おたふく風邪の初期症状は? 検査から治療まで解説
- 作成:2017/01/27
おたふく風邪は、「流行性耳下腺炎」と呼ばれ、耳の下が腫れるのが特徴的な病気で、難聴につながることもありますが、予防接種(ワクチン)で予防可能な病気です。かつては、ゼラチンアレルギーのある方は受けられませんでしたが、最近では改善しています。おたふく風邪(流行性耳下腺炎)には特効薬がありませんが、治療では使う薬や大人と子供の治療の違いがあるかを、検査や診断の概要も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は6分です
目次
- おたふく風邪に初期症状はある?
- おたふく風邪の症状が続く期間はどれくらい?
- 腫れる?腫れないこともある?
- 高熱が出る?
- 頭痛が起きる?
- 痛みがある?髄膜炎になる可能性も
- 嘔吐が起きる?
- 難聴になる場合も
- おたふく風邪の症状は子供と大人で違う?
- おたふく風邪は、妊婦は要注意?その理由
- おたふく風邪の予防接種(ワクチン)
- 予防接種の回数は何回?
- 予防接種の効果はどの程度?
- 予防接種の副作用(副反応)はある?どんなもの?
- ゼラチンアレルギーでは受けられない?
- 予防接種以外の予防方法はある?
- 大人も予防接種を受けたほうが良い?
- 妊婦は注意が必要?
- おたふく風邪の検査はどんなもの?
- おたふく風邪の診断はどのようにする?
- おたふく風邪の治療はどんなもの?
- おたふく風邪に使う薬と副作用
- おたふく風邪の治療は、大人と子供で違う?
- おたふく風邪だと学校は登校停止?
- 幼稚園や保育園は?
- おたふく風邪 患部を冷やすは正解?
- おたふく風邪の時の食事
- おたふく風邪の時、お風呂に入って良い?
- おたふく風邪の合併症 髄膜炎はどんなもの?
- おたふく風邪の合併症で難聴になる?
- おたふく風邪で男性は不妊になる?確率は?
- その他のおたふく風邪の合併症とその頻度
おたふく風邪に初期症状はある?
おたふく風邪の初期症状としては、発熱、全身倦怠感(だるさ)、気分の悪さ、頭痛、嘔吐などを認めることが多いです。これらの症状は体の中で増えたウイルスに対する「炎症反応」という体の反応によって起きています。初期症状は1日から2日持続した後に、片方または両側の耳下腺が腫れてきます。
おたふく風邪の症状が続く期間はどれくらい?
おたふく風邪は2週間から3週間の潜伏期間を経て、耳の下、あごの下、舌の下などの器官がはれ、食べ物を飲み込む時の痛みや発熱などの症状が出ます(症状の詳細は後述)。通常は1週間から2週間で改善します。発症してから48時間以内に腫れがピークとなることが多いと言われています。ただし、おたふく風邪に感染しても症状が出ない「不顕性感染」も30%から35%の患者に見られます。
なお、おたふく風邪の腫れは、他人から見ても腫れがわかり、「おたふく」という顔のつくりに似ていることが、病気の名前の由来です。
腫れる?腫れないこともある?
おたふく風邪に感染すると、症状が出てから1日目から3日目にかけて耳下腺の腫れがピークに達します。おたふく風邪は約30%の人は、感染しても無症状ですが、約30%は耳下腺の痛みと腫れを自覚すると言われています。また、耳下腺は片方が腫れて、少し遅れて反対側も腫れることがあります。
中には片方しか腫れない人もいます。「片方だけでは、おたふく風邪に対して免疫がつかず、またかかるのでは」と心配する人もいますが、片方だけ腫れた場合でもおたふく風邪に対する抗体はできると考えられています。
高熱が出る?
おたふく風邪で起きる熱は、体の様々な場所にウイルスが回り、炎症を引き起こすので高熱が出ることもあります。症状の進行と共に、40℃近くの高熱が出ることがあります。おたふく風邪に対する特効薬はないので、高熱に対しては解熱剤を使用し、症状に対応するための対症療法を行います。高熱の場合、家庭で、おでこや脇の下、首の後ろなどを冷やすのも有効です。
頭痛が起きる?
