「子どもの喘息が心配で心が折れそう」将来治る可能性は?
- 作成:2024/09/15
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、子どもの喘息に悩むお母さんからのご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
子どもが1歳2ヶ月のとき喘息と診断されてからほぼ毎月度々発熱し酷いときは入院もしました。
周りの人や友達の子どもが子どもの頃喘息だったけど大人になると治ったとほんとによく聞くのですが我が子も将来どうなるのかとても不安です。
治る可能性が高いでしょうか?
かかりつけ医でアレルギー検査したところ、ネコ、ハウスダスト、ダニがクラス4と出たのでかなり子どもに影響しているのでしょうか?
いずれ判定数値は下がるのでしょうか?
毎週毎週布団洗濯、室内掃除して仕事もしているのでかなり疲れています。子どもの心配で心が折れそうなのです。
医師の回答
小児喘息はとても辛いですよね。毎日飲み薬を飲んだり、吸入をしないといけないので子どもも親も負担は大きいですよね。小児喘息は子ども達のQOL(生活の質)を考える上で大切な病気です。
小児喘息は完全に治ったと判断するのは難しい病気です。一時的に症状が和らいで一定期間症状が落ち着いて見える状態を「寛解(かんかい)」と言います。寛解の定義はさまざまですが、12-15歳の思春期の頃に60-80%が寛解していたという調査結果もあります。つまり20-40%が成人喘息に移行してしまうのです。小児喘息は慢性的に気管に炎症が存在する状態ですが、その炎症が長い時間続くと炎症で破壊された気管の組織が修復できずどんどん硬くなる状態(=気道リモデリング)になります。そうすると、ますます気道の中が狭くなっていきます。
治療として、発作頻度に合わせて発作のない時から吸入ステロイドを使い予防的にその炎症を抑える治療が大切です。発作を起こした時は気管支拡張薬(気管を広げる薬)が別に必要です。治療として炎症を抑える予防的治療は大切ですが、何より大切なのはもちろんアレルゲンとなる原因を避けることです。
受けられたアレルギー検査は7段階で評価する特異的IgE検査であり、クラス2以上を陽性としています。しかしこの検査はどれくらいの確率で症状が出るかを表しているだけで、実際に症状が出るかどうかを明確に示すものではありません。検査のクラスの数字は参考にとどめ、症状の有無を参考にしてまずは気管の炎症を抑える治療を行っていきましょう。
#1. Williams H, et al. Br Med J 1969; 4: 321-5.
#2. Phelan PD, et al. J Allergy Clin Immunol 2002; 109: 189-94.
#3. Gibson HB, et al. Med J Aust 1969; 2; 201-5
#4. Burgess JA, et al. Thorax 2011; 66: 508-13
#5. Sears MR, et al. N Engl J Med 2003; 349: 1412-22
#6. 日本小児アレルギー学会. 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン 2020
#7. 堀向健太 2021. ほむほむ先生の小児アレルギー教室. 東京: 丸善出版
今西 洋介
小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載コウノドリの漫画・ドラマの医療監修を務めた。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
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