「お、お、お母さん」突然始まった子どもの“どもり” 病院を受診すべき?
- 作成:2021/11/05
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、子どもの吃音(どもり)の対応に悩む、お母さんからのご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
4歳10ヶ月の息子が二ヶ月ほど前から吃音が突然でました。『お、お、お、お母さん』という風にはじめはお母さんが特に言えず。それから言えるようにはなりましたが、あ行が特に苦手で言葉に詰まってしまうようになり手を振って言葉を出したり、『お、お、お』と連発が止まらないと笑ってあれれ?という風に照れ笑いをします。普通に話せたりもして吃音は波があるようです。
ゆっくり話し終えるまで笑顔で待ったりして理解しているという風に対応していますが、言葉が詰まって話せないと諦めて伝えるのをやめてしまう時もあります。言葉が出なくても何が言いたいかは分かったりする時もあるのですがこの場合は話せなくてもこうなの?とこちらから言っても構わないのでしょうか?
吃音は最後まで話しを聞く、待つとされますが身振りや話しの流れなどで息子が話せなくても理解した時の対応が今ひとつ分かりません。
話し終わるまで待つようにすると言葉がでなくて話すのをやめたり、出ない言葉だけフォローした時はその後の言葉はスラスラ話せたりするケースがあったので。
現在年中に進級し年中の間は様子を見ようと思っていますが年長まで変わらないようであれば相談に行った方がいいでしょうか?
【医師の回答】
吃音はとても不安ですよね。本人も吃音が発生するとストレスを感じますし、それが悪循環となりますね。また残念な事ですが、吃音はいじめやからかいの原因となってしまう場合があります。しかし吃音には様々な特徴があり、その特性を理解すればアプローチしやすくなります。3歳の時期には7割が自覚してくるというデータもありますし、早期介入が良好の結果をもたらす背景があるのでそろそろ相談する時期だと思います。
吃音の好発年齢は2〜4歳で、男女比は3:1で男の方が多いと言われています。幼児期の吃音の多くは自然消失するのですが、学童期まで残っている場合には大人になるまで残ってしまう可能性があります。成人の吃音保有者は約100人に1人と言われます。4〜5歳の時期に本人も自覚するケースが多いことと、早期介入が良好の結果をもたらす背景があるので相談する時期だと思います。
対応は年齢によって異なります。幼児期に関しては環境調整が大切になってきます。吃音は聞き手の態度、対応が最も大切になってきます。保護者指導の重要性は言うまでもありません。吃音の基本的な知識を持つことも大切ですし、「吃音を話題にしても良い」というオープンな雰囲気作りが大切です。直接的な訓練法はありませんが、発話速度や声の大きさを調節する事が効果的とされています。学齢期には吃音は負担を感じる吃り方から楽な吃り方へするための練習が大切ですし、吃音について本人と話しあっていく事も有効です。
吃音は大人になっても一定の割合で残ってしまいます。一番大切なことは吃音が消失しない症例で、吃音があってもやっていけると思える大人になる事が目標と言えます。吃音を起こしにくい話すスピードやリズムが必要な場合には小児専門機関に一度ご相談されるのもいいですね。
参考文献)
#1.Kikuchi Y. Awareness of stuttering in Japanese children aged 3-7 years. Pediatr Int 2021.63(2).150-153.
#2. Stuttering: Clinical and research update. Can Fam Physician 2016 62(6):479-84
今西 洋介
小児科医/新生児科医。日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医。
日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載コウノドリの漫画・ドラマの医療監修を務めた。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
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