逆子(骨盤位)の治し方 逆子体操、外回転術、寝方を解説 お灸、カイロ、逆立ちの効果は?
- 作成:2016/08/18
逆子の場合は、さまざまなリスクを考えて、「帝王切開」による出産になります。帝王切開を避けたいと考える方は少なくないでしょうから、さまざまな解消方法の情報があります。ただ、危険なケースもあります。体操、外回転術から寝方や逆立ちの効果まで、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
目次
- 逆子の治し方 逆子体操の効果は?
- 逆子の治し方 外回転術の効果は?
- 逆子を解消する寝方がある?逆に危険?科学的な根拠がある?
- 逆子にお灸が効果がある?逆にリスク?科学的な根拠がある?
- 逆子にカイロで温めることが効果がある?逆にリスク?
- 逆子に逆立ちが効果がある?逆にリスク?
逆子の治し方 逆子体操の効果は?
逆子を治す方法としては「逆子体操」というものが知られていますが、この体操が本当に効果的なのかどうか証明されていません。体操などをしない場合でも、妊娠週数が進むにつれて自然に頭位になることもあります。
逆子体操には「胸膝法」と「ブリッジ法」の2種類あります。原理はどちらも同じで、赤ちゃんを骨盤から離れさせることで回転しやすくさせようと試みる方法です。
「胸膝法(きょうしつほう)」は、手、顔、胸と膝から下を床につけた状態で、膝を90度曲げてお尻を高く突き出す姿勢を取ります。姿勢を10分から15分維持し、赤ちゃんが自然に回転するのを促す方法です。
「ブリッジ法」は逆に、仰向けに寝た状態で、腰の下にクッション等を挟んで10cmから15cmほどの高さを作ります。
どちらの場合も、腹帯を着けている場合は、赤ちゃんが動きやすいように外してあげましょう。赤ちゃんが回転する推進力はお腹を蹴る時の力なので、赤ちゃんの動きがよい時に行うと効果的です。注意点として、切迫早産などで安静を指示されているときは、行ってはいけません。
逆子の治し方 外回転術の効果は?
おなかの上から赤ちゃんを回す「外回転術」も逆子を直す方法として知られていますが、安全の面から行わない病院が多いようです。
外回転術は、妊娠36週から37週に、実施が検討される方法です。早産のリスクのある方法なので、妊娠35週以前には行いません。また、分娩が近づくと、赤ちゃんが子宮口に下りていって固定されてしまうので、38週以降では困難となります。
外回転術は、まずお母さんに仰向けに寝てもらい、手で赤ちゃんのお尻を骨盤の入り口から押し上げます。そして、手または超音波で頭の位置を確認して、頭とお尻を支えて半回転させます。
外回転術の成功率は50%を超えますが、数%の確率で胎盤の剥離や破水を誘発すると報告されているため、日本ではあまり行われていません。しかし、成功率の高さから米国では推奨されている方法です。
逆子を解消する寝方がある?逆に危険?科学的な根拠がある?
逆子を解消する寝方としては、横向きになって寝ると良いとされています。このとき、赤ちゃんの背中が上を向くように、つまり第1胎向(お母さんのお腹の左側に赤ちゃんの背中がある)の時は右側臥位(右そくがい:右を下にした横向き)、第2胎向(お母さんのお腹の右側に赤ちゃんの背中がある)の時は左側臥位(左を下にした横向き)で寝るとよいとされています。赤ちゃんの背中がどちらにあるかは超音波で簡単に確認できるので、受診した際にどちらを下にして寝たらよいか確認しておきましょう。
さきほどご紹介した、逆子体操である「胸膝法」や「ブリッジ法」と合わせると、75%から90%の有効率が得られると報告されています。
逆子にお灸が効果がある?逆にリスク?科学的な根拠がある?
西洋医学的にはエビデンスがないとされているお灸ですが、全日本鍼灸学会によれば、逆子に対するお灸では、初産婦で54.8%、経産婦で83.3%の矯正に成功したという報告があります。
鍼灸の元となる東洋医学領域では、骨盤位(逆子)の原因は冷えであり、赤ちゃんが最も大切な頭を守るために、より暖かいお母さんの心臓側に頭をもってくることで骨盤位になると考えられています。矯正の開始が遅れるほど治りづらいといわれており、30週前後の早期の鍼灸が推奨されています。
実際に鍼灸院から報告されている矯正率は90%を超えることもあり、有効な治療法のひとつといえるでしょう。
逆子にカイロで温めることが効果がある?逆にリスク?
冷えは、西洋医学的にも東洋医学的にも逆子の原因といわれています。カイロの有効性が科学的に証明されているわけではありませんが、冷えを解消するための手段のひとつとしては有効かも知れません。
ただ、注意しなければならないのが、温めすぎてしまうことです。筋肉は温めると、弛緩(ゆるむこと)します。子宮口が弛緩してしまうと、早産のリスクになりかねないので、過度に暖めてしまうことには注意が必要です。
また、カイロには低温火傷(やけど)のリスクがあります。低温火傷で怖いのが、火傷の痕に生じる感染症です。皮膚が障害されると、その部分で雑菌が繁殖、侵入しやすくなります。感染症にかかってしまうと、発熱や倦怠感、または子宮内に炎症が起こる場合もあり、お母さんにも赤ちゃんにも悪影響を及ぼします。長時間の使用や下着に貼るなどの使用方法は危険なので、注意しましょう。
リスクを自分で管理するのが難しいと考えられる場合には、カイロの使用も控えた方がよいでしょう。
逆子に逆立ちが効果がある?逆にリスク?
逆子を治す方法として逆立ちをする方もいるようですが、結論から言うとあまりおすすめはできません。
というのも、逆子に対する体操なら、胸膝法やブリッジ法で90%以上の改善が報告されていて、逆立ちにそれ以上の効果を期待はしづらいと考えられます。また、身体の重心が偏っている妊娠状態では、危険を伴う逆立ちは推奨されません。
体操も逆立ちの有効性への期待の原理は、いずれも同じで、骨盤から離れさせることで、赤ちゃんの自然回転を期待するものです。逆子体操で自然回転しない赤ちゃんが、逆立ちをすれば自然回転が始まるということは、考えづらいでしょう。大抵の逆子はいずれ自然に頭位になるので、転倒の危険がある方法を無理に行う必要はありません。
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逆子の治し方についてご紹介しました。検診で「逆子」と指摘されて不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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