40℃近い高熱に伴って、頭痛が起きることもあります。また、おたふく風邪の合併症である「無菌性髄膜炎」という髄膜炎を発症した場合にも、発熱、頭痛、首の硬直、意識障害などが起きる可能性があります。おたふく風邪に対する特効薬は、無菌性髄膜炎などの合併症も含めてないため、頭痛に対して鎮痛薬などを内服し経過をみます。
痛みがある?髄膜炎になる可能性も
おたふく風邪では、耳の下の器官以外にも、髄膜、膵臓や睾丸、卵巣など様々な組織へ、原因となるウイルスが侵入し、炎症を起こします。炎症を起こすと痛みがあり、耳の下の器官(「耳下腺」と言います)に炎症が起これば、耳下腺の腫れや痛みとなります。髄膜に感染すると「髄膜炎」となり、頭痛や意識障害を起こします。男性の場合には、睾丸(こうがん)に感染すると睾丸の腫れと痛みが起きます。おたふく風邪による睾丸炎では、片方の睾丸が腫れて、痛みが出ます。両側に炎症が起きることは稀と言われています。対症療法になりますが、おたふく風邪に関連する痛みに対しては鎮痛薬が処方されます。
嘔吐が起きる?
おたふく風邪における痛みの原因となる炎症にともなって、全身のだるさなどと共に、嘔吐や吐き気を覚える方もいます。「無菌性髄膜炎」を合併した場合にも、嘔吐が起きることもあります。膵炎(膵臓<すいぞう>の炎症)を合併する場合も、腹痛と共に嘔吐が起きることがあります。
難聴になる場合も
他にも「ムンプス難聴」という難聴の一種を起こすこともあります。耳が聞こえづらくなるだけでなく、成人の場合にはめまいや耳鳴りがして日常生活に支障をきたすこともあります。
おたふく風邪の症状は子供と大人で違う?
おたふく風邪の症状は、基本的に発熱や頭痛、耳下腺の腫れ、嘔吐などで大人と子供で症状は変わりません。ただし、大人になってからの方がおたふく風邪の症状が重症化することがあり、おたふく風邪の合併症であるムンプス難聴にかかった場合にもめまいや耳鳴りを伴って日常生活に支障を来すことがあります。
おたふく風邪は、妊婦は要注意?その理由
おたふく風邪に妊娠初期にかかると、流産の確率が高まる一方、胎児に奇形などの異常を来すことはないと考えられています。妊娠中はおたふく風邪のワクチンを接種できないため、事前におたふく風邪に対して抗体があるかどうか調べておくのも1つの方法です。抗体が不十分の場合には、ワクチン接種が推奨されます。
おたふく風邪の予防接種(ワクチン)
ワクチンには、大きく分けて「生ワクチン」と「不活化ワクチン」という2種類があります。生ワクチンは、生きた細菌やウイルスの毒性を弱めたものを接種することで、その病気にかかったのと同じような状態を作り出して体の中で抵抗力がつくようにするものです。おたふく風邪のワクチンは、生ワクチンに分類されます。生ワクチンに分類される他のワクチンには、BCG、麻疹、風疹、水ぼうそう、ロタウイルスなどがあります。生ワクチン接種後は、体の中で毒性を弱めた細菌やウイルスが増殖するので、副反応として発熱や発疹などの軽い症状が出ることがあります。免疫がつくまで約1か月かかります。
なお「不活化ワクチン」とは、細菌やウイルスを殺し、免疫を作るのに必要な成分だけを取り出して作成したものです。そのため生ワクチンに比べて、成分だけなので、毒性はありません。不活化ワクチンには、ジフテリア、百日咳、破傷風、日本脳炎、B型肝炎、インフルエンザなどに対するワクチンが含まれます。不活化ワクチンの場合には、体の中で細菌やウイルスが増殖しないため、数回に分けて接種することが必要で、しばらくすると免疫が弱くなってしまうこともあります。
予防接種の回数は何回?
