お風呂で手が滑って、赤ちゃんがお尻を強打。病院に行くべき?
- 作成:2022/10/27
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、お風呂でうっかり手が滑り、生後3カ月の赤ちゃんがお尻を打ってしまったというご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
現在3ヶ月になる乳児を育てています。
今日、お風呂で体を洗っている際、支えている手が泡で滑ってしまい、40cmくらいの高さからお尻からストンと転落させてしまいました。
大泣きしたので抱き上げ、一度お風呂から出して体を拭き、あやしたところ、機嫌が直りました。
足やお尻を触っても痛くなさそうだったため、湯船につけて様子を見ましたが、足もよく動かしていました。
お風呂後は、ミルクもよく飲み、そのまま寝ています。
打った直後は、お尻に赤くなっているところがありました。
このような場合、どのような症状がみられたら病院を受診すべきでしょうか?
もし骨にヒビでも入っていたらと思うと、不安でいっぱいです。
よろしくお願いします。
医師の回答
お風呂で石鹸の泡で滑ってしまい、落とされたのですね。
6歳以下の乳幼児を対象にした骨折症例442名の調査では、上肢の方が下肢の3.4倍多かったという報告もありますが、相談者さんのお子さんは、お尻から落下したから下肢や骨盤の骨折を心配されているということですね。15歳未満の下肢の骨折の原因としてはスポーツ活動中が最多ですが、次いで転落が多かったという報告があります。乳児の骨折は転倒や転落によるものがほとんどです。
子供の骨は成長過程であり弾力性と柔軟性に富んでいます。そのため、大人ではポキッと折れる箇所でも子供の場合は竹がしなるように骨折している場合があります。これは、骨の一部に亀裂が入って曲がるものの完全に折れていない骨折のことで、若木骨折(わかぎこっせつ)とも呼ばれます。
診断は当然ですが骨折の部位のX線(レントゲン)撮影を行います。骨折して直後の場合にはX線で骨折を確認できないことや、骨折して関節内で脱臼を伴う事があります。こういった場合にはX線を撮影しても診断できない場合があります。その場合には定期的なX線撮影が必要になってきます。
乳児は骨折しても、自覚症状を訴えることができません。「おむつを変える時に毎回泣く」というのも乳児特有の発見エピソードですね。一見すると腫れていることが少なく、別の欲求で泣いている場合もあるのですが、触ると泣く、足を次第に動かさなくなるなど、お母さんの中でいつもと異なる様子、気になる症状があれば迷わず整形外科を受診しましょう。
参考文献
#1. 杉田淳. 骨折 2022;44(2):516-519
#2. 麻生邦一. 日本小児整形外科学会雑誌 2020.;29(2):329-333
#3. 日本整形外科学会.「小児の骨折」 (2022/9/19 最終閲覧)
小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医
一般社団法人チャイルドリテラシー協会所属。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの取材協力。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
関連するQ&A
病気・症状名から記事を探す
- あ行
- か行
- さ行
-
- 災害
- 再放送
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん
- 子宮頸がん検診・検査
- 子宮頸がんの症状
- 子宮頸がんのリスク・予防
- 子宮内膜症
- 脂肪肝
- 手術
- 出産後の症状・悩み
- 出産準備・入院
- 食事・授乳・ミルク
- 食欲
- 心臓病
- 自閉症
- 女性
- 自律神経失調症
- 腎炎・腎盂炎
- じんましん(蕁麻疹)
- 膵臓がん
- 睡眠
- 髄膜炎
- 頭痛薬、副作用
- 性器の異常・痛み
- 性器ヘルペス
- 性交痛
- 成長(身長・体重など)
- 性病検査
- 性欲
- 生理痛(生理・月経の痛み)
- 生理と薬(ピルなど)
- 生理不順・遅れ(月経不順)
- 摂食障害
- 切迫早産
- 切迫流産
- セミナー・動画
- 前立腺
- その他
- その他アルコール・薬物依存の悩み
- その他胃の症状・悩み
- その他うつの病気・症状
- その他エイズ・HIVの悩み
- その他肝臓の病気
- その他外傷・怪我・やけどの悩み
- その他心の病気の悩み
- その他子宮頸がんの悩み
- その他子宮体がんの悩み
- その他子宮の病気・症状
- その他出産に関する悩み
- その他腫瘍の悩み
- その他消化器の症状・悩み
- その他腎臓の病気・症状
- その他生理の悩み・症状
- その他臓器の病気・症状
- その他皮膚の病気・症状
- その他卵巣がんの悩み
- その他卵巣の病気
- その他流産の症状・悩み
- た行
- な行
- は行
- ま行
- や行
- ら行
協力医師紹介
アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。
記事・セミナーの協力医師
-
白月 遼 先生
患者目線のクリニック
-
森戸 やすみ 先生
どうかん山こどもクリニック
-
法村 尚子 先生
高松赤十字病院
-
横山 啓太郎 先生
慈恵医大晴海トリトンクリニック
-
堤 多可弘 先生
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷
-
平野井 啓一 先生
株式会社メディカル・マジック・ジャパン、平野井労働衛生コンサルタント事務所
Q&Aの協力医師
内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。