保育園でノロウイルスが大流行!登園自粛2日後でも元気ならもう大丈夫?
- 作成:2021/12/17
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、感染性胃腸炎の潜伏期間に不安を抱くお母さんからのご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
5歳の娘の通う保育園で感染性胃腸炎が大流行していて、あまりの感染拡大で、地元の医師はノロだろうと。
娘は月曜日に登園し、クラスでも吐いた子がいて、火曜日から登園自粛になり休んでいます。
感染していないか心配でビクビクしていますが、水曜夕方現在まだ元気いっぱいです。
明日遠方に娘の病院受診があり行くのですが、道中いきなり嘔吐などあったら困るのと、病院にも迷惑をかける事態になると困ります。
潜伏期間はもう乗り越えたでしょうか?それともまだ注意が必要でしょうか?
【医師の回答】
子どもがノロウイルスにかかると本当に大変ですよね。我が家も娘がノロウイルスにかかった時、家族内で次々に感染して大変でした。
厚生労働省の調査によると、ノロウイルスの患者数は毎年1000人前後です。潜伏期間は24〜48時間と言われていて、感染経路はほとんどが経口感染です。特に食べ物を扱う人たちを介して食べ物が汚染されるパターンが多く、原因食品がわからない一因となっています。
では24~48時間たてば安心かと言われると、決してそうではありません。ノロウイルスを腸の中で保有する期間はおおよそ7日以内のことが多いですが、子どもの場合は1ヶ月以上も便の中に排泄することも認められています。ノロウイルスに感染した子どもの糞便には大量のウイルスが排泄されるため、しっかりと感染対策をする必要があります。
感染対策の基本はまず「手洗い」です。トイレに行った後、おむつの処理、料理の前後などに石鹸でしっかり洗いましょう。石鹸ではウイルスは落ちませんが、手の脂肪を取ることによりウイルスが指から剥がれやすくなります。
お母さんの一番多い盲点は調理器具や使用した物(タオル)の消毒です。ノロウイルスは消毒用エタノールや石鹸では完全に機能を失うことができません。推奨されるのは次亜塩素酸ナトリウムを使うこととされていますが、なかなか常備している家庭は多くありません。次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤(キッチンハイターやカビキラーなど)でも代用可能です。それらもなければ、調理器具や使用したタオルは85度以上の熱湯で1分以上加熱することも有効です。ウイルス排泄のことも考えてこれらの感染対策を行なっていきましょう。
#1. 厚生労働省.ノロウイルスに関するQ&A
#2. 杉枝正明ら.Norovirus感染により排泄されるウイルス量について. 臨床とウイルス 2004, 32. 189-194
#3. 東京顕微鏡院.ノロウイルスのヒト腸管内での保有期間と対策
今西 洋介
小児科医/新生児科医。日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医。
日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載コウノドリの漫画・ドラマの医療監修を務めた。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
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