おたふく風邪はかかってしまうと、合併症である難聴なども含めて自然に治るのを待つしかありませんおたふく風邪による症状や合併症を防ぐためには、ワクチン接種をするしかありません。また、おたふく風邪は感染力が強いので、集団生活が始まる前に子供には打っておいたほうが良いと考えられています。
日本ではおたふく風邪の予防接種は、「任意接種」という扱いになっています。「任意接種」の場合、親が希望しない限りが打てないことになっています。世界的には、多くの国で麻疹(はしか)や風疹と同様に、「定期接種」(必ず受ける予防接種)としておたふく風邪のワクチンが接種されています。
おたふく風邪のわくちんは、麻疹、風疹の三種類のワクチンを混合しているので、「三種混合ワクチン」、またはそれぞれの病気の頭文字を取って「MMRワクチン」と呼ばれており、2回接種が必要です。ワクチンのおかげで、先進諸国のほとんどではおたふく風邪の流行がほとんどなく、難聴などになる人もほとんどいないと言われています。ワクチンは1歳から接種することができ、2回接種が推奨されます。小児科のかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
予防接種の効果はどの程度?
おたふく風邪の予防に最も有効なのは予防接種と言われていますが、実際にどれくらい感染を防げるかどうか気になるところです。実際にワクチンを受けると約90%の人に免疫がつくと考えられています。免疫がつくとは、おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスに感染しても体の中にすでにある抗体で対抗できるということです。残念ながら、ワクチンを接種していても感染してしまうこともありますが、ワクチンを接種していない状態で感染するよりは症状が軽く済むことが多いと言われています。また、ある集団の85%以上がワクチンを受けていれば、その病気はその集団で流行しなくなるので、結果的に予防効果を得られます。特におたふく風邪のように人から人へ感染し、感染力が強いものの場合にはワクチン接種は有効です。諸外国が、ワクチン接種を必須化している理由も理解できるのではないでしょうか。
予防接種の副作用(副反応)はある?
それぞれのウイルスや細菌に対する予防接種には、副作用(正確には、「副反応」といいます)が起きる可能性があります。現在、日本では、海外の国と違って、おたふく風邪の予防接種は任意接種となっており、希望者だけ自費で受けられます。日本で、任意接種となっている理由は、副反応にあります。
以前に麻疹と風疹とおたふく風邪の3種類を混合したワクチン接種を義務付けていた時に、おたふく風邪のワクチンの副反応と考えられる無菌性髄膜炎の発生頻度が1200人に1人と高かったため、定期接種が中止となったからです。現在の単独ワクチンでどれくらいの頻度で副反応である「無菌性髄膜炎」が起きるか、詳細は明らかではありませんが、医学部を持つ北里大学などを運営する北里研究所のデータによると。10000人に1人と言われています。おたふく風邪に感染し、無菌性髄膜炎を発症する確率は2.59%です。つまり、ワクチンで予防した方が、無菌性髄膜炎の発症は抑えられる可能性が高いということです。
おたふく風邪のワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発症は、1歳から3歳に約90%が集中しており、接種年齢を反映していると考えられています。無菌性髄膜炎を発症した約95%は入院し、1週間から3週間入院していますが、経過は良好なことがほとんどです。
おたふく風邪を発症した場合の合併症の頻度とワクチン接種後に副反応として生じる症状の頻度を比較すると、耳下腺炎は自然感染では約70%、ワクチン接種後は約3%、無菌性髄膜炎は3%から10%、ワクチン接種後は0.1%から0.01%と明らかに副反応の方が症状の頻度が低いことが分かります。また、その他のムンプス難聴や睾丸炎、膵炎などはワクチンの副反応としてはほとんど起こらないことが分かっています。基本的なデータを考えると、予防接種を受けるリスクより、メリットの方が大きいと考えられます。
ゼラチンアレルギーでは受けられない?
以前はゼラチンアレルギーのある小児におたふく風邪のワクチンを接種するのは注意が必要でしたが、細菌ではゼラチンが除かれたものや低アレルゲン性ゼラチン(アレルギーが起きにくいゼラチン)が使用されているものが多く、アレルギーのある小児にも安心して接種できるように変わってきています。
予防接種以外の予防方法はある?
おたふく風邪に対する最も有効な予防方法は予防接種ですが、その他の予防としては手洗いやうがいがあります。おたふく風邪は接触感染や飛沫感染でうつることが分かっています。接触感染や飛沫感染では、手を介してうつったり、相手がくしゃみや咳などをした時に近くにいた場合にうつります。このような感染を防ぐためには手洗いやうがいをすることが大切です。ただし、おたふく風邪の感染力はとても強いので手洗い、うがいだけでは防ぎきれない可能性も高いです。おたふく風邪の予防接種はなるべく受けるようにした方が良いでしょう。
大人も予防接種を受けたほうが良い?
