発症。新型コロナで諦めていた二十歳の記念撮影を叶える!
- 作成:2022/02/20
7年前、中学1年生で脳腫瘍を発症した髙木義文さん(20)。一時は寛解に至ったものの、二度の再発をへて現在は在宅療養をしています。二十歳を迎えた今年、成人式への参加を楽しみにしていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期に。母親の伯美(のりみ)さんは「せめて家族写真を撮りたい」とCaNoW※に応募されました。義文さんの容体を考慮し、応募から約1か月半という異例のスピードで願いを実現。当日の様子をお伝えします。
この記事の目安時間は6分です
CaNoWとは 、病気や障がいを理由にかなえられなかった「やりたいこと」の実現をサポートするプロジェクトで、企業やその従業員の寄付やサポートで患者さんの願いを叶えていきます。詳細は、CaNoW公式ホームページをご覧ください。
このプロジェクトには、CaNoWの理念に共感したノバルティス ファーマ(株)の従業員が寄付しています。
新型コロナの影響で、成人式が二度も延期に…
大阪市に住む髙木義文さん(20)は、中学1年生だった頃に脳腫瘍を発症しました。
はじめは吐き気などの症状でしたが、徐々に進行して歩くことができなくなり、耳も聞こえなくなりました。手術や化学療法、放射線治療を受け、一時は穏やかな状態でしたが、高校1年生の時に再発。その2年後にも再再発しました。
現在は、1日のうち長い時間をベッドで過ごしています。それでも、前向きに生きる気持ちは失わず、二十歳を迎えた今年、成人式への参加を楽しみにしていました。しかし、新型コロナウィルスの影響で成人式は二度も延期に……。母親の伯美(のりみ)さんは、何とか家族の思い出を残す方法はないかと考え、「自宅で家族写真を撮りたい」と思い立ちました。
「以前、家族全員の似顔絵を描いてもらったことはあるんです。自分で撮った写真を送り、それに似せて描いてもらうサービスを利用しました。でも、やっぱり私は写真を残したくて」(伯美さん)
家族の表情、温かさをそのままカタチにするため、プロのカメラマンによる写真撮影を希望されました。
ただ、写真撮影を安全に遂行するには、医療スタッフの力が必要です。義文さんの身体を起こすには介助が必要で、撮影中に容体が悪化する心配もゼロとは言えません。また、新型コロナウィルスの感染対策も考えると、ご家族だけでは実現が難しいことは明らかでした。
そこで伯美さんはCaNoWに応募されました。CaNoWでは医療資格を持つスタッフが応募者の願いをサポートするため、安心して家族写真を撮ることができると考えたのです。
応募があった時点で、義文さんは指でタブレット端末を触ってコミュニケーションを取ることができましたが、徐々にそれも困難になっていきました。そのため、プロジェクトは通常よりスピーディーに進行し、約1か月半後には家族写真の撮影を実現しました。
着替えや移動、水分補給。医療サポートがあるから安心
父の圭介さんが義文さんのネクタイをキュッと結び、母の伯美さんが成人式のために用意した真新しいスーツを着させます。CaNoWスタッフはタブレット端末に文字を表示させながら言葉をかけ、伯美さんと一緒に着替えや移動などをサポートしました。撮影は、リラックスした雰囲気で始まりました。
「はい、カメラ目線でお願いしまーす!」
リビングに、プロのカメラマンによる掛け声とシャッター音が響きます。写真スタジオさながらの大きなバックスクリーンを背に、車いすに座った義文さん。その佇まいは、まさしく新成人でした。家族のベストショットはこちら。
カメラマンから「ヨシ君、一人だけでも撮りましょうか」と提案され、照れたように笑った義文さん。カメラを向けられると、凛々しい表情。
伯美さんによると、もともと義文さんは3人兄弟の中でも一番活発で、野球が大好きな少年だったそうです。そこで、CaNoWスタッフはサプライズプレゼントを用意。髙木さん一家が大ファンだという阪神タイガースのユニフォームです。
これには、義文さんも大きく頷き返し、ご家族は「今年は優勝できたらねぇ」「スタートダッシュはいつもいいんだけど(笑)」などと、ほほを緩めます。家族全員でユニフォームに身を包み、笑顔でパチリ。
途中で休憩を挟みながら、無理のないペースで撮影は進みます。休憩中、ご両親は義文さんが幼かった頃のアルバムをめくりました。分厚いアルバムには、かわいらしい姿の写真が隙間なく配されています。
「家にいることがなかったんですよ。帰ってきたらすぐに野球したり、遊びにいったり」(伯美さん)
義文さんが1~2歳の頃には、お風呂場で転倒して生えたばかりの前歯が折れてしまい、小学生頃まで笑うと前歯がなかったとか。幼かった当時は大慌てしたことも、二十歳となった今は懐かしい思い出です。
幼いころに駆け回った公園で、家族の思い出をかみしめる
この日は清々しい晴天に恵まれ、義文さんの体調もよさそうだったため、車いすで外へ出掛けました。自宅の前で撮影をした後、散歩がてら近所のお寺に向かい、ご家族でお参り。こうして連れ立って歩くのも、普段はなかなか叶いません。春風が優しくそよぎます。
その後、兄弟3人が通っていた保育園の前を通って、思い出の公園にも足を延ばしました。やんちゃ盛りだった少年時代、力いっぱい駆け回った記憶が、ご家族それぞれに思い起こされたことでしょう。父・圭介さんは、まるで大きな木のように、子ども達の肩を包みます。その両腕で、いつも家族を守ってきたことが伝わります。
ブランコや滑り台を眺めながら、伯美さんは義文さんの幼かった頃に思いをはせていたのでしょうか。撮影の終盤、しみじみと語ります。
「みんなに愛されて、幸せだね」
撮影を通じて家族の距離感はぐっと近くなり、お互いを大切に思う気持ちが浮き彫りになりました。
その後、義文さんが旅立って…
CaNoWプロジェクトから数か月後、義文さんは他界されました。ご家族は悲しみの中にいらっしゃいます。それでも、母の伯美さんは「家族みんな、CaNoWプロジェクトの動画やアルバムで偲び前向きに過ごしております」とおっしゃいます。
義文さんの大切な二十歳の記念をCaNoWに依頼してくださり、大変ありがとうございました。
引用元:CaNoW(カナウ)
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