気管支炎?気管支喘息、風邪、肺炎との症状、原因の違い
- 作成:2016/10/13
気管支炎は、風邪と似た症状が出ます。また、気管支炎の症状の範囲が広がると肺炎になることがあります。喘息との違いも含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
風邪?気管支炎?肺炎?どう違う?
一般に「風邪」という場合、多くは医学的に「急性の上気道感染症」のことを指します。風邪の原因となる微生物が、鼻から咽頭、喉頭といった「上気道」と言われる部分に感染すると、くしゃみや鼻水、鼻詰まり、喉の痛み、咳、痰、発熱など様々な症状が出ます。
気管支炎は風邪と似ていますが、炎症の起こる場所がより、呼吸機能の先(医学的には「末梢」と表現します)の気管支にあるものを「気管支炎」と呼んでいます。気管支炎も、主な症状は咳や痰ですが、肩こりや手足の筋肉痛・関節痛など、風邪とは異なる症状が出ます。
さらに、炎症の範囲が、より末梢、気管支から肺にまで広がるとと、「気管支肺炎」という病気になることもあります。肺炎は病原性をもった微生物が肺に侵入したことで起きる炎症のことです。肺炎には大きく「市中肺炎」と「院内肺炎」とに分けられますが、いずれの肺炎でも発熱や咳、膿(うみ)の痰といった症状が見られます。
風邪、気管支炎、肺炎は炎症が起こる場所の違いで区別され、場所の違いによって出やすい症状が異なります。とはいえ、症状がすべて出ていない時などは似たような症状になることもありますので、自己判断で改善しない場合は適切な治療を行うために、病院を受診して適切な検査をうける必要があります。
気管支炎と肺炎の症状の違いは何か
気管支炎の症状は鼻水、のどが痛む、疲労感、悪寒といった、風邪と似た症状から始まります。気管支炎の咳は最も治りにくい症状で、治まるまでに数週間かそれ以上かかることもあります。また、重症になると、やや高い熱(38度から39度)が出て、それが3日から5日続くことがあります。
一方、肺炎で最もよくみられる症状は、痰が絡むせきです。その他、胸が痛くなったり、発熱や息切れなどといった症状もよく見られます。ただし、これらの症状は肺炎の広がり方や原因となる微生物の種類によって異なるため、特徴的な症状がほとんどが見られない場合もあります。
気管支炎と肺炎では、出始めの症状が違ったり、症状が違うことが多いのですが、発熱など共通する症状もあるため、症状だけでどちらの病気かを判断するのが難しい場合もあります。
気管支炎と肺炎の原因の違い
気管支炎の原因は大きく2つあります。1つは感染による気管支炎で、これは細菌やウイルスなどが原因となります。もう1つは刺激による気管支炎で、タバコの煙やスモッグなど、気管支粘膜を刺激するものが原因となります。
一方、肺炎の原因は非常に多く、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などの感染によるものもあれば、タバコやアスベスト、誤嚥(飲み物や食べ物が食道でなく気管支など呼吸の回路に入ること)など様々です。肺は気管支よりも体積が大きいため、様々なものが蓄積しやすく、肺炎のリスクになるものの数は多くなります。
気管支炎と気管支喘息の違いは何?
それでは、気管支炎と気管支喘息はどう違うのでしょう。気管支炎は、細菌やウイルスなど外から体内に入った刺激物によって、一時的に気管支に炎症が起きている状態です。一方、気管支喘息は、花粉、ダニ、ペットの毛などが原因で起こるアレルギー性の病気であることが多いことがわかっています。
気管支喘息の場合、アレルギーの原因となる物質を吸い込むと気管支が過剰に反応してしまい、突然呼吸困難、咳、ぜいぜいという呼吸音(喘鳴;ぜんめい)などの発作が現れます。気管支喘息は、気管支が慢性的に炎症を起こしているため、普段から気管支が狭くなっていますが、発作が起こると気管支の周囲にある筋肉が収縮してしまうため、さらに気管支が狭くなって呼吸困難になりやすいのです。なお、花粉症、アレルギー性鼻炎などの他のアレルギー性疾患を発症していると、アレルギー性の気管支喘息も発症しやすいとされています。
受診のポイントは?
風邪だと思い込んで風邪薬を飲んでも、症状が改善しないどころか、症状がより悪化する場合があります。そんな苦しい思いをして、最悪の場合、呼吸できないほど苦しい状態になってから、救急車で病院へ運ばれることもありえます。こういったことを防ぐために重要なことは、「気管支炎や肺炎の症状は風邪と共通するものがある」「気管支炎と気管支喘息の違いは判断しづらいことがある」ということを知ることです。また原因の違いを覚えておくことも重要となります。
風邪薬を飲んでも症状が改善しなければ、気管支炎や肺炎、喘息の可能性を疑って病院へ行き、適切な治療を受けることができるでしょう。不安な場合は、一度、医療機関を受診してみましょう。
気管支炎と他の病気の症状の違いなどをご紹介しました。「風邪」と思っていた症状が、なかなか改善せず不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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