手足口病の症状の疑問 初期症状、経過、軽症・合併症まで解説
- 作成:2016/06/15
手足口病は広く知られた病気ですが、子供が小さい時にかかる可能性が高いため、不安を持たれる親御さんも少なくありません。初期症状や、症状の経過、合併症の可能性を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は6分です
- 手足口病の症状の経過 ピークはいつ?
- 手足口病に初期症状はある?大人も子供も同じ?
- 手足口病の症状に大人と子供の違いがある?
- 手足口病の治りかけは、どう判断する?
- 手足口病の症状が軽いことがある?
- 手足口病で起きる合併症はどんなもの?
- 手足口病で起きる髄膜炎とは?
- 手足口病で後遺症が残ることがある?どんなもの?
手足口病の症状の経過 ピークはいつ?
手足口病が最も流行するのは夏から秋にかけてです。また秋から冬にかけても多少見られます。手足口病は5歳以下の幼児に多く見られる病気で、最も発症しやすいのは1歳児です。この季節には他にも「ヘルパンギーナ」や「プール熱(咽頭結膜熱)」が流行りやすく、「手足口病」と合わせて「三大夏風邪」と呼ばれたりもします。いずれも子どもに多く見られる病気ですので、この季節には特にお子さんの体調を注意深く観察するようにしましょう。
手足口病の原因となるのは「エンテロウイルス」「コクサッキーウィルス」と呼ばれる種類のウイルスです。「コクサッキーウイルスA16」や「エンテロウィルスA71」といった種類が手足口病を引き起こします。これらのウイルスは口や腸内で増殖して、ウイルスに感染した人の鼻水やくしゃみ、便などから感染します。
感染して3日から5日後に口の中に「腫れ物」ができます。その後に手のひらや足の裏などを中心に、2ミリから3ミリくらいの楕円形の白い水ぶくれができます。手足口病の発疹は白い水ぶくれの周りが赤くなっているのが特徴です。子どもでは発熱することはあまりなく、高熱になることはほとんどありません。
手足口病は感染症なので、人の集まるところに出かけることは控えたほうがよいですが、ほとんどの場合、軽症ですむ、約1週間をめどに治ります。ただし原因となるウイルスの種類によっては重症化することもあるので、小さなお子さんがかかった場合はしっかりと様子を観察するようにしてください。
手足口病に初期症状はある?大人も子供も同じ?
手足口病になると最初に、口の中に「できもの」ができます。唇の裏や、ほおの裏の粘膜に、水ぶくれや潰瘍のような口内炎ができます。熱が出る、倦怠感があるなどのわかりやすい症状がないので気づきにくいですが、お子さんが食べるのを嫌がったりするときは口内炎ができているかもしれませんから、口の中を注意深く見てあげて下さい。
初期症状は大人でも同じですが、子どもではあまり発熱しないのに対して、大人では高熱が出ることがあります。
手足口病の症状に大人と子供の違いがある?
子どもが手足口病を発症してもほとんどの場合には、それほど重い症状にはいたりません。発疹が消えるまでは何日かかかりますが、寝込むこともなく発疹の跡が残ることもありません。
これに対して、大人が発症してしまうと、ほとんどの場合で子どもよりも重い症状を示します。高熱や頭痛、咳が続き、口の中だけでなく唇にも水ぶくれができます。発疹は、子どもでは痛みを訴えることはありませんが、大人ではたいてい痛みをともないます。
手足口病の治りかけは、どう判断する?
手足口病では特別な治療を行わなくても、発疹が出てから数日から1週間くらいで、症状は治まります。体の発疹が消えて、口内炎が治ってくれば大丈夫でしょう。また、水ぶくれが、かさぶたになることはありません。しかし、手足口病の原因となるウイルスは、発疹が消えてからも数週間くらいは便や鼻水などにまじっていることがあります。ウイルスを含んだ、便や鼻水を介して、他の人にうつることがありますから、周りの人は手洗いや衣類の洗濯などをこまめに行いましょう。
手足口病の症状が軽いことがある?
子どもでは発疹や水ぶくれなどの症状は出ますが、たいていは軽い症状で済みます。また大人がこのウイルスに感染しても「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」と言って、多くの場合には発症しません。そのためウイルスに感染していることに気づかないこともあります。しかし、大人が発症すると、重症化する例が多く見られます。
手足口病で起きる合併症はどんなもの?
手足口病はほとんどが軽症で済む病気です。ただ、原因となるウイルスはまれに「髄膜炎(後述)」「小脳失調症(脳から脊髄にかけての神経細胞が破壊される病気)」などの神経に影響する疾患や、「神経原性肺水腫(肺に液体がたまり、呼吸困難になる病気)」「心筋炎(心臓の筋肉の炎症)」「急性弛緩性麻痺(急激に筋肉の力が弱まり、まひが起きる)」など、さまざまな病気を起こすことがあります。中には、発疹など手足口病の典型的な症状を示すことなく、重症になることもあり、死亡例も報告されています。
手足口病で起きる髄膜炎とは?
特に「エンテロウイルスEV71」に感染した場合には、他のウイルスよりも、脳の病気を引き起こす割合が高いことが明らかとなっています。エンテロウイルスによって起こる脳の病気に「無菌性髄膜炎」があります。「髄膜」とは脳を包んでいる膜のことで、髄膜炎はこの髄膜に含まれる「クモ膜」や「軟膜」に炎症を起こす病気です。「無菌性」とは、「菌が原因ではない」ということです。手足口病の原因は細菌ではなく、ウイルスです。
発症してからすぐに適切な処置を行えば改善しますが、手足口病の後に意識障害が起こり、髄膜脳炎を起こしたことが原因で、アジアの他の国々では命を落とした例も報告されています。手足口病は軽い病気ですが、このような重症の合併症に注意する必要があります。もし頭痛、嘔吐があり、高熱が2日以上続くようであればすぐに医療機関を受診してください。
手足口病で後遺症が残ることがある?どんなもの?
子どもでは発疹がかゆくなったりすることはほとんどないので、特に塗り薬などは用いません。回復後も通常では跡が残ることもありません。ステロイドは症状を悪化させてしまうことがあるので用いません。
手足口病からまれに無菌性髄膜炎を発症すると、重症にいたることがあります。エンテロウイルスによる髄膜炎は比較的症状が軽く後遺症を残さないといわれますが、早期に処置することが大切です。
【医師による医療ページ評価 - Doctors Review】
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手足口病の初期症状や合併症などについてご紹介しました。子供やご自身が手足口病のような症状になって不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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