卵巣嚢腫の症状 腰、生理、性交の痛み?生理不順も?自覚しにくい理由も解説

  • 作成:2016/01/12

卵巣嚢腫ができると、生理痛や腰痛などの痛みが起きますが、卵巣の異変には気付きづらいために、見逃されてしまうことが多いといえます。痛み以外の症状を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

腰を抑える女性

自覚しにくいのはなぜ?

そもそも卵巣は「沈黙の臓器」といわれています。子宮のように直接体の外とつながっていないことや、「骨盤」という骨で囲まれた中にあることなどから、卵巣嚢腫が多少大きくなった程度では気付く人は少ないです。検診や、別の病気の検査で偶然に発見されることも多いです。もともと親指サイズだった卵巣が握り拳を超えるくらいの大きさになって、最近お腹が出てきたなと感じる人がいます。が、「太っただけかしら」と見過ごされてしまうことがあります。

自覚できる痛みとしては「生理痛」「腰痛」「性交痛」

卵巣嚢腫が、次第に大きくなってくると、腹部膨満感(ぼうまんかん)のほかに、痛みも生じてきます。痛みの症状の種類としては、生理痛、腰痛、性交痛など様々です。

卵巣は、そもそも下腹部の狭いところにあるので、卵巣が大きくなることで周囲の臓器を圧迫し、慢性的な腰痛を引き起こすことがあります。卵巣嚢腫の中でも有名な「チョコレート嚢胞」は、周囲の臓器を圧迫するだけでなく、卵巣と周囲の臓器が癒着(本来くっついていないところが、くっついていること)をしてしまっていることが多いので、ひきつれによる痛み、性交や体を動かした時の痛みを引き起こすことがあります。

また、卵巣を支えている組織がねじれてしまう「茎捻転」と呼ばれる現象や、卵巣囊腫の破裂が起これば、激しい腹痛や吐き気がでることがあります。腸が圧迫されれば便秘、膀胱が圧迫されていれば頻尿などの症状も伴います。このように、ひと言で卵巣囊腫とはいっても、症状は様々になっています。

生理不順を自覚するケースも

卵巣囊腫は、卵巣内に液体がたまって腫れる状態です。卵巣が腫れるには、腫瘍性のものと、卵巣の周期的変化の間で一時的に水がたまっている「機能性卵巣嚢胞」とよばれる状態があります。

機能性卵巣嚢胞の場合には、生理不順がみられることがあります。「生理不」順とは生理の周期が長かったり短かったり、月経血の量が多かったり少なかったりする状態です。

機能性卵巣嚢胞卵巣で生理不順が起きるのは、卵巣の機能が落ちてしまっていて、排卵ができなかったり、出るべきホルモンが出なかったりしているのが原因です。正常な生理の周期は25日から38日、生理の期間は3日から7日です。生理不順は目に見えるわかりやすいサインであるものの、放置されてしまうことが多いです。月経血の量は20mlから140mlが正常とされていますが、計ったり、他人と比較したりしづらいので、自分の普段の状態を把握しておくことが大切です。

繰り返しますが、卵巣は沈黙の臓器です。体が発するサインを見逃さず、早めに治療を受けることが望ましいです。



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卵巣嚢腫について、腰痛などの痛みや生理の際の自覚症状などをご紹介しました。もしかして卵巣嚢腫かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

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