切迫流産の原因、なる確率、出産確率 何週ごろの問題?繰り返す?遺伝や不妊治療との関係は?
- 作成:2015/12/18
切迫流産は、「妊娠22週未満で流産しかけている状態」のことをいいます。妊娠12週未満の場合は、胎児の染色体異常の可能性が高く、それ以降は子宮自体の問題などが原因となります。どの程度の人に起きる可能性があるのかや、出産に至る確率、繰り返す可能性を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
切迫流産とは?胎児が生きている可能性も高い
「流産」というのは、妊娠22週未満で妊娠が終了することです。切迫流産とは「妊娠22週未満の妊婦が流産になりかけている」状態ですが、まだ流産には至っていない状態です。
流産になりかけているということですので、切迫流産と診断された状態ではまだ胎児が生きている可能性が高いですし、必ずしも流産するというわけでもありません。切迫流産がそのまま進行して流産になってしまうこともあれば、その後も問題が起こらずに無事出産に至ることもあります。
したがって、切迫流産と診断された段階で悲観する必要はないでしょう。何をもって「流産になりかけているか」を判断することは難しいのですが、自覚症状としては、妊娠中に出血があれば切迫流産の可能性を考える必要があるということになります。
12週未満の流産の原因 遺伝子異常なら流産は防ぎがたい
切迫流産で問題が起こる部位は、主に子宮と胎児の周辺です。
妊娠12週未満に流産に至る場合、原因は胎児の染色体異常である可能性が高いとされています。他にも切迫流産の原因は様々で、子宮頸管無力症、子宮筋腫、絨毛膜羊膜炎、絨毛膜下血腫などの病気や体の冷え、疲れ、ストレス、多胎妊娠などがあります。
染色体異常が原因の切迫流産の場合には、妊娠12週までに流産となってしまうことが多く、残念ですがどのような対応を行っても流産を防ぐことができないケースがほとんどです。
胎児の染色体異常が原因で起きる切迫流産では、胎児の成長が止まってしまうために、やがて胎児を包んでいる袋が自然にはがれ落ちてきます。こうした状態を、「進行流産」と呼びます。
それ以外の原因による切迫流産では、正しく対応することで妊娠を継続できる可能性もあります。
12週から22週の切迫流産の原因
一方、妊娠12週から22週にかけての切迫流産では、胎児そのものに問題が無くても、子宮に問題が起きて、切迫流産になることがあります。
子宮自体に、子宮に良性腫瘍である「子宮筋腫」ができている場合や、「子宮頸管無力症」といって子宮口を閉じる筋肉がうまく働かない状態ですと、子宮口が開いてしまうことで胎児をきちんと支えられなくなっていると、「切迫流産」の状態になることがあります。
他に、感染症によって胎児を包んでいる膜の周辺の組織に炎症が起こる「絨毛膜羊膜炎」が原因となるほか、胎児を包んでいる袋と子宮の壁の間に血液がたまる「絨毛膜下血腫」なども切迫流産の原因となります。子宮内で出血して、血腫ができれば、やがて子宮外に出血してきますし、血腫が大きくなると赤ちゃんを包んでいる袋がはがれて、流産に至るメカニズムです。
不妊治療が原因の場合も
また、不妊治療で妊娠に至った場合、切迫流産となることがあります。どのような不妊治療を行っていたかにもよりますが、たとえば体外受精であれば、「受精卵が正しく着床していない」「胎児に染色体異常がある」といったように切迫流産につながる原因は様々です。
切迫流産は遺伝する?
切迫流産が遺伝するということはありません。また、切迫流産を引き起こすリスクの高い病気で、遺伝性が高いと認められたものもほとんどありません。
切迫流産になる確率、妊娠継続になる確率
切迫流産は全妊娠の15%程度で起こり、妊娠を継続できるのはそのうち約半数程度といわれています。したがって、切迫流産から流産となる方は全妊娠の7.5%程度という計算となります。
切迫流産を繰り返す?
何らかの病気が原因で切迫流産となっている場合には、治療せずに放置していると、妊娠するたびに切迫流産となる可能性があります。何度も切迫流産になったという方は、病院で詳しい検査をするのが良いでしょう。
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切迫流産の原因や起こる確率などをご紹介しました。もしかして切迫流産かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合には、医師に相談してみませんか?
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