バリウムと内視鏡、受けるならどっち?消化器科医の9割が選んだのは
- 作成:2021/08/28
一般に普及している検査でも、その分野を専門としている医師のほとんどが実は別の選択肢を選んでいることがあります。AskDoctorsで行った医師へのアンケート調査に基づいて、特に顕著な結果が出たケースについてご紹介します。ご自身が検査を受ける際の参考にしてみてください。
この記事の目安時間は3分です
消化器科の医師はバリウム検査と内視鏡検査、どちらを受ける?
一定の年齢を超えると、勤務先や自治体で胃がん検診を受けることを推奨されます。このとき、検査方法としてはバリウムと内視鏡(胃カメラ)があり、希望の検査を選択できる場合も。ただ、どちらがいいのか、よく分からないという人も少なくないでしょう。まずは、それぞれの検査について、簡単に解説します。
バリウム:空腹状態で発泡剤と造影剤(バリウム)を飲み、げっぷを我慢した状態で検査台に乗り、検査台を上下左右に回転させながら食道~胃~十二指腸をレントゲンで撮影して、がんやポリープなどがないかどうかを調べる。検査後はなるべく早くバリウムを排出するため、下剤を飲む必要がある。
内視鏡(胃カメラ):口もしくは鼻から内視鏡を入れ、食道~胃~十二指腸に異変がないかどうか、カメラがとらえた画像をモニターに映して直接肉眼で判断する。異常があれば、その場で組織を採取したり、治療したりすることも可能。内視鏡を入れるとき、喉の奥に内視鏡が触れると嘔吐反射でオエっとなるので、苦痛をやわらげるため検査前に鎮静剤を注射することも。鎮静剤を使った場合、検査が終わっても薬の作用が切れるまで安静にしている必要がある。
バリウム・内視鏡検査について、概要が分かったでしょうか。
AskDoctorsでは、消化器科の医師に「バリウムと内視鏡、検査を受けるならどちらを選びますか?」という内容で調査をしました。結果はこちらです。
Q バリウムと内視鏡、検査を受けるならどちらを選びますか?(消化器科医302名が回答)
グラフから分かる通り、ほとんどの医師が「内視鏡検査を受ける」と回答しました。具体的には回答者302名のうち、298名(98.68%)が内視鏡検査を選択。どうしてこのように圧倒的な差がついたのでしょうか。検査を選択した理由もご紹介します。
なぜ医師は内視鏡検査を選ぶのか?その理由とは
なぜ内視鏡検査を選択したのか、その理由については自由回答で調査を行いました。多かった回答をまとめると、以下の3点になります。
■バリウム検査で異常が見つかった場合、精密検査で内視鏡検査を受けることになるので、最初から内視鏡検査を受ければ二度手間にならずに済む
■内視鏡検査のほうが検査の精度が高く、バリウム検査では見つけられない早期の胃がんや粘膜がんなども発見できる
■検査中に生検(組織を採取すること)や治療ができる
実際に寄せられたコメントも併せてご紹介します。
- バリウム検査で異常が見つかれば結局内視鏡検査を受けなければいけないから。(30代、男性)
- 内視鏡検査のほうが疾患の見落としが少ない。(50代、男性)
- バリウムは早期病変が分からない。内視鏡でも見逃されることはあるが、明らかに差がある。(30代、男性)
- 内視鏡は早期がん、胃がんのリスク評価もできる。(30代、男性)
- 普段どちらの検査も行っているが、診断能力が明らかに異なるから内視鏡を受ける。(30代、女性)
- バリウムでは治療が同時にできない。診断の正確性も内視鏡に比べると落ちる。(40代、男性)
- バリウムは排便で大変な思いをしたので、内視鏡検査を受ける。(50代、男性)
これまでバリウムの検査しか受けたことがない、何となくバリウムを選んでいたという場合は、機会があれば内視鏡検査を受けてみてもいいかもしれません。日本消化器内視鏡学会のサイトでも、バリウム検査と内視鏡検査双方のメリット・デメリットが記載されています。併せて参考にしてみてください。
※この記事は、2021年7月29日~30日にエムスリー株式会社が運営する医療従事者専用ポータルサイト「m3.com」にて、医師会員を対象に実施したアンケート調査の結果に基づいて制作したものです関連するQ&A
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