医療費が払えるか心配なときに…「高額療養費制度」とは?
- 作成:2021/12/28
病院や薬局の窓口で支払う医療費が高額になる場合、支払った医療費の自己負担分が支給される「高額療養費制度」があります。所得などによって制限はありますが、この制度を利用すれば、上限額を超えた医療費が後から戻ってきたり、事前に申請をしておくことで医療機関での窓口負担を抑えたりすることができます。
この記事の目安時間は3分です
「高額療養費制度」とはどのような制度か
入院した際の食費や差額のベッド代、先進医療にかかる費用などを除いた医療費の中で、医療機関や薬局の窓口で自己負担する金額が、ひと月の上限額を超えた場合に、その超えた金額が「高額療養費制度」によって支給されます。
ひと月とは、月の初めから終わりを意味しており、入院が数ヶ月に及ぶ場合はそれぞれの月で医療費を計算します。上限額は、年齢や所得によって異なりますが、厚生労働省の資料に載っている例を用いて計算方法をご紹介します1)。
<70歳以上・年収約370万円~770万円で医療費の自己負担割合が3割の場合>
100万円の医療費が必要になると、窓口の負担(3割)が30万円となります。ここから、高額療養費制度を利用すると、自己負担の上限額は87,430円(80,100円+(100万円-267,000円)×1%)となり、高額療養費として212,570円(30万円-87,430円)が支給されます。
窓口での高額な一時負担を減らす方法~限度額適用認定証
高額療養費制度は、上限額を超えた自己負担分が「後から支給される」制度です。お金が戻ってくるのは良いのですが、高額な外来診療を受けた場合に、窓口でいったんその額を支払う必要があります。また、申請したとしてもお金が支給されるまでに3ヶ月以上かかってしまいます。そこで、平成24年4月1日からは、”限度額適用認定証”を提示すれば、限度額を超える自己負担分を最初から窓口で支払う必要はなくなりました。
認定証を発行するための事前申請は、加入している健康保険組合に問い合わせて行います。70歳以上の方で、非課税世帯でない方は認定証の必要はありませんのでそのまま窓口で「高齢受給者証」もしくは 「後期高齢者医療被保険者証」を提示してください。
高額療養費制度のその他の仕組み
個人では高額療養費制度の上限額に届かなかった場合でも、複数の医療機関を受診した場合や、家族の医療費の自己負担分を合算すると上限額を超えているような場合は、高額療養費の支給を受けることができます。これを「世帯合算」と言います。こちらは、同じ公的医療保険に加入していることが必要であるため、共働きの夫婦でそれぞれ別の公的医療保険に入っている場合などは利用できません。
また、高額療養費として払い戻しを受けたことが12ヶ月以内に3回以上あった場合は、4回目から「多数回該当」となり自己負担の上限額が下がります。多数回該当となった月(4回目)から、所得区分によって定められた高額療養費制度の上限額が軽減されます。
医療費が高額になった場合は、加入している医療保険や自治体に相談を
両親や家族の医療費が高額になった場合は、加入している医療保険を保険証から確認して、高額療養費制度の支給申請を行いましょう。このとき、高額療養費制度を利用しても、実際にお金が返ってくるのには3ヶ月以上かかってしまうので、医療費が高額になることが事前に分かっていれば、限度額適用認定証を事前に申請することをお勧めします。
病気になった際は、色んな心配ごとが他に増えて、高額療養費制度を利用し忘れてしまうこともあるでしょう。しかし、高額療養費制度は、診療を受けた月の翌月の初日から2年間有効なので、遡って支給の申請をすることができます。
高額療養費制度の負担上限額は全国で一律ですが、自治体によって独自の医療費助成制度を設けている場合もあるので、加入している医療保険や住んでいる自治体に問い合わせたり、事前に調べておきましょう。
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