子宮内膜症の生理痛、子宮筋腫との違い 症状の差は?

  • 作成:2016/04/13

「下腹部の痛み」が起きるのは、子宮内膜症だけでなく、生理痛や子宮筋腫でも同じです。ただ、起きるメカニズムが違いますので、痛み方が異なります。メカニズムや痛みの違いについて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

子宮内膜症と生理痛のメカニズムの違い

子宮内膜症は、20代の女性を中心に増えてきています。しかし、通常の生理痛と子宮内膜症による生理痛の違いに気付かず、治療が遅れることも少なくありません。子宮内膜症が原因で起こる生理痛と、通常の生理痛のメカニズムは明らかに異なります。

生理痛は子宮内膜が体外に出ることに伴って月経期に感じる痛みですが、生理痛が生じる原因は主に4つあります。1つ目が「プロスタグランジン」というホルモンの分泌量の増加です。プロスタグランジンには子宮収縮の作用があるため、収縮に伴って痛みは増強します。次に、子宮の出口が狭いことです。子宮の出口が狭いと、子宮内膜がスムーズに子宮外に流れにくくなり、圧力が高まり痛みが増強します。残る2つの原因は冷えとストレスです。冷えもストレスも血液の循環状態を悪くするため、プロスタグランジンが体内にとどまることで、痛みが強くなります。

一方、子宮内膜症は子宮内膜が子宮以外の臓器、卵巣や腹腔内などで増殖してしまう病気です。通常の月経時には子宮内膜がはがれて出血しますが、子宮内膜症の場合には子宮以外の臓器でも同様のことが起こります。その結果、出血が起こっても血液の出口がないために血液が貯まってしまいます。そして、貯まった血液が引き金となり、炎症が起こり、「癒着(本来離れている組織と組織がくっついてしまうこと)」という状態を作ります。癒着が広がると、生理以外の時も腹痛や腰痛が起きることがあります。

子宮内膜症と生理痛の症状の違いは?

子宮内膜症では治療が必要になることもしばしばありますが、治療を始めるためには子宮内膜症ではないかと気づくことが必要になります。子宮内膜症の場合には、通常の生理痛とは症状が違うということが重要となります。子宮内膜症では、通常の生理痛よりもひどい生理痛をきたすことが多いのです。もともと生理痛の痛みが強い人には、明確な痛みの差がないことも多いですが、子宮内膜症による生理痛には、生理の回数を重ねる毎に次第に強くなってくるという特徴があります。また、生理痛以外の症状も重要になります。子宮内膜症では、生理痛以外にも腹痛や腰痛、性交痛、排便痛などの痛みを生じます。多様な痛みがあるという点で、子宮内膜症による症状は生理痛と違うということを覚えておきましょう。

子宮内膜症と子宮筋腫のメカニズムの違い

子宮筋腫は、子宮の壁の「平滑筋」という部分の細胞が異常に増殖することで生じます。なぜ、細胞増殖が起こるのかは明らかになっていませんが、エストロゲンなどの女性ホルモンが影響しているのではないかと考えられています。

一方、子宮内膜症は、子宮内膜の組織が子宮以外の臓器で増殖する病気です。子宮内膜症と子宮筋腫では、増殖する元の組織が異なります。

子宮内膜症と子宮筋腫の症状の違い

子宮内膜症の症状は、ひどい生理痛、腹痛や腰痛、性交痛、排便痛です。ただ、子宮筋腫の代表的な症状もそれと似ています。月経量の増加と月経痛については、子宮筋腫が生じた部位によって起こる症状は異なり、筋腫がさほど大きくなくても強い症状が出る場合があります。また、子宮筋腫には性交痛や排便痛の症状が見られる頻度は、子宮内膜症よりも少ないため特徴的な症状ではありません。

子宮内膜症について、生理痛や子宮筋腫との違いをご紹介しました。痛みに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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