クレチン症とは?原因、発症タイミング、治療を解説 甲状腺に異常?
- 作成:2016/10/04
クレチン症とは、新生児の甲状腺とよばれる部分の機能の異常によって発症する病気です。どのような型があるのかや、治療の概要について、医師監修記事でわかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
クレチン症はどんな病気?
クレチン症は、「先天性甲状腺機能低下症(せんてんせいこうじょうせんきのうていかしょう)」とも呼ばれる生まれつきの病気です。発生の頻度は、新生児の3000人から5000人に1人ほどと言われています。
知能や身体の発達に重要な影響を与える甲状腺の機能が低下するため、知能低下や発育障害といった深刻な症状が現れます。早期には、以下のような症状が出ることがあります。ただ、症状の現れ方には、多様な個人差があります。
・生後2週間以上続く遷延性の黄疸(おうだん)
・おへそから腸の一部がはみ出る臍(さい)ヘルニア
・舌が口の中に納まらないほど大きくなる巨舌症(きょぜつしょう)
・便秘
・声のかすれ
クレチン症が発生する原因
新生児にクレチン症が発生する大きな原因は、主に3つあります。
第1 の原因は、胎児期に甲状腺が形成されなかったり、形成されても未熟なまま、生まれてきたりすることです。このケースは「欠損性(けっそんせい)クレチン症」と呼ばれます。
第二の原因は、胎児期に甲状腺が、正しい位置でないところで形成されることです。このケースは「異所性(いしょせい)クレチン症」と呼ばれます。
第三の原因は、生まれつき甲状腺ホルモンを合成できない、あるいは合成能力が低いことです。このケースは「甲状腺腫性(こうじょうせんしゅせい)クレチン症」と呼ばれます。
なぜ甲状腺の異常が起こるかは解明されておらず、現在も原因遺伝子の研究が進められています。
クレチン症が発覚するタイミングは?
クレチン症を持った新生児は、血液中の「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」というホルモンに異常が見られるため、生後5日から7日に実施されるマススクリーニング(新生児に先天性の異常や疾患がないかを調べる検査)を受けることでクレチン症が発覚します。そのため、症状が現れるより前にクレチン症の有無が分かることがほとんどです。
しかし、まれに甲状腺刺激ホルモンの異常が遅れて発生するケースがあり、マススクリーニングで発見できないこともあります。
永続的に症状が現れるクレチン症とは異なり、症状が一時的なものである「一過性甲状腺機能低下症(いっかせいこうじょうせんきのうていかしょう)」との区別をつけるため、母親に甲状腺疾患があるかの確認や、胎児の定期的な観察なども行う必要があります。
クレチン症の治療方法
クレチン症の治療は、一般的に小児科や内科で受けられます。
生後2カ月以内に、甲状腺の機能低下が疑われれば、甲状腺ホルモン剤の飲み薬の服用を始めます。甲状腺ホルモン剤は、「レボチロキシンナトリウム」という薬を用いることが多いです。
生涯治療を続けることが必要と思われる場合、3歳以降にいったん薬の服用を中止し、病型を診断します。以降は、判明した病型に合った種類・量の投薬を続けることになります。
クレチン症についてご紹介しました。新生児が病気になる可能性に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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