ストレスを上手にかわすために必要な「基本姿勢」
- 作成:2022/04/24
人生100年時代を生き抜くためには、健康を“資産(アセット)”と捉え、自分で資産管理(アセットマネジメント)していく必要があります。しかし、“健康を管理する”と一口に言っても、一体何を管理すればいいのでしょうか。そこで、“健康のアセットマネジメント”について、行動変容外来で診療を行う横山啓太郎先生に解説いただきました。
この記事の目安時間は3分です
健康を管理するために欠かせない4つのアセット
健康管理をするために重要なのは、「マインド」、「運動」、「栄養」、「睡眠」の4つです。
なかでもマインドは4つの中で中心的な存在です。
メンタルが“精神”そのものを指すのに対して、マインドは“精神”や“意識”などを表すほか、“思考や判断をする心”であったり、“考えや意向”などの意味も含んでいます。もっと広く捉えるならば“心の在り方”とも言えるでしょう。
4つのアセットをわかりやすく表現すると、下の図のようになります。たとえば栄養につながるダイエットを行うにしても、やせることへの意識、すなわちマインドが必要になり、運動するにしても動機付けへのマインドが必要となります。
マインドは健康を考えた時、いろいろなシチュエーションでカギを握るとても大切なアセットです。今回はマインドの整え方を簡単に紹介していきます。
マインドを中心とした4つのアセット
マインドを整える第一歩、呼吸を整えてリフレッシュする
マインドという言葉を理解しても、実際どうしたらいいのか考えてしまう方もいるでしょう。そこで、まず、呼吸を整えてマインドをリセットする方法をご紹介します。
これはストレスを受けていたり、悲観的な考えに偏っている脳を楽観的にチェンジする“マインドフルネス(不安やストレスからの解放)”のひとつの方法です。呼吸を整えることで、交感神経(活動的)を抑えて、副交感神経(穏やかな状態)が優位になり、血圧の上昇も防ぐと言われています。
イライラしたり、気分が落ち込んだりした時にも、下の呼吸をぜひ試してみてください。
(1)背筋を伸ばして座り、目は閉じるか薄く開けて斜め下を見る。
(2)息を吸う時、胸やおなかがふくらむのを感じながら、心の中で「ふくらみ、ふくら
み」と実況する。無理に呼吸をコントロールせず、その時にしたいように呼吸する。
(3)息を吐く時、胸やおなかが縮むのを感じながら、心の中で「縮み、縮み」と実況す
る。
※早稲田大学熊野弘明教授の呼吸法を参照 イラスト:笹山敦子
ストレスを上手にかわす方法を身につける
ストレスはマインドを保つためにも、できるだけ排除したいもの。前項の呼吸法で落ち着いたら、ストレスを和らげる“ストレス・コーピング(処理する)”をやってみましょう。
コーピングには、認知的コーピングと行動的コーピングがあります。
認知的コーピングというのは、認知を多角的に捉える方法で、たとえば「あの人ならこんな時どんなことを言うだろう」とか、「宝くじがあたったら、●●を買おう」など、空想・妄想することです。楽しいこと、心が和らぐことを自由に考えるのです。
認知的コーピングと対照的に、行動的コーピングは実際に行動を起こすものです。有名店のケーキを食べる、●●さんと長電話する、ペットと公園に散歩に行ってフリスビーをするなど。実際に行う前に細かいシチュエーションをメモしておくといいかもしれません。
また、何か失敗した時は、「自分のせいだ」と思って落ち込んでしまいがちですが、自分ではなく何かのせいにするというのもいいでしょう。ネガティブになった時にこそ発想の転換が必要です。健康アセットの中でも中心となるマインドを健康に保つためには、自分を可愛がることが必要なのかもしれません。
1958年生まれ。1985年東京慈恵会医科大学医学部卒業。国立病院医療センターで内科研修後、東京慈恵会医科大学第二内科、虎の門病院腎センター勤務を経て、東京慈恵会医科大学内科学講座(腎臓・高血圧内科)講師、准教授、教授。2016年、大学病院として日本初の「行動変容外来」を開設、診療医長に。2019年には寝たきりのリスクを減らす新型人間ドック「ライフデザインドック」を慈恵医大晴海トリトンクリニックにてスタートさせた。日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本腎臓学会認定専門医、日本透析医学会指導医。主な研究分野は、慢性腎臓病の進展制御と合併症研究、Ca制御機構に関する研究、血管石灰化研究、生活習慣病行動変容。2021年から東京慈恵会医科大学 大学院 健康科学教授。
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