逆子(骨盤位)の確率、解消・再発・予防可能性 初産はなりやすい?腹帯は有効?
- 作成:2016/08/18
「逆子」というと特殊なケースに聞こえるかもしれませんが、妊娠中期までの赤ちゃんは半分以上が逆子の状態になっています。自然に解消することも少なくなく、分娩時に逆子なのは5%程度とされます。いつごろまで解消するかや再発、予防可能性も含めて、専門医師の監修記事でわかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
目次
逆子になる確率は?
このように考えられる原因は色々ありますが、妊娠中期までの赤ちゃんの実に半分以上が逆子と言われており、妊娠30週頃には約15%が逆子とされます。妊娠週数が進むと自然に頭位になることが多く、分娩時に逆子であるのは5%くらいです。
逆子は何週まで解消する可能性がある?
妊娠週数と逆子の頻度は次のように報告されています。
妊娠16週から23週(妊娠6カ月まで)→73.2%
妊娠24週から27週(妊娠7カ月)→34.5%
妊娠28週から31週(妊娠8カ月)→16.7%
妊娠32週から34週→8.8%
このように、週数が経過とともに、逆子の頻度は低下しています。
正期産(出産に最も適しているといわれている期間で、妊娠36週以降42週未満のこと)に入る妊娠36週(妊娠10ヶ月)では、体重によって確率が変わります。
体重2,500g以上3,000g未満の赤ちゃんで4.5%
体重3,000g以上の赤ちゃんで3.1%
このように、赤ちゃんの自然回転は妊娠24週頃から始まり、31週までに80%以上の赤ちゃんで完了します。一般的には、妊娠31週までは逆子は解消すると考えられています。一方、妊娠31週、32週でまだ骨盤位(逆子)であるときは、何らかの原因によって自然回転が障害されていると考える必要が出てきます。
初産は逆子になりやすい?
また、初産婦でも逆子となる確率が高いことが報告されています。経産婦(出産経験のある女性)では、出産を経験したことで「腹壁(腹腔を取り囲んでいる壁)」が緩みやすくなっており、赤ちゃんの動きに対して柔軟に対応できます。一方、初産婦では、腹壁が緊張しているため、赤ちゃんの自然回転が滞るため、逆子になる頻度が高くなっています。
逆子は繰り返しやすい?
妊娠期間中には、逆子は繰り返すものです。赤ちゃんはお腹の中で自由にぐるぐると回っているので、逆子になっては戻り、逆子になっては戻りを繰り返します。大きくなってくると、自由に動き回るスペースがなくなってくるので、次第に頭を下にした状態で落ち着くようになります。一度戻ればもう固定されるかといえばそうでもなく、赤ちゃんが動くスペースがある限り、何度逆子になっても異常ではありません。
ただ、さきほどお話した通り、妊娠31週、32週になっても逆子となっている場合は、羊水過多症や、子宮奇形、子宮筋腫、胎盤の位置異常などによる子宮の形態異常、狭骨盤(骨盤が狭いこと)や多胎妊娠、血行不良または酸素欠乏による赤ちゃんの発育、活動性の低下など、逆子となる原因を探る必要があります。
子宮の奇形や病気が原因で逆子となっている場合、治療などをして問題を解決しなければ、別の妊娠の機会で逆子になる可能性が高くなります。
逆子は予防できる?
逆子は全てのお母さんが経験することで、妊娠6カ月まではむしろ逆子の状態の方が多いものです。赤ちゃんはお腹の中を自由に回転しているので、当然逆子にもなります。妊婦健診の際にエコーで見た時にたまたまその状態であっただけで、何も異常なことではありません。逆子と言われ続けても、実際に逆子のまま分娩を迎えるのは全体のおよそ5%程度でしかありません。つまり、逆子は自然に治りますので、「絶対に予防しよう」と考えるのはあまり意味がありませんし、逆子を気にしすぎてストレスをためるようでは、意味のないことと言えます。
予防できる原因としては、赤ちゃんに元気がないと回転しづらいことや、赤ちゃんが小さいとスペースが広いために固定しづらいことが考えられます。対策としては、お母さんが神経質になりすぎず健康な生活を送ることで、赤ちゃんも元気にすくすく育つことでしょう。
腹帯で逆子は予防できる?
腹帯と逆子にはあまり関連はありませんが、お腹を温めるという意味では、腹巻タイプの腹帯は逆子を防ぐ手段の一つとして考えられます。また、ある程度大きくなって自由な回転が減ってくると、骨盤を締めて、頭を骨盤内に固定させるためにガードルタイプの腹帯を使用する医療機関もあるようです。いずれにしても、「腹帯を着けると逆子になる」、または腹帯を着ければ必ず逆子を防止できる」というものではないことを覚えておきましょう。
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逆子の確率や予防方法などについてご紹介しました。検診で「逆子」と指摘されて不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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