自家中毒症とは?何歳で発症?大人もなる?発達障害との関係は?
- 作成:2016/09/23
自家中毒症は、別名「周期性嘔吐症」や「アセトン血性嘔吐症」とも言います。はたっつ障害との関係や、発症年齢、大人がなる可能性、治る年齢を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
目次
- 自家中毒症(周期性嘔吐症、アセトン血性嘔吐症)とは?病名の意味は?自律神経、ケトン体ブドウ糖はどう関係?
- 自家中毒症と発達障害は関係がある?ない?
- 自家中毒症を発症する年齢と治る年齢
- 自家中毒症は大人でもなる?
自家中毒症(周期性嘔吐症、アセトン血性嘔吐症)とは?病名の意味は?自律神経、ケトン体ブドウ糖はどう関係?
インターネットを見ると、「自家中毒症」「周期性嘔吐症」、そして「アセトン血性嘔吐症」という病気が混同されて使われていることがありますが、3つは同じ病気を指しています。
自家中毒症とは、サルモネラ菌やボツリヌス菌などが原因となる食中毒とは異なり、ある特定の食品を食べて起こるといった中毒症ではありません。自家中毒症の症状は、強い吐き気が出現して嘔吐などによって食事したものを戻してしまいます。そのため、食事をしても栄養(ブドウ糖)を取ることができなくなってしまいます。栄養をとれない状態の解決策として、自分の体に蓄えてある脂肪を分解し、その分解産物を栄養源や、体温の維持に利用しています。この反応でアセトン(ケトン)が作られます。
アセトン(ケトン)が体の中に増えると、さらに「吐き気の悪化→嘔吐→栄養不足」が起き、脂肪をさらに分解し、アセトン(ケトン)が体の中にさらに増えるといった悪循環が起こります。嘔吐と栄養不足の悪循環の症状が起きるのが自家中毒症(周期性嘔吐症、ないしアセトン血性嘔吐症)です。
自家中毒症は環境の変化などを過敏に感じ取って自律神経のバランスが崩れ、自家中毒症状を起こすことがあるため、自律神経が関与している病気とも言えます。
自家中毒症と発達障害は関係がある?ない?
自家中毒症の根本的な原因ははっきりしていませんが、ストレスなどの精神的緊張が誘因となることが多いとされています。子どもの場合ですと、幼稚園や学校の発表会や校外学習などの前後で自家中毒症を発症することがあります。
一方、発達障害とは、脳機能の発達が通常と異なるために生じる生まれつきの障害です。具体的な発達障害として、広汎性発達障害(自閉症やアスペルガー症候群)、注意欠陥多動性障害などが挙げられます。これらの発達障害はそれぞれ単独で発症することもあれば、複数の障害が重複していることもあります(詳しい説明は、『政府広報オンライン|発達障害って、なんだろう?』(http://www.gov-online.go.jp/featured/201104/contents/rikai.html)をご覧下さい)。
発達障害のある方は、コミュニケーション能力や社会性に関連する脳の領域に関係する発達に障害が見られることがあります。つまり、発達障害の方の中には、他人とのコミュニケーションや、社会でうまくやっていく行為が難しい方もいらっしゃいます。また、広汎性発達障害の方は興味が偏り、新たな環境にさらされるのが苦手な方もいます。ですから、新たな環境にさらされると、急に叫ぶ、泣くといった行動が見られることもあります。泣いたり叫んだりする行動は、環境の変化に対するストレスを感じていると考えることができます。
つまり、発達障害のある子どもさんは非常にストレスを感じやすいため、そのストレスが自家中毒症を誘発するリスクが高いと考えることができます。よって、自家中毒症と発達障害は、直接的ではありませんが、関係があると言えます。
自家中毒症を発症する年齢と治る年齢
自家中毒症は一般的に2歳から10歳頃の、幼児から学童期の子どもに生じやすいとされる病気です。自家中毒症を発症した子どもは食事やストレスなどの精神的緊張、胃腸炎などがきっかけとなり、嘔吐を繰り返す、お腹が痛いなどといった症状を訴えます。
症状を踏まえて、血液検査や尿検査などの検査を行います。検査結果が、自家中毒症で十分に説明できる結果であれば、自家中毒症と診断し、治療へと進んでいきます。治療は症状の程度によって、多少異なりますが、吐き気や嘔吐がそれほど強くなければ胃腸の働きをよくする「ナウゼリン」という薬と経口補液飲料を少量ずつ与えるといった治療を行います。
一方、吐き気や嘔吐が強い場合で、脱水症状があると考えられるならブドウ糖を含んだ輸液を行い、症状の改善を図ります。このように子どもたちの症状の程度を踏まえた治療を行うことができれば、自家中毒症の予後は概ね良好だとされています。
一般的に、14歳から15歳ごろまでに自家中毒症は軽快するとされていますが、中には片頭痛に移行する症例も存在します。したがって、自家中毒症が治ったからといって安心するのではなく、もしかしたら片頭痛を発症するかもしれないと肝に銘じておく必要があります。もし、ズキズキする頭痛、日常生活に支障が出るような頭痛を生じることがあれば、一度病院を受診すると良いでしょう。
自家中毒症は大人でもなる?
自家中毒症は、2歳から10歳の子どもに発症しやすく、自家中毒症になった子どもは食事やストレスなどの精神的緊張、胃腸炎などがきっかけとなり、嘔吐を繰り返す、お腹が痛いなどといった症状を訴えます。しかし、中には、大人になってから嘔吐やお腹が痛いといった自家中毒症の症状を示すこともあります。ある報告によれば、最高齢で73歳の方が自家中毒症になったという報告がなされています。
大人の自家中毒症も、子どもの場合と同様、食事やストレスなどの精神的緊張などによって引き起こされます。そして、嘔吐を繰り返す、お腹が痛いなどといった症状を訴えます。自家中毒症の検査を実施され、確定診断が出れば、治療を行うことになります。
ですから、「2歳から10歳の時期を過ぎたから自家中毒症になることはない」と考えるのではなく、2歳から10歳を過ぎても、自家中毒症になる恐れがある、大人でもなるということを知っておくと良いでしょう。
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自家中毒症の概要や発達障害との関係などについてご紹介しました。お子様の嘔吐症状が強くて、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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