おたふく風邪は、感染力が強いため子供のころにかかっている可能性が高いです。また、おたふく風邪は感染しても症状が出ない、いわゆる不顕性感染の人が約30%いると言われているので、自分では気づかないうちに感染している人も多いです。そのため、おたふく風邪の予防接種を受けていなかったとしても、すでにおたふく風邪に対する抗体を持っている可能性が高いですが、大人になってから初めて感染すると症状が重くなることがあるので病院でおたふく風邪に対する抗体があるかどうか調べると良いです。すでにおたふく風邪に感染したことがある人やワクチンを接種している人の場合は、あえて調べなくても抗体がある可能性が高いと予想できます。
ただし、ワクチンの場合には約90%の人は抗体ができますが、残りの人はせっかくワクチンを打ってもおたふく風邪に対抗する抗体ができていないことがあります。心配な場合は、自費になりますが病院で調べてもらうこともできます。
妊婦は注意が必要?
おたふく風邪に対する抗体を持っている人、つまり抵抗できる人は多いので、妊婦さんが感染する確率は1000人に1人か10000人に1人くらいと稀です。風疹などのように、おたふく風邪に感染したからといって胎児に異常が出るとは言われていませんが、妊娠初期に感染すると流産する可能性があると考えられています。心配な方は、妊娠する前に病院で抗体価を測定し、抗体価が低いようであればおたふく風邪のワクチン接種をすることが推奨されます。妊娠したらおたふく風邪のワクチンは打てないので、必ず妊娠が分かる前に準備しておきましょう。
おたふく風邪の検査はどんなもの?
おたふく風邪の検査には、唾液や髄液などから、原因となる「ムンプスウイルス」というウイルスを直接確認する方法と、血液検査でムンプスウイルスに対する「抗体」というタンパク質を検査する方法があります。
おたふく風邪を含む「感染症」(他人にうつる病気)では、細菌でもウイルスでも原因となるものを検出できれば診断を確定できます。しかし感染から時間が経過していたりすると、採取した検体にウイルスが見つからないことや検出に時間がかかることがあります。そのため、ウイルスに対して体の中に増える「抗体」を測定する方法も有効な検査方法と考えられています。
私たちの体はウイルスや細菌に対して異物と認識すれば免疫反応が起き、原因となる物質(「抗原」と言います)に対して、「抗体」と呼ばれるたんぱく質を作ります。
おたふく風邪の場合も同様の現象が起きるため、血液中に増加したムンプスウイルスに対する抗体の数値を測定します。
おたふく風邪の診断はどのようにする?
おたふく風邪を診断するためには、感染しているウイルスの種類を特定することが必要です。おたふく風邪に感染した人の唾液からは、症状が出る約7日前から発症後約9日まで、髄液中からは、症状が出た後5日から7日くらいまでウイルスを検出できる可能性がありますが、少なくても発症してから5日以内に検査をすることが望ましいと考えられています。
しかし、ウイルスの検出には時間がかかるため、一般的には血液検査を行い、おたふく風邪に対する抗体の有無で判断します。おたふく風邪に感染して間もない時、感染初期(急性期)には、「IgM」と呼ばれる抗体が増加しますが、その後「IgG」と呼ばれる抗体が増加し、IgMは徐々に減少していきます。
1つ目の方法としては、採血によってIgMを確認できれ、感染していると診断できます。また「ペア血清」といって、違う時期に採血した2回分のIgG抗体価を比較して診断する方法もあります。IgG抗体が、1回目に採血した時より上昇していればおたふく風邪と診断することができます。
最近では、ムンプスウイルスの遺伝子検査を行うこともできるようになり、ワクチンによるムンプスウイルスか、自然に感染したムンプスウイルスかの違いも分かるようになっています。
おたふく風邪の治療はどんなもの?
