クラミジアの症状は?検査方法や治療法まで解説
- 作成:2017/01/30
クラジミアは、性病としては、比較的よく知られています。男性と女性は性器のつくりが違いますので症状が違いますが、性器から膿(うみ)が出るなどの共通した症状もあります。また、放置すると不妊の原因になったり、手術が必要な病気にまで進展することがあります。クラミジアの検査方法は主に2種類あります。ただ、片方の検査は、感染していないにも関わらず、「陽性」の結果が出てしまうことがあります。どのようなメカニズムなのか、国内にどれくらい患者がいるのかも含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は6分です
目次
- 半数以上が自覚症状なし
- 他の病気への感染リスクがあがる
- クラミジアが喉に感染した際の症状
- 女性患者の症状の特徴 放置すると危険
- 男性患者の症状の特徴
- クラミジアの患者はどれくらいいる?
- クラミジアの感染率は?
- クラミジアの検査方法はどんなもの?
- クラミジアの検査の注意点
- クラミジアは自然治癒がありえる?
- クラミジアの放置リスク
- 病院でかかるのは何科?
- クラミジアの治療 どんな薬?
- 妊娠中も治療可能?薬が限定される?
半数以上が自覚症状なし
クラミジアは細菌の一種であり、ヒトに感染するクラミジアは、「クラミジアトラコマチス」「オウム病クラミジア」「肺炎クラミジア」の3種類があります。クラミジアによる感染症では、性交によってクラミジアトラコマチスに感染するものが最も多いのですが、性器以外にも喉、眼などに感染することもあります。
クラミジアは、性感染症の中で最も多い病気のひとつですが、早期の段階では、女性の約8割、男性の約半数は自覚症状がないと言われています。早期の段階で現れる主な症状は、女性の場合、おりものの増加、下腹の痛み、不正出血などで、男性の場合、排尿時にしみたり、尿道が熱く焼けるような痛みを感じたりするほか、透明または濁った分泌物などが出ます。また、クラミジアに感染すると、脚の関節が痛むことがあります。関節の痛みは、クラミジアによる感染症ではなく、性器がクラミジアに感染したことによる免疫反応と考えられています。
他の病気への感染リスクがあがる
さらに、クラミジアに感染すると、症状の出ている部分の抵抗力が低下して、クラミジア以外の病原菌も侵入しやすくなるため、クラミジア以外の性感染症にもかかりやすくなってしまいます。特に、クラミジアに感染していると、HIV感染者との性交による、HIVへの感染確率が非常に高くなるといわれています。クラミジアは、症状が進行すると、さまざまな合併症を発症するだけでなく、男女とも不妊の原因となることがあるため、早期発見と早期治療が大切です。そして、クラミジアに感染しないためには、セックスの際にコンドームを正しく使用することが大切です。
クラミジアが喉に感染した際の症状
性感染症の一種であるクラミジアは、大半は性器に感染する病気ですが、性器から喉に感染することもあります。喉にクラミジアが感染すると、咽頭炎を起こすことがあります。喉にクラミジアが感染した時の主な症状は、乾いた咳、喉の痛みやはれ、発熱などで、咽頭の違和感や声のかすれが現れることもあります。喉にクラミジアが感染した場合、多くは軽症であり比較的早期に回復しますが、まれに重症化して気管支炎や肺炎を起こすこともあります。
喉にクラミジアが感染した場合、風邪の症状と似ているためクラミジアの感染に気づかないことも少なくなりませんが、重症化することもあるため、症状に気づいたら早めに医師に相談しましょう。
女性患者の症状の特徴 放置すると危険
女性がクラミジアに感染した場合、早期の段階では、おりものの増加、下腹の痛み、不正出血などが現れることがあります。さらに症状が進行すると、頻尿、排尿時の痛み、腟から黄色い粘液や膿が出るなどの症状がみられるようになります。
さらに放置して、クラミジア感染が子宮や卵管に広がると「卵管炎」または「骨盤内炎症性疾患」という病気になることがありますし、腹腔(お腹の空洞部分)の内側をおおう腹膜に広がると腹膜炎になることがあります。卵管炎や腹膜炎は、激しい腹痛を起こすだけでなく、緊急手術が必要になることもあります。
また、不妊につながることもあります。クラミジア感染によって卵管の周囲に癒着が起こると不妊や子宮外妊娠の原因となることがあります。妊娠中にクラミジアに感染していると、流産や早産の原因になるだけでなく、出産時に産道を通して赤ちゃんに感染し、「新生児結膜炎」「新生児肺炎」といった病気を引き起こすこともあるため、妊娠を希望する場合、特に早めに治療をすることが大切です。
男性患者の症状の特徴
男性の場合、クラミジアに感染すると、早期の段階での主な症状は、排尿時にしみたり、尿道が熱く焼けるような痛みを感じたり、透明または濁った分泌物が出たりすることがあります。また、起床時に性器の先が赤くなったり、乾いた分泌物でくっついたりすることもあります。
