小児喘息の原因、症状、治療 清潔すぎてもダメ?
- 作成:2023/07/14
小児喘息は、子どもに見られる喘息症状で、治療可能な病気です。原因としては、よく知られハウスダスト以外にもあります。薬を使用する際のの注意点も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します
この記事の目安時間は3分です
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小児喘息は治せる
口や鼻から息を吸ったり吐いたりするときに、空気が通る道を気道と言います。気道の先の、肺に入っていく道を気管支といいます。喘息は、気管支に炎症がおこり、呼吸が苦しくなる病気です。空気の通り道に慢性的に炎症が生じているので、ちょっとした刺激にも過剰に反応してしまいます。具体的には風邪をひいたり、冷たい空気やダニやペットの毛などを吸い込んだりしたことが原因となって、気管支が縮まって細くなったり、むくんだり、痰(たん)が増えたりします。こうなると激しく咳き込んだり、気道が狭くなってしまうので、呼吸をするときにヒューヒュー、ゼーゼーして呼吸がしにくくなり、呼吸困難になることもあります。これを喘息(ぜんそく)発作といいます。
重篤な発作の場合、適切に対処されなければ命を落とすこともあります。しかし、小児喘息は、適切な治療で治すことができます。大人の喘息の治療は、症状を落ち着かせることが治療の目標ですが、小児喘息では完全に治すことが目標になります。一朝一夕には治りませんが、根気よく治療を行っていくことが大切です。小児喘息の治療は、子供だけでなく、周囲の大人の助けが必要ですので、大人も治療に参加しましょう。
ハウスダストや清潔すぎる環境が要因か
喘息の人の数は年々増えており、子どもの6%から7%が喘息との調査があります。これは1960年代に比べて、約6倍で、アレルギーが原因と指摘されています。昔に比べ、気密性が高くなるなど家屋構造がかわり、ハウスダストなどのアレルゲン(アレルギーの原因物質)が増えたこと、住宅建材や食品などに含まれる化学物質や大気汚染の他、ストレスが増えたことも原因とされています。また、清潔すぎる環境や腸内細菌のバランスの変化なども要因のひとつと考えられています。
症状は?「発作止め薬だけ」の危険性
喘息の症状には咳、痰、呼吸困難や、呼吸をするときにゼーゼー、ヒューヒューと音のする喘鳴(ぜんめい)などがあります。また、胸の痛みやのどに違和感を感じるなども喘息の症状です。気道に慢性炎症が存在しているので、冷たい空気を吸うなどのちょっとした刺激で、喘鳴や激しい咳が短時間から数日続きます。発作は繰り返し起こり、自然に消えることもあれば、薬を使わないと消えない場合もあります。重症度は様々ですが、発作が起きて、発作を止める薬(管支拡張薬)の吸入を行い、一旦症状が良くなっても、吸入後30分以内に再び呼吸が苦しくなるときは、病院に行きましょう。発作止め薬を自宅で繰り返し使用し、病院に行くのが遅くなり、死に至ったケースもあります。
また、呼吸苦が強く、歩くことができない、一語区切りでしか話せない、息をしたときに胸がくぼんでお腹が膨らむといった、大発作が起きたときは救急車をよびましょう。息を吸うときに小鼻(左右の膨らんだ部分)が膨らむ、脈拍がとても早い、横になれない、意識がぼーっとしている、興奮して暴れる、唇や爪の色が白、または青紫色であるなどの症状があるときも、すぐに病院へ行きましょう。
発作時以外にも薬が必要
治療は基本的に薬物療法が行われます。発作が起きた時だけ薬を使用するイメージがありますが、そうではありません。喘息では、常に気管支に慢性炎症がある状態で、発作が起こると更に炎症は悪化していき、空気の通り道が次第に狭くなっていきます。そのため、発作を起こさないように、症状がなくても炎症を抑えたり、気道を広げたりする「長期管理薬」を毎日使用します。炎症を抑える薬にはステロイド薬がありますが、副作用は少なく、安心して使用できます。自己判断で中断しないようにしましょう。また内服薬として抗ロイコトリエン拮抗薬というものもあります。これらを併用することで効果的に気道炎症を抑えていきます。
薬の他には、運動で発作の起こりにくい体作りを行ったり、タバコの煙や室内外の温度差、ハウスダストなど発作の引き金になるものを取り除くなど、環境を整えることも大切です。こうした治療を続け、発作がない状態を持続すれば気管支が健康な状態になっていきます。そして少しずつ薬を減らしていき、薬を使用しなくとも発作のない状態になることが可能です。
子供に起こることのある小児喘息について原因などをご紹介しました。子供が小児喘息かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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