ペストの症状、治療、種類 初期症状あり?薬の種類や効果も解説
- 作成:2016/10/03
ペストには、進行や症状によって、実はいくつかの種類にわかれます。感染から発症するまでに2日から7日程度かかりますが、初期症状としては突然の高熱などが特徴的です。治療の概要を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
ペストには種類がある?腺ペストとは?
病気の進行や症状によりペストはいくつかに分けられます。 リンパ節に感染して、炎症を起こす「腺ペスト」は人が発症するペストでは最も多い症状で、全体の80%から90%を占めます。
さらにペスト菌が肺に入り込むと「肺ペスト」になります。腺ペストの末期に進行して肺ペストになることもありますし、また肺ペスト患者の咳やくしゃみなどによってうつることもあります。この時期は感染が急激に拡大します。
血液にペスト菌が入り込むと、敗血症を起こすようになります。これは「敗血症型ペスト」と言われ、人で確認されるペストの約1割を占めます。
また眼に化膿性潰瘍や出血性炎症を起こすことがあり、その場合は「皮膚ペスト」や「眼ペスト」とも言われます。
ペストに初期症状はある?
ノミを媒介としてペスト菌に感染すると、発症するまでに2日から7日くらいかかります。突然40度前後の高熱を出し、頭痛や悪寒の症状が出ます。倦怠感や食欲不振、嘔吐、筋肉痛などが現れることもあります。その後、急速に体が弱っていき、だいたい発症後3日から 4 日後に敗血症を起こし、その後2日から3日以内に死にいたります。
ペストの症状はどんなもの?
腺ペストの場合、ノミに咬まれたところに異常はありませんが、その近くにある「リンパ節」が痛みとともに腫れてきます。リンパ節の細胞が死んで膿瘍を作り、クルミ大からアヒルの卵の大きさくらいにまでなります。発症すると高熱を出し、悪寒や頭痛がします。その後、急速に体が衰弱していきます。
菌は血液やリンパ流に入り込んで全身の臓器に入り込み、そこで増殖します。脾臓(ひぞう)や肝臓、骨髄を経て、心臓や肺など広範囲で細胞が死に、組織が機能しなくなります。さらに敗血症を起こして発症から約1週間で死にいたります。
肺に菌が入り込んで発症する「肺ペスト」では気管支炎や肺炎を起こし、40度前後の高熱が出て、ひどい頭痛や嘔吐を起こし、急激な呼吸困難になります。肺の組織が壊れて、気道に菌が入り込み、ピンク色の血の混じった泡だった痰(たん)が出ます。進行すると呼吸不全、循環不全を起こし、発症から1日から2日で死にいたります。肺ペストは感染してから2日から3日で発症しますが、12時間以内に発症した例が報告されており、たいへん感染力が強いことがわかります。
血液に菌が入り込んで全身の臓器に入り込んで敗血症をおこすのが、敗血症ペストです。敗血症ペストは、しばしば特別な症状がないまま敗血症の症状が進行します。急激なショック症状を起こし、昏睡におちいり、手足の組織が壊れ動かなくなります。全身の皮膚下で出血して、紫色のまだらが表れます。発症してから2日から3日で全身が黒色となり、死にいたります。
ペストの治療 薬?
ペストの治療には、病原菌に対応するための抗生物質が使われます。早く治療さえすれば薬の効果は高く、予後は良好で、後遺症もほとんど残りません。肺ペストは特に病気の進行が速いので、早期に抗菌薬を投与する必要があります。患者から空気感染をした場合は、1日治療が遅れただけでも致命的になることがあります。また抗生物質で適切な治療を行わない場合には、50%以上の確率で死にいたると言われます。
抗生物質の中でも「ストレプトマイシン」「テトラサイクリン」「カナマイシン」「アンピシリン」「クロラムフェニコール」などが有効とされています。しかし1995年にマダガスカルで見つかったペスト菌は、これらの抗生物質が効かない菌であることがわかっています。
日本でペストの治療薬として保険が適用されているのは「ストレプトマイシン」という薬だけですが、副作用のおそれがありますから、過度に投与することは避けなければいけません。
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ペストの症状と治療についてご紹介しました。なんらかの病気を疑って、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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