クラミジアが進行すると、頻尿、排尿時の痛みが現れ、尿道から膿が出てきます。さらに細菌が尿道から前立腺へ感染すると、前立腺炎を起こすことがあります。前立腺炎の症状は、肛門と陰のうの間の「会陰部」と呼ばれる部分や、恥骨付近、脚の付け根の「鼠蹊(そけい)部」、太ももの内側などの鈍い痛みですが、日によって痛む場所が違ったり、症状が変化したりするのが主な特徴です。
放置して、前立腺炎が進行すると、睾丸の周りにある副睾丸が炎症を起こし、「副睾丸炎」や「精巣上体炎」と呼ばれる病気を起こします。副睾丸炎は、睾丸から足の付け根部分に激しい痛みや高熱の症状が現れます。また、左右ともに副睾丸炎を発症すると、不妊症になる危険性が高いため、症状に気づいたら放置せず早めに医師の診察を受けましょう。
クラミジアの患者はどれくらいいる?
2012年に国内でクラミジアに感染していると報告された人数は、日本国内で男女合わせて8,653人でした。ただし、この人数は一部の医療機関から報告を受けたクラミジア患者人数の合計であり、対象の医療機関以外を受診した患者や感染しているにもかかわらず医療機関を受診していない患者は含まれていません。
国内でクラミジアに感染しているとされる推定患者人数は、女性で81万人強、男性で14万人弱の計95万人強という報告もあります。
クラミジアの感染率
クラミジアは、感染力が高い細菌です。そのため、クラミジアに感染している患者と一度でも性交すると感染する可能性が高いとされ、オーラルセックスでも感染することがあります。なお、性交以外でクラミジアに感染することは少ないですが、クラミジアがついた手で眼や口に触れると、クラミジアに感染することがあります。
クラミジアの感染率は、10代後半から20代前半がとくに高く、男性より女性の方が高いとされています。ただし、男性であっても決して少なくない病気です。20代で自覚症状のない男性の尿検査をしたところ、4%から5%はクラミジアに感染していたという報告もあります。
クラミジアは、20代後半以降であっても感染することは珍しくない病気です。正常な妊婦を対象とした妊婦健診では、全体の3%から5%にクラミジアがみられます。クラミジアは自覚症状が現れにくいため、感染していても感染を自覚していないまま過ごされている方は決して少なくないのです。
ただし、クラミジアに感染してから症状が現れるまでには少なくとも1週間から3週間かかるため、この間に複数の相手と性交を行った場合は、感染源となる相手や感染経路を特定できない可能性が高くなります。
クラミジアの検査方法はどんなもの?
クラミジアの検査方法には、主にクラミジアの有無を調べる「抗原検査」と、クラミジアの感染によって体内に作られた免疫を調べる「抗体検査」があります。抗体検査は血液を採取する血液検査になります。抗体検査の場合、クラミジアに一度感染すると治った後もクラミジアIgG抗体はずっと陽性に出るので、クラミジア感染を確定するときは抗体検査だけでなく抗原検査も行います。
抗原検査は、尿や子宮頸部の細胞を採取して「核酸増幅法」という方法によって、クラミジアの有無を確認する方法が主流となっています。検査結果は、1週間くらいでわかります。
抗体検査は、血液を採取してクラミジア感染によって作られた抗体の有無を調べる検査のことで、抗体が確認された場合は陽性となります。抗体検査は、比較的簡単に検査を受けることができますが、過去に一度でもクラミジアに感染した人は、治った後も陽性反応が出てしまいます。一度クラミジアに感染すると免疫となる抗体ができますが、一度抗体ができると体内に一生存在し続けるためです。抗体検査で陽性反応が現れただけでは現在クラミジア感染の有無を確定することはできないため、クラミジア感染の有無を診断するために、改めて抗原検査が必要となるわけです。
クラミジアの検査の注意点
抗体検査および抗原検査のいずれの場合も、採取した検体に含まれるクラミジアの量がごくわずかであるときでは、検査をしても感染が確認できないことがあります。通常はクラミジアに感染してから発症するまでに1週間から3週間かかることから、この間に検査を受けた場合はクラミジアを確認できないことも珍しくありません。
男性の場合、尿を採取する前にトイレに行ってしまうと、尿管の入り口にたまったクラミジア細菌が尿によって洗い流されてしまうため、正確な結果ができないことがあります。女性の場合は、子宮頸管においてクラミジア感染が確認できない場合でも、子宮、卵管、腹腔内はクラミジアに感染していることもあります。このため、抗原検査で陰性反応が出ても、自覚症状があるときや内診で異常がみられるときは、血液を採取して抗体検査を行います。
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クラミジアは自然治癒がありえる?
