脂肪肝の症状、検査、診断 自覚症状なし?痛み、下痢、蕁麻疹は?
- 作成:2016/06/06
脂肪肝は、一般的に自覚症状がありません。痛み、下痢、蕁麻疹との関係に加えて、検査や診断の概要を医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
脂肪肝に自覚症状はある?
脂肪肝の症状 疲れやすい?だるい?
脂肪肝の症状 痛みはある?
脂肪肝の症状 下痢がおきる?
脂肪肝の症状 蕁麻疹が出る?
脂肪肝は血液検査でわかる?γ-GTPやAST,ALT?数値基準は?
脂肪肝の診断方法 エコーやCTをつかう、わかる?
脂肪肝に自覚症状はある?
脂肪肝に自覚症状はほとんどありません。肥満の方やアルコールの量が多い方が発症することが多い傾向がありますが、やせていたりアルコールを一滴も飲まない方でも食事の栄養バランスが悪かったり、お薬の影響などで脂肪肝がみられるケースがあります。
自覚症状がないために自分で脂肪肝があることに気がつくのは難しい場合があるため、定期的に健康診断などで血液検査や腹部エコー検査などを受け、チェックを行うことが望ましいと言えます。
脂肪肝の症状 疲れやすい?だるい?
脂肪肝にはほとんど自覚症状がなく、脂肪肝だけの場合は疲れやすさやだるさなどの症状がみられることは通常ありません。ただし、脂肪肝は肥満や糖尿病、高血圧などを合併するケースが非常に多いため、脂肪肝に加えて血糖値や血圧が異常に高い場合は疲れやすさ、だるさなどの症状を感じることがあります。
脂肪肝の症状 痛みはある?
脂肪肝に自覚症状はほとんどなく、痛みなどの症状がでることも基本的にはありません。痛みを感じる神経は、肝臓の表面(肝皮膜:かんひまく)にしかないため、脂肪肝だけでなく、肝硬変や肝臓癌になっても、肝皮膜に影響が及ぶまでは痛みが出ないことが普通です。そのため例えば巨大な肝臓がんがあるにも関わらず無症状というケースもしばしばあります。
日ごろから右脇腹の痛みがあるために「肝臓が痛い」と訴える患者さんが時折いますが、そのほとんどは肋間神経痛などによる肝臓以外の痛みであることが多いようです。
脂肪肝の症状 下痢がおきる?
単純な脂肪肝のみの場合、脂肪肝のせいで下痢などの症状が起こることはほぼありません。ただしアルコール性脂肪肝が進行して、アルコール性肝炎や肝硬変になり、肝機能が著しく低下しているような場合は、消化機能が落ちて下痢の症状がみられるケースがあります。また、アルコール飲料そのものや脂肪分の多い食品によって、下痢を起こすこともよくあるため、日常的に下痢をしている場合に脂肪肝のせいだと思い違いをされる方もまれにいらっしゃいますが、実際にはアルコール飲料や脂肪分の多い食品など、その他の原因による下痢であることがほとんどです。
脂肪肝の症状 蕁麻疹が出る?
脂肪肝がある方に蕁麻疹(じんんましん)が出るケースがあり、脂肪肝と蕁麻疹の関係について心配される方がいらっしゃいますが、実際には脂肪肝と蕁麻疹に直接の関係はありません。
蕁麻疹はアレルギーと関係があると考えられていることが多いのですが、蕁麻疹の患者さんのうち、アレルギーなど原因がはっきりしている方は3割程度と考えられており、残り7割程度は原因のはっきりしない蕁麻疹です。原因がはっきりしない理由としては蕁麻疹の発症にはストレスなどが大きく関与していると考えられているという点があり、普段蕁麻疹が出なくても疲れがたまっていたり、強いストレスがかかった時、体調が悪い時などに蕁麻疹が出やすくなるという事が分かっています。
蕁麻疹と脂肪肝に直接の関係はありませんが、単純な脂肪肝だけでなく肝臓に炎症が起こっている場合などは肝機能の低下が認められるため、疲れやすくなる傾向にあります。このような場合に蕁麻疹がみられるケースがあると考えられます。
脂肪肝は血液検査でわかる?γ-GTPやAST,ALT?数値基準は?
脂肪肝では血液検査に異常がみられます。脂肪肝の診断では、最初に健康診断の際などに行われる血液検査の異常で脂肪肝が疑われ、その後腹部超音波検査(エコー)などの画像検査を行い脂肪肝の確定診断(間違いないという診断)に至る例が多いようです。
脂肪肝では肝臓に関連する項目に異常値がみられます。最も一般的な項目としては「AST(GOT)」「ALT(GPT)」「γ-GTP」などが基準値(5から40IU/l程度)を超えて上昇しますが、脂肪肝ではAST(GOT)よりもALT(GPT)の方がより高い数値に上昇する(ALT> AST)という特徴があることが知られています。また、単純な脂肪肝だけの場合はAST(GOT)、ALT(GPT)の上昇は50から100IU/l程度までと言われており、100以上に上昇している場合は肝臓の炎症を疑って他の検査を行う場合があります。なお「IU/l」とは、酵素の量を表す。国際的な単位です。
脂肪肝の診断方法 エコーやCTをつかう、わかる?
脂肪肝の診断方法については、血液検査や腹部超音波(エコー)検査、腹部CT検査などが一般的です。最初に、血液検査で肝機能に関連する項目の異常値が認められ、脂肪肝を疑われるケースが多いようです。血液検査では「脂肪肝が疑わしい」というところまでしか検査できないため、診断を確定するために腹部超音波検査、腹部CT検査などの画像の検査が行われます。腹部超音波検査や腹部CT検査では、肝臓の内部の様子を実際に画像としてとらえて、人間の眼で直接観察し、肝臓の内部に脂肪がたまっていないかをチェックすることができるため、より正確な診断ができます。またこれらの画像検査では、脂肪肝の可能性だけでなく、脂肪肝の重症度や肝炎、肝硬変、肝臓がんなど他の病気の有無も診断することができます。
実際の、検査における診断では、エコー検査の場合、肝臓と腎臓の色を比べて判断します。正常な場合では肝臓と腎臓の色は同じくらいの黒っぽさですが、脂肪肝になると肝臓が白く見えるようになり、肝臓と腎臓に白黒の差(医学用語で「肝腎コントラスト」と言います)が生じて診断することができます。また、腹部CT検査の場合、肝臓と脾臓という臓器の色を比べて診断を行います。CT検査では、脂肪肝になると肝臓が黒っぽくうつるように変化するため、脾臓(ひぞう)と比べて、肝臓の色が黒っぽく描出される場合、脂肪肝と診断することが可能となっています。
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脂肪肝の症状、検査、診断をご紹介しました。肝臓の状態や調子に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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