学校でいじめられないか心配…12歳の子ども、チック症の疑いがある場合はどうしたらいいでしょうか
- 作成:2022/05/27
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、12歳の子どもにチック症のような症状があらわれ始め、学校でいじめられないか心配というお母さんからのご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
12歳の男の子です。この1か月ほど、両目を見開きがながらぐーっと左を見たり、瞬きしながらギョロっと目玉を動かしたりします。
私がどうしたの?と聞くと、本人は「目にゴミが入ってる感じ…」とか「乾燥してる感じがする」などといいますが、自分が目をギョロっとしてることには気づいていないような感じもします。
子どもは、自閉症スペクトラムの診断を受けています。
すごくしょっちゅう目玉を動かしたりするのでお友達にいじられないか心配です。
チック症の疑いがある場合、受診したほうがいいのでしょうか。親としてどのように対応したらいいのでしょうか。
医師の回答
チックは自分の意志と関係なく体が動いたり(不随意運動)、言葉が出てしまったりする状態を言います。チックは大きく運動チックと音声チックに分かれ、さらにそれとは別の分類で単純チックと複雑チックがあります。単純チックは幼児期に多く、症状が一過性で他の発達障害と合併することは少ないとされています。対して複雑チックは学齢期に多く、症状が持続的で他の発達障害と合併します。そのため、今回ご相談いただいたお子さんの場合、複雑運動チックの可能性があります。
チックのお子さんを持つ保護者の皆様に伝えることは様々ですが、保護者の皆様の多くは不安が強く、症状を悪く捉えることが多いように感じます。まず、チックは不随意運動であり体質のような物です。わざとしているわけではないので、その症状を叱ったり、叩いたりしては絶対にいけません。本人が「やめなければ」と思うほど不安は強くなり症状は悪化します。
チックの治療には、「保護者の方がチックの特徴をよく理解し、安心すること」が何より大切です。そのうえで知っていただきたいのは、まずは年齢によって変化することと、症状が強ければ薬や行動療法など治療があるということ。また、他の発達障害が合併していれば早期介入が必要と言われているため、そのための手立てが必要となることです。
チックは「様子をみましょう」と診療される事もありますが、複雑チックの場合は早期診断、早期介入が大切に思われます。ご不安が強ければ専門機関にご相談されるのが良いと思います。
参考文献
星野恭子.チック,Tourette症候群の診療について(総説).日小誌 2019.123(6):957-964
小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医
一般社団法人チャイルドリテラシー協会所属。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの取材協力。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
関連する記事
このトピック・症状に関連する、実際の医師相談事例はこちら
-
てんかんと「痙攣」「認知症」の関係 見分け方がある?ない?
てんかん
-
てんかんの発作以外の症状、合併症、後遺症 精神症状も?子供と大人で合併症が違う?
てんかん
-
感染時には症状がない場合も?小児コロナの後遺症「Long COVID(ロング・コビット)」とは
コロナ・ワクチン
子育て
-
【小児コロナ 全編】小児科医に聞く!子どものコロナ、どうしたらいい?
子育て
コロナ・ワクチン
セミナー・動画
-
発達の遅れがある子どもの、学校生活や将来について~発達障害コミュニティに寄せられたママ・パパに聞きたいこと。
発達障害
-
まだしゃべらない、歩かない…うちの子の発達、大丈夫? 保護者の心配に、小児科医が「真っ先に疑う」意外なポイント
子育て
病気・症状名から記事を探す
- あ行
- か行
- さ行
-
- 災害
- 再放送
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん
- 子宮頸がん検診・検査
- 子宮頸がんの症状
- 子宮頸がんのリスク・予防
- 子宮内膜症
- 脂肪肝
- 手術
- 出産後の症状・悩み
- 出産準備・入院
- 食事・授乳・ミルク
- 食欲
- 心臓病
- 自閉症
- 女性
- 自律神経失調症
- 腎炎・腎盂炎
- じんましん(蕁麻疹)
- 膵臓がん
- 睡眠
- 髄膜炎
- 頭痛薬、副作用
- 性器の異常・痛み
- 性器ヘルペス
- 性交痛
- 成長(身長・体重など)
- 性病検査
- 性欲
- 生理痛(生理・月経の痛み)
- 生理と薬(ピルなど)
- 生理不順・遅れ(月経不順)
- 摂食障害
- 切迫早産
- 切迫流産
- セミナー・動画
- 前立腺
- その他
- その他アルコール・薬物依存の悩み
- その他胃の症状・悩み
- その他うつの病気・症状
- その他エイズ・HIVの悩み
- その他肝臓の病気
- その他外傷・怪我・やけどの悩み
- その他心の病気の悩み
- その他子宮頸がんの悩み
- その他子宮体がんの悩み
- その他子宮の病気・症状
- その他出産に関する悩み
- その他腫瘍の悩み
- その他消化器の症状・悩み
- その他腎臓の病気・症状
- その他生理の悩み・症状
- その他臓器の病気・症状
- その他皮膚の病気・症状
- その他卵巣がんの悩み
- その他卵巣の病気
- その他流産の症状・悩み
- た行
- な行
- は行
- ま行
- や行
- ら行
協力医師紹介
アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。
記事・セミナーの協力医師
-
白月 遼 先生
患者目線のクリニック
-
森戸 やすみ 先生
どうかん山こどもクリニック
-
法村 尚子 先生
高松赤十字病院
-
横山 啓太郎 先生
慈恵医大晴海トリトンクリニック
-
堤 多可弘 先生
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷
-
平野井 啓一 先生
株式会社メディカル・マジック・ジャパン、平野井労働衛生コンサルタント事務所
Q&Aの協力医師
内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。