狭心症の手術治療 「ステント」「カテーテル」「冠動脈バイパス」などを解説
- 作成:2016/02/04
狭心症の治療の場合、カテーテルと呼ばれる動脈から入れる管を使って、狭くなった心臓に栄養を供給する冠動脈を広げる方法をとります。ステントとは、網目状の金属のことで、体内に設置することで、動脈を広げた状態を維持するために使われます。ただ、カテーテルを使った治療は受けられない人もおり、その場合、体を大きく切り開いて処置をする方法がとられます。
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狭心症の手術 カテーテルとは?ステントはどう使う?
狭心症の手術治療として最も一般的な方法がカテーテル治療です。カテーテル治療は、医学的には「経皮的冠動脈インターベンション(PCI)」と呼ばれています。
足の付け根を走る大腿動脈や、手首の橈骨(とうこつ)動脈、肘の部分の上腕動脈から、「カテーテル」と呼ばれる1mmから3mmの細い管を入れます。カテーテルの中は空洞になっており、この中に、様々な器具を通して治療することで、詰まったり細くなった冠動脈(心臓をとりまき、酸素を供給する動脈)を広げることができます。
ステントとは一体どんなもの?
カテーテル治療の多くは、「バルーン(風船)」と「ステント」を用います。
先端にバルーンの付いたカテーテルを、冠動脈の狭くなった部分まで持って行き、バルーンをふくらませることで、狭くなった血管を広げます。ステントとは、「網目状に張られた金属の筒」のことであり、ステントをバルーンにかぶせて、冠動脈の狭くなった部分まで持って行きます。そこでバルーンを膨らませることで、ステントも広がり血管の内側を押し広げることができます。
その後、バルーンをしぼませてステントだけを置いてきて、広げた状態を維持しようとする治療です(「ステント留置術」と呼びます)。
カテーテル治療の利点とは?体への負担が少ない?
カテーテル治療は、非常に体への負担が少ない利点があります。全身麻酔を行う必要がなく、カテーテルを刺す部分の局所麻酔のみですので、手術中の意識もあり、医師と会話しながら行うことができます。
一般的に、カテーテル治療は、「血管内治療室」と呼ばれる場所で行い、レントゲン撮影のようにX線装置で、血管内のカテーテルの位置をモニターに写しながら、治療を進めていきます。
術後、再び狭くなる確率は、大幅減少
以前は、ステント留置術の術後、再狭窄(広げた血管が再び狭くなってしまうこと)が20%から30%起こっていました。ただ、再狭窄を防ぐ薬が長期的に溶け出すような「薬剤溶出性ステントステント(DESステント)」と呼ばれるものが登場して以来、再狭窄率は大幅に低下しています。
しかし、ステントの種類に関わらず、治療後は血が固まる「血栓症」を予防する目的で、抗血小板薬と呼ばれる「アスピリン」や「クロピドグレル」、「プラスグレル」といった薬を長期的に服用する必要があります。
冠動脈バイパス手術とは?
腎臓の機能が低下している場合、カテーテル治療を行う際に用いる造影剤が、腎臓の負担となり、さらに腎機能が低下してしまうこともあります。また、動脈硬化がかなり進んでいる場合、2本の「左冠動脈(左前下行枝、左回旋枝)」と「右冠動脈」の3本の冠動脈全て詰まっている場合や、左冠動脈が枝分かれする手前の幹の部分が詰まってしまった場合など、重症度が高い場合には「冠動脈バイパス手術(CABG)」と呼ばれる胸を大きく開ける外科手術勧められる場合があります。
バイパス手術では、狭くなった血管を迂回するように、代わりとなる血管をつないで、その先の心臓に血液が流れるようにする治療です。代わりにつなぐ血管は「グラフト」と呼ばれますが、グラフトには胸を走っている「内胸動脈」や足にある「大伏在静脈」など、身体にとって無くても困らない血管を使います。
患者さんの血管の状態や全身状態をよく検討してどちらの治療法が良いか検討し、治療方法が選択されます。
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狭心症の手術治療についてご紹介しました。もしかして狭心症かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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