子どもの医療費、いつから自己負担?助成を受ける際に注意したいこと
- 作成:2021/12/07
治療費や薬代といった医療費のうち、病院や薬局の窓口で支払うことになる自己負担の割合は、人によって様々です。中でも、子どもの場合は年齢によって全額が公費負担となる期間がありますが、この期間は住んでいる地域によって全く異なります。そのため、住んでいる市町村の外の医療機関にかかった場合や、引っ越しで住所が変わった際には注意が必要です。
この記事の目安時間は3分です
子どもの医療費の自己負担が必要になるのはいつから?
日本の医療保険の制度では、義務教育就学前(小学校入学前)までは医療費の2割を自己負担し、義務教育就学後は3割を自己負担することで、医療保険による診療を受けることができます。さらに、全ての都道府県と市区町村が独自の制度を設けて、この2~3割の自己負担分に対する助成を行っています1)。ただし、その制度は各自治体によって異なるので、住んでいる場所によって子どもの医療費の自己負担が必要になる時期は異なります。
住んでいる場所によって自己負担が必要になる時期が違う
子どもの医療費にいつから自己負担が必要になるかについては、住んでいる場所によって異なります。例えば、東京都千代田区では15歳の年度末までの子どもへの自己負担分を助成していることから、中学生になるまでは自己負担なしで医療を受けることができます2)。一方、岡山県岡山市では、小学校就学前は自己負担がありませんが、小学生から1割(自己負担上限額44,400円/月)、中学生からは3割の自己負担を支払う必要があります3)。
子どもの医療費の自己負担がいつから必要になるかを調べるためには、ご自身が居住している市区町村のホームページなどをご確認ください。
子どもの医療費の助成を受けるためには
こうした子どもの医療費の助成を受けるためには、自治体への申請が必要です。
子どもが生まれると、住んでいる場所に出生届を提出して、両親のどちらかの保険に扶養として加入します。子どもが医療保険に加入してから、助成を受けるために子どもの医療証の発行を申請します。各市区町村によって申請する課や医療証の名称が違う場合がありますが、窓口や郵送などで対応してくれます。
東京都大田区の場合は、0歳から小学校入学前(6歳になった日以降、最初の3月31日まで)の乳幼児は「乳医療証」、6歳になった最初の4月1日から中学校修了前(15歳になった日以降、最初の3月31日まで)の児童には「子医療証」という名称で発行されます4)。
子どもの医療費の助成を受ける際に注意する点
子どもの医療証の申請をして、発行されるまでに少し時間がかかるので、その間に病院を受診して保険診療を受けると、手元に医療証がない場合があります。その際には、いったん医療機関の窓口で自己負担分の医療費を支払うことになりますが、各自治体の窓口で払い戻しを受けることができます。
もし、医療証の申請が遅れた場合は、受診した日の医療費を払い戻しできない場合もありますので、出生日に遡って助成を受けられるかどうかを事前に確認しておきましょう。
また、子どもの医療証を発行している市区町村のある都道府県外で病院を診療を受けた場合は、一時的に医療費の自己負担分を支払う必要があります。健康保険のみを利用して、乳幼児であれば2割、それ以外は3割の自己負担分を窓口で支払います。
その後、医療機関でもらった領収書を持って子どもの医療証を発行している役所に行って払い戻しの手続きを行います。この際、払い戻しを受け付けてくれる期間が決まっていますので、遅れないように注意しましょう。
自治体のホームページなどで確認を
子どもの医療費の助成は全ての地域で行っていますが、川崎市のように保護者の所得制限を設けているところもあります5)。該当年度の所得が限度額を超えていた場合、子どもの医療証が交付されません。
このように各市区町村により、自己負担分が必要ない期間が異なっていたり、所得制限がある場合もあります。また、制度自体が変更になる場合もあるのでお住まいの地域の自治体のホームページなどを閲覧して情報を確認しておきましょう。
執筆:薬剤師K 調剤薬局勤務、薬剤師10年目
1)令和元年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」について
2)東京都千代田区ホームページ
3)岡山県岡山市ホームページ
4)東京都大田区ホームページ
5)神奈川県川崎市ホームページ
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