よく聞く「腹腔鏡」とはそもそも何?手術以外に検査でも使う?
- 作成:2016/06/27
近年、「腹腔鏡」という言葉をニュースなどで聞くことも多くなりました。とはいえ、腹腔鏡というものが一体どのようなものをしっかり理解している方は多くないのではないでしょうか。腹腔鏡で行う検査の概要と合わせて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
そもそも腹腔鏡とはどんなもの?
腹腔鏡や胸腔鏡を用いた内視鏡手術は、今までのお腹を大きく開けて行う開腹(開胸)手術に代わって、お腹や胸に1cmほどの小さな穴を開けるだけですみ、操作はカメラの映像を見ながら手術を行う新しい方法です。
そもそも内視鏡には大きく2つの種類があります。1つ目は胃カメラや大腸カメラでお馴染みのもので、口や鼻、肛門などもともと身体に開いている穴から挿入するタイプです。もう1つは体の表面に小さな穴を開けてそこからカメラを挿入するタイプです。腹腔鏡は後者のタイプであり、肺がんや縦隔腫瘍(肺に囲まれた部分の腫瘍)など胸に穴を開けて手術する場合には「胸腔鏡」、横隔膜より下にある胃や腸などの手術をする場合には「腹腔鏡」と呼んでいます。また、最近話題となっている「ダ・ヴィンチ」と呼ばれるロボット手術は、内視鏡手術をさらに進歩させたものになります。
腹腔鏡手術で無くてはならないのが、「ビデオカメラシステム」と「超音波凝固切開装置」です。ビデオカメラシステムは腹腔鏡手術の根幹とも言え、細長い円筒状の先に着いたカメラの視野を、ハイビジョンモニターに体内の映像を映し出します。一方、超音波凝固切開装置は切開しながら同時に止血も行える装置で、これにより予定外の出血などの止血に難渋することも減り、内視鏡手術の適応を大幅に広げました。傷も小さく、術後の回復も早い腹腔鏡手術は、患者さんにとって理想的な治療法です。患者さんの全身状態や病状を考慮し、医師の判断で可能とされれば腹腔鏡手術が選択されます。
腹腔鏡での検査 手術だけでなく検査にも使う?
腹腔鏡は、胆嚢(たんのう)や胃などの治療を目的とした手術だけでなく、お腹の中の臓器を評価する目的で検査として使用されることもあります。血液検査やX線、CT、超音波検査も腹部臓器の評価にはとても重要ですが、腹腔鏡は直接目で肝臓や胆嚢、腸などを観察できる点で非常に優れています。腹腔鏡検査でも手術の場合と同様に、炭酸ガスでお腹を膨らませ(気腹)、密着した臓器どうしを離して観察します。例えば、慢性的な肝硬変では肝臓表面の凹凸や形、色合いなどを評価できるため、有用です。また、必要であれば、「生検(せいけん)」と言って、疑わしい病変を一部つまんで取ってくることもできます。生検によって採取した組織を顕微鏡で観察することで、腫瘍などの確定診断(この病気で間違いないという診断)にも腹腔鏡検査は有用です。
婦人科でも、子宮や卵巣、卵管の状態、癒着(本来くっついていないところがくっつくこと)の有無などを確認することができ、軽い癒着であればその場で剥離する(はがす)ことも可能となります。検査は子宮内膜症の疑いがある場合や、子宮卵管造影検査で異常がある場合などに行われます。卵管や卵巣に、妊娠を妨げるような異常がないかを直接目で見て観察することもできるので、不妊症の検査として有用です。
ただし、検査といっても腹腔鏡手術と同様に侵襲性(体への影響)が高く、合併症のリスクもあるため、医師と相談して慎重に決定する必要があります。
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腹腔鏡や腹腔鏡による検査についてご紹介しました。御自身や近い方の手術に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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