百日咳と咳喘息 原因、流行時期、症状、治療の違い
- 作成:2016/03/11
百日咳と咳喘息(せきぜんそく)はともに、長く続く咳が特徴です。ただ、原因や症状、治療はいずれも違いますので、違いを知ることは、早期治療のためには大事になります。百日咳と咳喘息の違いについて、医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
百日咳と咳喘息の原因はどう違う?
百日咳と咳喘息(せきぜんそく)、どちらも長く咳が続くという点で似ていますが原因は別です。百日咳は「百日咳菌」という細菌感染が原因で起こるのに対し、咳喘息は気管支の喘息と同様にアレルギー疾患です。
咳喘息のある患者さんに細菌やウィルスの感染、空気の乾燥、喉の使いすぎなど気管支が炎症を起こしたり、はれたりするような要因が重なると、咳喘息の症状は悪化します。咳喘息と診断されてもはっきりとした原因が見つからない事が多く、細菌感染が悪化の原因ではないこともあるので、抗生物質による治療が効果の無いことがほとんどです。
百日咳で咳が出るのは百日咳菌が出す毒素のせいですが、咳喘息で咳がでるのは気管支に何らかの刺激が加わった時です。咳喘息の原因は、ほこりなどのアレルギー性物質を吸い込んだり、乾燥、煙の吸引、運動など、原因は様々で、油断できません。
百日咳と咳喘息の違い 症状編
一般的に百日咳では、連続的で息切れしてしまうような強い咳が断続的に続いてなかなか止まりませんが、咳喘息の咳は風邪による咳と一見すると違いがわかりません。何かのきっかけで咳が出てしまうだけで、息切れするほどの咳は出ないことが多いです。ただし、大人の百日咳では典型的な断続的で息切れするような咳はあまり起こらず、咳喘息の症状に近い症状が出ることがあるため、どちらなのか判断が難しい場合があります。咳喘息と思っていても百日咳だった場合には、抵抗力の低い子供へ百日咳を感染させてしまうリスクがあります。子供に百日咳に感染した場合、呼吸困難におちいるほどの咳をきたし、体力も消耗して入院が必要になったりします。また、百日咳は、適切な治療を施さないと死に至ることもあります。咳喘息自体も放置していると呼吸苦をきたし入院することもあるため、妙に咳が続くと思ったら、ただの風邪だと考えず、医療機関を受診するようにしましょう。
百日咳と咳喘息の違い 治療編
百日咳と咳喘息では治療法が全く異なります。細菌性の百日咳では抗生物質の投与からたんを出す薬や咳止めが処方されますが、咳喘息ではこれらの薬はあまり効果がありません。
咳喘息の場合、何らかの理由で気管支が刺激に対して敏感になっているので、その過敏な状態を改善させる治療を行います。多くは気管支の喘息の治療で使用される抗アレルギー薬、吸入ステロイド薬など気道の炎症を抑える薬を使うことになります。また、発作時には気管支が狭くなっているので気管支拡張薬などが処方されます。
百日咳でも咳喘息でも、治療を始めれば症状はかなり良くなりますが、根治させるには時間がかかります。百日咳では発症から完治まで3カ月はかかると考えた方が良いですし、咳喘息も数カ月単位の長期の治療が必要です。
百日咳と咳喘息、流行時期がある?
百日咳と咳喘息には、注意したほうが良い流行時期というのがあります。どちらも年中起こる可能性がありますが、百日咳は特に夏の終盤から秋にかけてピークがあります。咳喘息は花粉やPM2.5が舞う時期、インフルエンザが流行する時期と重なります。
いずれにしても、咳喘息の場合には流行時期というよりも、原因となるアレルギー物質に、できるだけ接しないように気をつける必要があります。花粉症の人やPM2.5で涙やくしゃみが出やすくなるという人は、気管支に炎症を起こしやすい状態となり、結果として、咳喘息を発症する恐れがあります。どのようなアレルゲンが原因で咳喘息になるか分からないため、可能な限り普段から喉や気管に負担のかからないような生活を心がけましょう。
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百日咳と咳喘息の違いについてご紹介しました。長引く咳に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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