手足口病の治療、治療期間、入院可能性 ステロイドなど薬を使う?
- 作成:2016/06/14
手足口病の原因となるウイルスに効く薬は現時点ではありませんので、発症した場合、症状にあわせて対応する治療となります。ステロイドを使う可能性があるのかや、入院可能性を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
手足口病の治療概要
手足口病に特別な治療薬などはありませんので、基本的には十分な栄養補給と水分補給が中心的な治療になります。手足口病では、ほとんどの場合、皮膚が赤くなる皮疹が出ます。しかし、皮疹のかゆみや痛みは必ず出るわけではなく、出る場合と出ない場合が有り、個人差があります。皮疹にかゆみや痛みなどを伴っているケースや見た目が気になるという場合には、抗ヒスタミン剤などの塗り薬を塗布することもあるでしょう。
特に、口内炎がひどく食事をとれないようなケースは要注意です。患者が口の痛みから、水分も栄養もほとんど取らない事も少なくなく、少量の水分や食べやすい流動食を少しずつ摂らせるような形で栄養と水分を補給させることになります。どうしても食べ物や飲み物を摂れないということでれば、点滴を打つのも治療の一環です。
手足口病の治療期間はどれくらい?
手足口病の場合、投薬などの治療はほとんど行いませんので自然回復にかかる時間ということになりますが、おおよそ1週間から10日程度と見ておくと良いでしょう。早ければ発症から1、2日で熱が引き、発疹も数日で消えてしまうこともあります。長引くときには2週間近くかかることもありますが、長引いたからといって何らかの後遺症が残るというようなこともありません。ただ、症状が収まった後も便などからは菌が検出されますので、一人でトイレができない間は注意が必要になります。
うがいやイソジンの効果は?
手足口病でよく聞かれる口内炎に対しては、うがい薬として「イソジン液」を勧められることもあります。イソジンでのうがいは、歯磨きのときの要領で行い、口に含んだうがい液が、口の中の粘膜にいきわたるように行います。
手足口病で使う薬 抗生物質や塗り薬は使う?
感染症と聞くと、抗生物質を使用するのではないか、と思われる方も中にはいるかもしれません。しかし、手足口病の原因はウイルスですので、細菌を殺すための「抗生物質」は効果がありません(混同している方もいるかもしれませんが、ウイルスと細菌は大きさや増殖形式などの観点から全く別のものです)。また、手足口病のウイルスに効果のある抗ウイルス剤などもありませんので、薬が処方されるとしても症状を緩和する解熱剤、鎮痛剤程度です。発疹がひどい場合には、抗ヒスタミン剤や副腎皮質ステロイドを使うこともありますが、基本的には使わない方針で様子を見ます。
ケナログなどのステロイドを使う?
口内炎には市販されている副腎皮質ステロイド薬で「ケナログ」「アフタゾロン」とい塗り薬があるため、食事や水分補給に難があるという場合には、痛みを和らげるために個人の判断で使ってみるのも良いでしょう。口の中に軟膏を塗る際には、うがいなどで清潔にしたうえで、薬をつけたい部分の唾液を軽くティッシュなどで吸い取ります。その後、綿棒で患部の上に塗るというより乗せる感じで軟膏をつけます。軟膏を着けた後30分間は、何も口にしないようにしてください。ただし、病院から他にも薬を貰っている場合には、ケナログなどを併用して問題ないかを医師に相談して下さい。ステロイド薬のケナログは長期使用するものではありませんので、口内炎がなかなか治らないという時は一旦使用を中止して医師の指示を仰ぎましょう。
皮膚症状にステロイドは使う?
皮膚のトラブルにステロイド軟こうを処方されることがあります。手足口病も皮膚のトラブルが起こる病気ですが、手足口病の皮膚症状に、ステロイドは基本的に使用しません。ステロイドという薬は、体の過剰な反応によって起きている炎症を抑える働きがあります。炎症が起きているところに適切に塗れば効果はありますが、どの部分が炎症を起こしているか判断するのは難しいのが実情です。また、ステロイドは、免疫の働きを一時的に下げることで症状を抑えるメカニズムですので、治るどころか、皮膚の抵抗力が無くなってウイルスの増殖につながり、症状がひどくなってしまうこともあります。何か塗りたくなる気持ちもあるかもしれませんが、基本的に塗る必要はありません。まずは医師に相談してみましょう。
薬以外の対応方法
薬以外の対処としては、冷たいタオルで患部を冷やしてかゆみを緩和する方法もありますが、使用したタオルは他の人と共用しないようにしましょう。また、痒みで、かきつぶさないようにしましょう。皮疹の中にもウイルスは含まれているので、かきつぶすと他の人にうつやしすくなったり、皮膚にかきつぶした跡が残ってしまうこともあります。
手足口病の治療は大人と子供で違う?
