切迫流産の診断と検査 「12週未満」と以降で違う?エコーやホルモン検査などを解説
- 作成:2015/12/18
切迫流産は、その診断が非常に難しいことが多いです。また、妊娠12週未満と、12週以降とでは診断方法が違います。診断方法の概要について、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
「切迫流産?」なら産婦人科へ
切迫流産が疑われた場合、受診するべき診療科は、婦人科あるいは産婦人科です。妊娠が発覚している段階であればかかりつけの病院があるはずですし、妊娠が未発覚の状態でも不正出血や下腹部の痛みで受診するのは産婦人科になります。
切迫流産の検査の概要 超音波検査?ホルモンを調べる?
検査は内診・超音波検査・妊娠すると分泌されるホルモン(hCG:絨毛性ゴナドトロピン)の検査が主となります。
内診で子宮口や子宮頸部の状態を確認し、超音波検査で子宮内部の状態や胎児の心拍の有無を調べます。また、尿中あるいは血中のhCGの変化を一定期間に渡って観察することもあります。
妊娠初期か中期かで異なる診断方法 12週未満では?
切迫流産の診断方法は、「妊娠12週未満」の時期と「12週から22週の間」の時期とで、やや異なってきます。
「妊娠12週未満」:
腹痛や出血がある状態で、超音波検査によって胎児の心拍が確認されれば切迫流産と考えられます。腹痛や出血がありながら、心拍が確認されなければ、既に流産が進行している状態である「進行流産」と判断されます。
ただ、妊娠のごく初期の場合では、超音波検査を行ってみても、胎児の心拍どころか胎児を包む「胎嚢(たいのう)」も確認できない事があるため、胎囊や心拍が確認できないからといって、育っていないとはいえません。
超音波検査ではっきりわからない場合、尿や血液のhCGの値を調べる方法があります。hCGを調べる検査は、結果が出るまでには時間がかかりますので、不正出血や強い腹痛があった時点で、切迫流産と診断して経過観察とし、hCG値などの検査結果が出るまで胎児の成長を待つことになります。
hCG値が増加していれば妊娠は順調に進行している可能性が期待できますが、逆に減少していれば胎児は成長していない可能性が高いということになります。数週間に渡る経過観察を行って、胎児の成長が確認できなければ、「流産」という結論になるでしょう。
流産とあまり関わりのない「子宮腟部びらん」「頸管ポリープ」「胞状奇胎」といった疾患が原因で出血している場合は、内診もしくは超音波検査で比較的早期に切迫流産ではないことがわかります。
また、子宮につながる子宮頸部の状態を調べることもあります。子宮頸部がきつく閉じられていればひとまず安心ですが、子宮口の緩みが確認されれば切迫流産の可能性があります。
また、子宮頸部が閉じていても、胎児が死亡していて子宮内容物が全く外に出ていない「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」の可能性もあるため、その後も慎重に観察する必要があります。
妊娠12週未満の切迫流産の検査は、さまざまな可能性を探りながら、実施していくこととなります。
12週から22週の場合は?
「妊娠12週から22週未満」:
妊娠12週から22週未満の時期になると、超音波検査で胎児の姿や心拍がはっきりと捉えられるようになります。
性器出血や強い腹痛がある場合で、胎児の心拍が確認できるようであれば切迫流産の可能性を考えて良いでしょう。
また、超音波検査で内子宮口が開いてきていたり、頸管の長さが短縮しているといったことが確認されれば、切迫流産の可能性があります。
切迫流産の診断は難しい
以上のように、切迫流産の状態を一つの検査結果から判断することは難しく、すでに胎児が育っていない「流産」であることを確定させるためにはさらに慎重な検査が必要になります。
検査結果をどうとらえて良いのかわらかない場合は、医師に納得できるまで考え方を聞くのがよいでしょう。
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切迫流産の診断方法などをご紹介しました。もしかして切迫流産かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合には、医師に気軽に相談してみませんか?
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