脂肪肝にタウリン、ウコン、オルチニン、ヨーグルト、お茶は効く?NG?
- 作成:2016/06/06
脂肪肝は、肝臓に問題が起き、肝硬変につながる可能性のある病気です。一般的に肝臓に良い影響をもたらすイメージのあるタウリンやオルチニン、その他ヨーグルト、お茶の効果について、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
脂肪肝にタウリンが有効?科学的根拠はある?
脂肪肝にウコンが有効?科学的根拠はある?
脂肪肝にオルニチンが有効?科学的根拠はある?
脂肪肝にヨーグルトが有効?科学的根拠はある?
脂肪肝にお茶が有効?科学的根拠はある?
脂肪肝にタウリンが有効?科学的根拠はある?
脂肪肝にタウリンが効くという情報がありますが、これは正確な情報ではありません。タウリンは、タコやイカなどの食品に含まれる天然の成分です。また栄養ドリンクにも含まれているため、タウリンについて疲労回復や肝臓に効く成分というイメージをお持ちの方が多いようです。
タウリンは一部で医薬品としても販売されていますが、効能については「うっ血性心不全」「高ビリルビン血症での肝機能改善」のみに限られています。脂肪肝を改善するとはどこにも記載がないのです。疲労回復などの効果についても科学的根拠はありません。
そのため、脂肪肝はもちろん疲労回復の目的で栄養ドリンクやサプリメントによってタウリンを摂取することには意味があるとは考えにくいのが現状です。多量に摂取しすぎると副作用が出る可能性もあるため、どうしても摂取したい場合は食品からとるようにすると良いでしょう。
脂肪肝にウコンが有効?科学的根拠はある?
ウコンといえば肝臓に良いというイメージがあり、脂肪肝と診断された方でウコンを含んだ商品を摂取する方も多いようです。しかし、脂肪肝にウコンが有効であるという情報に科学的根拠はなく、逆にウコンを内服することで、肝臓の機能を悪くする可能性もあるため、安易に摂取するのは危険です。
単純な脂肪肝のみであればさほど影響はありませんが、脂肪肝から進んでアルコール性肝炎や非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変などになっている場合にウコンを飲むとかえって症状を悪くする恐れがあるのです。
肝炎や肝硬変になると、肝臓に鉄分が蓄積されやすくなります。肝臓に鉄分がたまると、鉄が酸化して、肝臓の炎症を悪化させることが知られているため、肝炎や肝硬変の患者さんでは鉄の摂取を制限(6mg/日以下)したり、瀉血(しゃけつ)といって鉄を豊富に含む血液を注射針で抜くことで体内の鉄を減らす処置を行う場合があります。
ウコンには鉄分が豊富に含まれているため、食事以外にウコンを内服すると、体内に鉄が多すぎる状態となり、逆に肝臓の炎症を悪化させてしまう場合があるのです。 どうしてもウコンを内服したい方は主治医の先生によく相談し、許可をもらってから内服するほうが安全でしょう。
脂肪肝にオルニチンが有効?科学的根拠はある?
「オルニチン」とは天然に存在するアミノ酸の一種で、シジミなどに比較的多く含まれるほかサプリメントとして市販もされています。オルニチンは俗に「肝臓の機能を助ける」「脂肪の代謝を促進する」「運動による疲労を軽くする」「成長ホルモンの分泌を促進する」など様々な効能がうたわれていますが、国立健康・栄養研究所によると、上記の効能について、ヒトに対する有効性については情報が不十分であるとされており、科学的な根拠はありません。
そのため脂肪肝と診断された場合、オルニチンを含む食品やサプリメントを摂取しても脂肪肝の改善や肝機能障害の改善といった効果があるとは考えにくいのが現状です。
脂肪肝にヨーグルトが有効?科学的根拠はある?
脂肪肝にヨーグルトが有効であるという情報がありますが、残念ながら現在のところ科学的根拠はありません。
一部の特殊なヨーグルトを一定期間食べ続けた際に、一般のヨーグルトを食べ続けた群と比較して「悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)の数値が改善した:という報告がわずかに存在しますが、ヨーグルトを食べることによって明らかに脂肪肝を改善したという研究は存在しません。
また、ヨーグルトは乳製品であるため乳脂肪分を多く含んでおり、ヨーグルトを過剰に食べ過ぎると摂取カロリーが過剰となって、逆に肥満や脂肪肝を悪化させてしまう恐れもあります。
脂肪肝と診断された場合にヨーグルトを食べることは構いませんが、食べ過ぎに気をつけるようにしましょう。
脂肪肝にお茶が有効?科学的根拠はある?
近年、お茶の健康効果が世界的に注目されるようになっており、みなさんも身近で「体脂肪を減らす」などの効果をうたった商品をしばしば見かけるようになったと思います。
脂肪肝についても、お茶の効果が期待できるという報告が少数ながら存在しています。とくに緑茶に含まれる「カテキン」や「カフェイン」などの成分が有効であるとされています。
肝臓に脂肪が蓄積されると「活性酸素(かっせいさんそ)」という物質が発生して、肝臓の組織に炎症が起こるため肝、臓の機能が低下します。カテキンには有害な活性酸素の働きを抑える効果があるため、カテキンを継続して摂取すると肝機能の悪化を防ぐ効果があるとされています。
また、お茶に含まれるカテキンやカフェインは脂肪の燃焼を助ける効果があるともされており継続して摂取することで、肝臓に蓄積された脂肪が減少するのを助ける効果も期待されています。 カテキンは80度以上の温度で溶け出すため、熱いお湯で濃く入れた緑茶を食事と一緒にとると効果的であると言われています。
ただし、お茶を飲むだけで脂肪肝が完治することはないため、脂肪肝の治療では食事や運動など生活習慣の改善が基本となります。
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脂肪肝へのタウリン、オルチニンの効果などをご紹介しました。肝臓の状態や調子に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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