手足口病というと子供の病気だと思われがちですが、大人にも発症します。治療方針は子供と変わりませんが、大人は薬への耐性が強く、手足の発疹が気になるという方が多いので、子供のケースよりも、積極的に薬を使う場合が多いです。特に、大人の場合は重篤な症状となる確率が、子供より高く、早めの処置が必要になります。それでも薬自体がウイルスを死滅させることはなく、あくまで症状を緩和するだけです。栄養補給と水分補給を欠かさず、適切な休養を取るのが一番の治療となります。
手足口病で入院することがある?
手足口病と診断されたら自宅で安静にする用に言われますが、きわめてまれですが入院が必要になることがあります。ウイルスが中枢神経に達してしまったことによる「脳炎」「髄膜炎」「心筋症」の発症が原因であることもあります。口内炎や体力低下に伴う自力での栄養補給が困難になることによる点滴入院というケースもあります。特に乳幼児や高齢者は脱水になりやすく、放っておくと死亡にまでつながりかねないため、大事をとって入院する場合もあります。一様には言えません。ただ、手足口病に限ったことではありませんが、ウイルス性感染症は体力が低下すると重篤な症状に発展するケースがあります。「入院するほどにはならないだろう」と楽観的に考えて観察を怠っていると危険な兆候を見落とすことになりかねませんので、症状が落ち着いてくるまでは注意してください。
【医師による医療ページ評価 - Doctors Review】
手足口病関連の他の記事
- 手足口病の症状の疑問 初期症状、経過、軽症・合併症まで解説
- 手足口病のなる年齢、流行時期、再発可能性、予防法 ワクチン無い?
- 手足口病で病院に行くタイミング、検査、診断基準 何科に行く?
- 手足口病の発疹、口内炎症状 痛む?かゆい?全身に?跡が残る?
- 手足口病の諸症状 目やにや口臭、下痢も?高熱や嘔吐は危険?
- 手足口病の時のお風呂、食事、授乳、歯磨き、夜泣きへの対応方法
手足口病の治療などについてご紹介しました。子供やご自身が手足口病のような症状になって不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
関連するQ&A
関連する記事
このトピック・症状に関連する、実際の医師相談事例はこちら
病気・症状名から記事を探す
- あ行
- か行
- さ行
-
- 災害
- 再放送
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん
- 子宮頸がん検診・検査
- 子宮頸がんの症状
- 子宮頸がんのリスク・予防
- 子宮内膜症
- 脂肪肝
- 手術
- 出産後の症状・悩み
- 出産準備・入院
- 食事・授乳・ミルク
- 食欲
- 心臓病
- 自閉症
- 女性
- 自律神経失調症
- 腎炎・腎盂炎
- じんましん(蕁麻疹)
- 膵臓がん
- 睡眠
- 髄膜炎
- 頭痛薬、副作用
- 性器の異常・痛み
- 性器ヘルペス
- 性交痛
- 成長(身長・体重など)
- 性病検査
- 性欲
- 生理痛(生理・月経の痛み)
- 生理と薬(ピルなど)
- 生理不順・遅れ(月経不順)
- 摂食障害
- 切迫早産
- 切迫流産
- セミナー・動画
- 前立腺
- その他
- その他アルコール・薬物依存の悩み
- その他胃の症状・悩み
- その他うつの病気・症状
- その他エイズ・HIVの悩み
- その他肝臓の病気
- その他外傷・怪我・やけどの悩み
- その他心の病気の悩み
- その他子宮頸がんの悩み
- その他子宮体がんの悩み
- その他子宮の病気・症状
- その他出産に関する悩み
- その他腫瘍の悩み
- その他消化器の症状・悩み
- その他腎臓の病気・症状
- その他生理の悩み・症状
- その他臓器の病気・症状
- その他皮膚の病気・症状
- その他卵巣がんの悩み
- その他卵巣の病気
- その他流産の症状・悩み
- た行
- な行
- は行
- ま行
- や行
- ら行
協力医師紹介
アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。
記事・セミナーの協力医師
-
白月 遼 先生
患者目線のクリニック
-
森戸 やすみ 先生
どうかん山こどもクリニック
-
法村 尚子 先生
高松赤十字病院
-
横山 啓太郎 先生
慈恵医大晴海トリトンクリニック
-
堤 多可弘 先生
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷
-
平野井 啓一 先生
株式会社メディカル・マジック・ジャパン、平野井労働衛生コンサルタント事務所
Q&Aの協力医師
内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。