そもそも手術とは?同意書の内容、手術室の体制も解説 「手術が怖い」という人にはどう対応してくれる?
- 作成:2016/04/21
「手術」という言葉を聞いたことがない人はいないと思いますが、なぜ手術になるのか、どういう種類があるのかを、落ち着いて考えたことのある人は、そう多くはないのではないでしょうか。手術室ではどんな人が働いているのかや、同意書の意義も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
手術って何?なぜ手術をしないといけないの?どれくらい時間がかかる?
「手術」とは、病気に対応する目的や身体の機能の改善を目的として身体の一部を切開し行われる治療のことです。病気を治す目的の手術の場合、腫瘍や炎症のある部分を切って取り除く手術が行われます。身体の機能の改善を目的とする手術とは、美容目的や障害のある部位に対する形成術、病気で傷んだ骨を人工のものに取り替える人工骨頭置換術、他人の臓器を移植する手術などがあります。
手術を行うことで病気が治ったり、完全に治らない場合でも生存できる期間が長くなる、痛みなどの身体の症状がなくなり苦痛なく過ごせるようになる、身体の機能が改善するなどの利点があります。
手術の時間は手術内容によって大きな差があり、例えば同じ胃癌の手術でも、がんのできた場所、大きさ、周囲の臓器との関係、手術方法などによって手術時間は2時間程度から8時間以上かかるものまで大きな差があります。手術全体では30分以下の小手術もありますが、大手術になると脳外科領域の手術や移植手術など細かな操作を必要とする手術があり、一日近くかかる手術もめずらしくはありません。
手術室ってどんなところ?どんな人が働いている?
手術を行う病院では一般の病室や診察室の他に「手術室」と呼ばれる手術専用の部屋があり、手術を円滑に行うためのスタッフが多数働いています。手術の時に傷口からばい菌が入ると患者さんの命にかかわるため、手術室に入る際は清潔であることが何よりも大切になります。そのため、手術室に入る前には決められた手順で手を洗い、髪の毛やほこりが落ちないように専用の帽子や衣類、マスクなどを身につけて入室するように決められています。
また実際に手術を行う医師や看護師は患者さんに触れる部分が全て無菌の状態でなければなりません。そのため手を無菌状態に近づけるための特殊な手洗いを行い、更に無菌状態になるように処理された特殊な手袋、ガウンと呼ばれる首から下全身を覆う不織布の衣類を身につけ、同様に無菌状態に処理された器具や糸を使用して手術を行うのです。
手術室では手術を行う医師の他、麻酔をかける医師、看護師、手術に使用される特殊な機械を操作する臨床工学技士、手術中や手術後にX線写真を撮影する放射線技師など多数のスタッフが協力して働き、手術が円滑に行われるように努力しています。
「手術が怖い」人に対して病院はどう対応しているか?
「手術が平気」という人はあまりいません。多かれ少なかれ、誰しも手術は恐ろしいものであり、できれば受けたくないと思うのが当然です。しかし病気を治すためにはどうしても手術を受けなければならない場合があります。
そのような場合、どのように対応したら良いのでしょうか。病院ではまず手術の細かな説明をしてくれます。予定日や予定時間の他、どのような方法で手術を行うか、手術後食事を開始したり、立って歩けるのはいつからかなど説明は多岐にわたります。もちろん、この時点で分からないことや不安なことは何でも質問しましょう。「正体の分からないもの」はどんな場合でも不安なものですが、説明を聞いて実際の様子を理解することは不安や恐怖を少なくすることに役立ちます。
また、手術で心配なのは痛みです。身体を切るのだからどんなに痛いだろう、と思うと恐ろしくなります。病院には麻酔科という科の医師がおり、手術中や手術後の傷の痛みをとる専門の仕事を行っています。手術の前には麻酔科の医師からも面談や説明の機会が必ず設けられていますので、痛みについて心配なことはどんな小さな事でもお願いしましょう。
手術について考えると前日の夜は眠れなかったり、逆に手術の最中に目が覚めたらどうしよう、と心配される方もおられます。麻酔科の医師はこのような問題にも対応しており、ご希望の場合は手術の前日に内服する睡眠導入剤を処方してくれたり、当日手術室に向かう際に緊張する方には薬で半分眠ったまま、ある程度リラックスして入室できるよう手配するなどの配慮を受けることが出来ます。また手術中は様々な機械で麻酔がしっかりとかかるようにコントロールされているため、手術中は深く眠っています。
手術同意書とはどんな内容?どういう意味がある?
現在、手術を受ける場合にはどんな小さな手術であっても「手術同意書(承諾書)」という書類を書くことが一般的です。これは手術の前に書く書類で、手術の方法や内容、目的、手術中に起こりうる合併症やリスクなどについて病院側がきちんと説明したこと、患者側も内容を理解しましたということを双方が証拠として残すための書類です。
手術は安全に行われるように最大限の配慮をもって行われますが、人間の身体にメスが入るため様々なリスクがあることも事実です。実際に手術を開始してみると病気が思ったよりも広がっていたり、出血が止まりにくかったりするなど、事前に予期していない思わぬ事態が起こる場合があります。
また手術後に合併症が出現したり、回復が思わしくないこともあります。そのような場合に説明を受けていないと患者側の家族が不安になったり、治療がうまくいかない場合もあります。そのためどんなに小さな可能性であっても想定されるリスクについて説明を行い、病院側と患者側で認識を一致させておくことで手術後のトラブルを未然に防ぐことができるのです。
手術の概要や同意書についてご紹介しました。手術を不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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