おたふく風邪の治療は、基本的に症状に合わせた対症療法になります。例えば発熱に対しては解熱鎮痛剤を投与し、合併症である髄膜炎を発症した場合にも安静にし、脱水などの症状が見られた時は点滴などで補液をします。
おたふく風邪に使う薬と副作用
おたふく風邪にかかってしまうと、あとは自分の免疫の力で自然に治るのを待つしかありません。これはおたふく風邪の原因であるムンプスウイルスによって起きる「無菌性髄膜炎」や「ムンプス難聴」などに対しても同様で、特別な治療薬はありません。
つまり、おたふく風邪にかかると対症療法しかありません。対症療法とは、発熱に対しては解熱剤、吐き気に対しては制吐剤など、症状に対して対応する薬を使うことです。ムンプスウイルスによる耳下腺炎や無菌性髄膜炎は治れば問題ありませんが、難聴の場合は回復後も聴力障害を残すことがあります。
おたふく風邪に対して特別な薬はないわけですが、例えば発熱に対して使用する解熱剤は副作用でアレルギーや発疹、胃腸障害、腎機能障害を起こすことがあります。その他の対症療法薬も、じんましんやアレルギー、肝機能障害など一般的な薬剤に起きる副作用は起きる可能性があるため、薬を使っていて体の異常を感じたら早めに病院に行くようにしましょう。
おたふく風邪の治療は、大人と子供で違う?
おたふく風邪の治療法は、合併症も含めて症状に合わせた対症療法なので大人でも子供でも変わりはありません。ただ、大人に比べて子供の方が発熱などで脱水になりやすい傾向があるので、症状に合わせて、必要に応じて、点滴で水分を補うようにします。
おたふく風邪だと学校は登校停止?
おたふく風邪では、発熱や耳下腺の腫れという症状が良く見られます。おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスは感染力が強いウイルスであり、特に耳下腺などが腫れている間はウイルスが大量に体から排出されていると考えられています。そのため、もしおたふく風邪を発症したら「耳下腺、顎下腺または舌下線の腫れが出現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで登校禁止」とされています。簡単に言うと、腫れが出てから5日経過し、元気になるまでは登校できないことになります。登校前に、担当の医師に、おたふく風邪の症状が改善を示す診断書をもらうように指示する学校もあります。
また、その他にも、学校を休まなくてはいけない場合があります。例えば、おたふく風邪を発症した人と同居している人や、おたふく風邪にかかっている疑いがある人については、学校医やかかりつけの医師などが感染の恐れがないと認めるまでは登校禁止です。
おたふく風邪が発症した地域から通学している人は、その発生状況から必要と考えられた場合に、学校医の意見などを聞いて決めた期間は登校禁止となります。またおたふく風邪の流行地を旅行した人も、医師の判断で、学校医の意見で登校を禁止される場合があります。登校停止の考え方は、学校保健安全法で定められた内容に基づくものです。
幼稚園や保育園は?
幼稚園や保育園の場合も、学校の登校停止と同様、おたふく風邪を発症したら耳下腺、顎下腺、舌下腺の腫れが出現した後5日間経過し、全身状態が良好になってから登園可能になります。
おたふく風邪 患部を冷やすは正解?
おたふく風邪の場合には、耳の下にある「耳下腺」やあごの下にある「顎下腺」などが炎症を起こして腫れ、痛みを引き起こします。炎症をしずめるために患部を冷やすと良いと言われています。氷をタオルで包んだものや。市販の冷却シートなどを使用して患部を冷やすのは有効です。
おたふく風邪の時の食事
おたふく風邪の場合には、耳の下や顎の下などが、炎症を起こして腫れます。飲み込むだけでも痛むことがあるため、なるべく硬い食べ物は避け、軟らかくて消化の良いものを食べるようにしましょう。また、刺激物や辛いもの、酸っぱいものは、唾液の分泌を促進させるので痛みが増す可能性がありますので、控えた方が良いと考えられています。
おたふく風邪の時、お風呂に入って良い?
おたふく風邪の時にお風呂に絶対に入ってはいけないということはありません。ただ一般的に、高熱や体調不良の時にお風呂に入ると、その後体が冷えて症状を悪化させる可能性があると考えられるため、症状が改善するまでは入らない方が良いと言われることもあります。どうしても入りたい場合は、長時間湯船につかることは避け、入浴後も体を冷やさないように気をつけましょう。
おたふく風邪の合併症 髄膜炎はどんなもの?
