卵巣嚢腫茎捻転と嚢腫の自然破裂 卵巣の壊死も?腹痛、生理痛がサイン?

  • 作成:2016/01/13

卵巣嚢腫で急激な腹痛というと真っ先に考えなければならないものが二つあります。それは茎捻転と自然破裂というものです。あまりの痛みにショック状態を起こし、救急車で運ばれる方もいます。どのような症状なのかや治療などを、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

女性

卵巣嚢腫茎捻転とは?卵巣壊死の可能性?

卵巣嚢腫では、「茎捻転」という状態になることがあります。

まずは卵巣や周囲の臓器がどのような位置にあるかから考えましょう。皆さんのおなかの下の方には鶏の卵くらいの大きさの子宮があります。子宮からは左右に腕が伸びていて、その下に親指くらいの大きさの卵巣がついています。それだけだと、卵巣がぶらぶらして不安定ですので、おなかの壁の方からも、靱帯が腕のように伸びて卵巣を支えています。

つまり、卵巣は両脇から支えられている、例えるならばハンモックに乗った人間だといえます。ハンモックに乗った人間が非常に太ってしまったら、ハンモックはバランスを崩してひっくり返ってしまいます。それと同じことが卵巣嚢腫にも言えます。「卵巣囊腫茎捻転」というのは、嚢腫が大きくなってしまうと卵巣がひっくり返って支えていた腕部分(茎)がねじれてしまうのです。

茎捻転で困ることは、茎の中には卵巣に栄養を運ぶ血管がとおっているので早くねじれを解消しないと卵巣に血が行かず、壊死してしまうということです。自覚症状としては、突然非常に激しい腹痛を感じ、吐き気をもよおします。

なお、茎捻転は、周囲との癒着が少ない良性腫瘍で多く、癒着が多い悪性腫瘍(癌など)では少ないと言われています。

古い血液などが溜まると卵巣嚢腫破裂の可能性も

卵巣嚢腫の、自然破裂とはどのような状態でしょうか。読んで字のごとくと言えるかもしれませんが、卵巣嚢腫が破裂してしまった状態です。

卵巣嚢腫の中には、「チョコレート嚢胞(のうほう)」といって嚢胞の中に古い血液がたまっていて、同時に周りの臓器にくっついてしまっていることがあります。卵巣チョコレート嚢胞は「子宮内膜症」の一つのタイプです。卵巣チョコレート嚢胞では、生理の度に卵巣に古い血液がたまっていくので、破裂のリスクが高くなります。

破裂すると突然の下腹部痛が起こり、発熱を伴うこともしばしばあります。子宮内膜症では、生理の痛みが、回数を重ねるにしたがって次第に強くなっていきます。普段よりひどい生理痛や、徐々に痛みが増す生理痛は、がまんせず、医師に診てもらうようにしましょう。

茎捻転も、自然破裂もどちらも卵巣嚢腫が大きくなるにつれて発生のリスクが増えていくものです。医師と相談して巨大化する前に手を打つのがよいです。気になる症状があれば、医療機関を受診してみましょう。



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卵巣嚢腫の茎捻転と自然破裂についてご紹介しました。もしかして卵巣嚢腫かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

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