クラミジアは、治療せずに放置しても自然に治ってしまうことがあります。しかし、クラミジアは早期の段階では自覚症状がないことが多いため、感染していることに気づかないことが珍しくない病気です。
クラミジアの放置リスク
さらに感染していることがわかっているにもかかわらず、治療しないで放置してしまうと、症状が進行して回復するまでに時間がかかってしまいます。また自覚症状がないうちに、パートナーに移してしまっていることも少なくありません。
クラミジアは、クラミジア以外の性感染症をはじめとする合併症を起こしやすくなるだけでなく、男女ともに不妊の原因となることがある病気です。とくに妊娠中にクラミジアに感染していると、早産や流産を起こしやすくなるだけでなく、出産時に赤ちゃんにクラミジアを移してしまうこともあります。クラミジアと診断された場合は、自覚症状がなくても放置せずに医師の指導に従って適切な治療を行いましょう。
病院でかかるのは何科?
クラミジアの治療は、婦人科または泌尿器科で行うのが一般的です。ただし、性器以外に感染したときは、感染した部位を専門としている診療科で治療を行います。喉や眼がクラミジアに感染している場合は、耳鼻咽頭科や眼科、クラミジア肺炎と診断されたときは、呼吸器内科で治療をします。また、感染が子宮や卵管、腹膜などに広がり、手術が必要になったときなどは、必要に応じて一時的に外科などの診療科を受診することがあります。
クラミジアの治療 どんな薬?
クラミジアに感染していると診断された場合には、クラミジアの増加を抑えるために「抗生物質(抗菌剤)」と呼ばれる抗菌剤による薬物治療を行います。通常は飲み薬を使用しますが、症状が重いときは一時的に点滴を使用することもあります。医師の指示通りに薬を使用した場合、症状が軽いときは2週間から4週間で回復します。
クラミジアの場合は、クラミジアの増加を抑える「マクロライド系抗菌剤」「キノロン系抗菌剤」「テトラサイクリン系抗菌剤」と呼ばれるものの中から、患者さんの症状や体調などに合わせて薬を選びます。
ただし、症状がなくなった途端に薬を飲むのをやめてしまうと、体内にはクラミジアが残っていることがあり、再びクラミジアが増加して病気を再発してしまうことがあります。医師から処方された薬は、必ず医師の指示通りに決められた期間飲み続けましょう。
なお、クラミジアは性感染症の原因となること知られてますが、性器だけでなく喉、眼などにも感染することがあります。喉、眼などにクラミジアが感染した場合は、症状を抑えるための薬を合わせて使うこともあります。
クラミジアはパートナー間での感染が多いため、クラミジアと診断された患者さん本人だけではなく、パートナーも同時に治療を行うことが必要です。
妊娠中も治療可能?薬が限定される?
妊娠中にクラミジア感染がわかった場合も治療は可能です。出産前から医師の指示通りに薬を飲んで治療を行うことが大切です。妊娠中にクラミジアに感染していると、出産時に赤ちゃんが産道を通るときに母子感染(母から子への感染)することがあります。赤ちゃんがクラミジアに感染すると、新生児結膜炎や新生児肺炎などの病気の原因になることがあるため、必ず治療を行いましょう。
ただし、妊娠中の場合は、使う薬が限定されます。マクロライド系抗菌剤の一種である「アジスロマイシン」または「クラリスロマイシン」のいずれかを使用し、他の抗菌剤は胎児への安全性が確認されていないため通常は使わないことになっています。妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、必ず事前に医師に伝えましょう。
なお、クラミジアの治療で使われる抗菌剤は、一部の薬と併用すると、薬の効き目に影響が出て、副作用が起こることがあります。現在通院中の方や他の薬を飲んでいる場合は、現在飲んでいる薬と一緒に飲んでもよいか医師または薬剤師に確認しましょう。
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今回は、クラミジアの症状から検査、治療についてご紹介しました。クラミジアの検査は、医療機関で受けることができます。しかし、検査に不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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