おたふく風邪には、多様な合併症があります。合併症の1つとして、「無菌性髄膜炎」があります。合併症としての無菌性髄膜炎は比較的軽症と考えられていますが、おたふく風邪の症状が明らかに出ている人の約10%に出現すると推定されています。
無菌性髄膜炎になった場合には、発熱、頭痛、首の固くなるなどの症状が出ることがあります。通常は、それ以外の症状は起きずに3日から10日で改善すると言われています。なお、おたふく風邪の合併症で無菌性髄膜炎を起こした人のうち30%から50%の人には、耳下腺の炎症(耳の下の部分の腫れ)が出ないことがあります。
おたふく風邪の合併症で難聴になる?
おたふく風邪の合併症として、難聴になることもあり、子供の頃におたふく風邪にかかると聴力を失う可能性があります。聴力を失うか例は、20000例中1例程度です。
可能性が高いとは言えないかもしれませんが、おたふく風邪は子供時代に聴力を失う主な原因の1つとして考えられています。約80%は片側の難聴で、症状は突然起きることが多いです。難聴になる原因としては、おたふく風邪の原因である「ムンプスウイルス」によって。耳の中にある音を感じる神経が破壊されるからではないかと言われています。「ムンプス難聴」とも呼ばれます。 大人になっておたふく風邪にかかると、難聴だけでなくめまいや耳鳴りを伴い、日常生活に影響を及ぼすこともあり、深刻なケースと言えます。最近では1000人に約1人の割合で難聴を発症する可能性が指摘されていて、以前よりも発生する確率が高くなる傾向にあります。
ムンプス難聴は、発熱や腫れの程度、無菌性髄膜炎の発症との関連は指摘されていません。おたふく風邪に感染した約30%の人は、かかったことに気づかない「不顕性感染」と言われていますが、その場合でもムンプス難聴が起きる可能性があります。
おたふく風邪で男性は不妊になる?確率は?
子供の頃におたふく風邪にかかっても、将来不妊になる可能性は低いと考えられています。しかし、思春期後の男性(15歳以上)で、おたふく風邪の最も多い合併症は、睾丸炎で、20%から30%の方に起きます。
睾丸炎では、発熱、睾丸の腫れと圧痛(つぶされるような痛み)、嘔吐などの症状が出現し、動くと睾丸の腫れと痛みが増すので、ベッド上安静が良いと言われています。約1週間で改善しますが、睾丸炎を起こした約50%の人に、睾丸の部分的な萎縮が起こると言われています。不妊になることは非常に稀と考えられていますが、睾丸炎から無精子症になり不妊の原因になることがないわけではありません。
成人女性も約7%に卵巣炎を合併すると言われていますが、睾丸炎と同様に不妊の直接的な原因になることは少ないと考えられています。卵巣炎は、虫垂炎(いわゆる盲腸)のような痛みが起きると言われています。
その他のおたふく風邪の合併症とその頻度
おたふく風邪の合併症としては、他にも膵炎(膵臓の炎症)や心筋炎、脳炎などを起こすことがあります。
膵炎は患者の約3.5%に起きるとされていますが、耳下腺の炎症がない場合もあります。耳下腺の炎症はおたふく風邪の患者の方の約30%に起こると言われていますが、症状の出方は人それぞれです。膵炎の場合には、強い腹痛、嘔吐、嘔気を起こしますが、約1週間で症状は改善し完全に回復することがほとんどです。膵臓からは血糖値を下げる作用のあるインスリンが分泌されているので、膵炎に関連した糖尿病の発生が指摘されていますが、因果関係は明らかになっていません。
心筋炎(心臓の筋肉の炎症)は、おたふく風邪の約3%から15%を、合併することもあります。心電図を取ると、心筋炎に伴う異常が検出されます。完全に治ることがほとんどですが、まれに死に至ります。
さらに発生する確率は低いですが、脳炎や腎炎、関節炎を起こすこともあります。脳炎は患者の0.02%から0.3%とかなり低い頻度です。おたふく風邪で死亡する例は、10000人中、1人から3人と言われています。
子供がなりやすいその他の病気
おたふく風邪の時の生活上の注意点などについてご紹介しました。「子供がおたふく風邪かもしれない」と不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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