更年期障害が現れる年齢は一人一人違いますが、45～55歳ごろが多いです。
「更年期」は、閉経前5年間と閉経後5年間（合計10年間）のことで、更年期障害は、更年期に起こる女性ホルモンの低下によって起こる心と体の症状をさします。閉経とは「1年以上月経が来ていない」状態のことで、月経が1年間こなくなってから、1年前の最後の月経のときを「閉経」と診断します。閉経や更年期の年齢は一人一人違います。日本人の閉経の平均年齢は約50歳のため、更年期障害は45～55歳ごろに出てくることが多いです。

どのような症状であっても、「ご本人が困っている」「日常生活に支障が出ている」「仕事や人間関係に悪影響が出ている」ようなら病院やクリニックへの受診をおすすめします。特に多い症状としてはホットフラッシュ、不眠、イライラや気分の落ち込み、デリケートゾーンの症状などがあります。

漢方の場合は、２～３週間服用を続けることで効果が感じられることが多いです。
ホルモン補充療法の場合は1週間～10日前後で効果を感じることが多いです。

更年期障害に対するプラセンタ注射の効果は、研究されている数が少ないというのが現状です。プラセンタ注射は、日本、韓国、ロシアを中心に使用されており、欧米では使用されていません。そのため、研究の数が少なくなっています。
使ってみて効果を感じる方もいますし、効果を感じない方もいるというのが実際のところだと思います。日本女性医学学会のホルモン補充療法ガイドラインでは、プラセンタ注射は、ホルモン補充療法の代わりにはならないと説明しています。

ホットフラッシュは、喫煙や肥満がある場合には悪化しやすいといわれています。
もし現在、喫煙されている方や肥満の方は、禁煙や標準体重を目標にしたダイエットをすることでホットフラッシュが軽くなるとされています。
更年期障害では、手足が冷えているのに、上半身や顔は熱くほてるなど、体温調整のバランスが崩れやすくなっています。そのため、重ね着をして、体温調節をしやすくするのがおすすめです。夜間にホットフラッシュが起きて寝苦しくなっていることがあるので、寝室や寝間着は涼しめにする方がよいとされています。また、更年期障害はストレスで悪化するので、ストレスをため込まないよう、趣味やリラクゼーションの時間を持つことも大切です。

大豆に含まれる成分『イソフラボン』は女性ホルモンに似た作用があると考えられています。大豆製品を多くとったり、大豆から産生されるエクオールのサプリメントを使用することはホットフラッシュなどをやわらげる効果があるとされています。また、ストレッチや有酸素運動（ウォーキング、水泳、サイクリングなど）を定期的に行ったり、十分な睡眠をとったりすることは、更年期障害の緩和に効果があるとされています。

年齢の決まりはなく、何歳から何歳までという制限はありませんが、40～50歳台で始めることがすすめられています。ホルモンの薬には血栓症のリスクがあるため、60歳以上の方が新しくホルモン補充療法を始める場合は注意が必要とされていますが、60歳時点で治療中の方は、副作用に注意しながら続けることは問題ないとされています。

ホルモン補充療法では、血栓症、乳がん、子宮体がんに注意する必要があります。女性ホルモンの使用中は血が固まりやすくなるため、エコノミークラス症候群（足の血栓）や、肺の血栓、心筋梗塞、脳梗塞などの症状に注意が必要です。
5年以上長期にホルモン補充療法を使用している場合は、乳がんのリスクが少し上昇する可能性があるため乳がん検診を忘れずに受けてください。
また、マイナートラブルとして不正出血が起こることがあります。しかし不正出血は、子宮体がんの初期症状のことがありますので、不正出血が何度も起こる場合は子宮体がんの検査を受けるようにしてください。