手足口病のなる年齢、流行時期、再発可能性、予防法 ワクチン無い?
- 作成:2016/06/15
手足口病にかかるのは5歳以下の子供が9割をしめますが、それ以外の年齢でもかかる可能性があります。ワクチンはないため、日ごろの生活の中で、予防していくしかありません。流行時期や、なぜ「再発」することがあるのかを含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は6分です
- 手足口病にかかりやすい年齢 小学生でも?
- 新生児でもなる?
- 手足口病は大人や成人、高齢者にもうつる?
- 手足口病は流行する時期や場所がある?
- 手足口病は一度かかると免疫がつく?
- 手足口病は再発することがある?
- 手足口病に予防接種はある?ない?
- 手足口病は予防できる?どうすればよい?
手足口病にかかりやすい年齢 小学生でも?
手足口病に最も感染しやすいのは5歳未満の乳幼児(特に0歳から4歳)とされていますが、新生児や小学生以降の子供が感染することもあります。厚生労働省の感染症発生動向調査によると、手足口病の感染者のおよそ90%が5歳以下の子どもとなっています。5歳未満の乳幼児が感染しやすいのは、抵抗力が低い上に、手洗いうがいなどの衛生管理能力も低く、保育園のプールを含む集団生活で一斉に感染してしまうことが多いためで、乳幼児だけが感染しやすい何らかの原因があるわけではありません。逆に乳幼児の間に感染すると抗体(体に入ったウイルスと戦う武器のようなもの)ができるため、それ以降感染しにくくなるということもあります。
新生児でもなる?
また、生まれたばかりの新生児は母親の抗体で守られているのですが、肝心の母親が手足口病に感染していると出産時に新生児に感染してしまうことがあるので注意が必要です。小学生になると抵抗力がついてきて、衛生管理の概念も理解するようになっていますが、乳幼児のころに手足口病に感染していなければ免疫ができておらず、十分感染する可能性があります。あまり日本で流行することがなく、免疫がつきにくいウイルスなどが急に流行すると小学生でも集団感染する可能性はあるので日ごろの手洗いやうがいはきちんとする習慣を身につけることが重要です。
手足口病は大人や成人、高齢者にもうつる?
乳幼児に多い手足口病ですが、大人や高齢者にも感染することがあります。これは子供の頃に手足口病に感染しなかったために免疫がついていなかった可能性が高いですが、手足口病の原因になるウイルスは複数種類あるため、以前手足口病に感染した時に原因になったウイルスとは別のウイルスに感染する可能性も否定できません(大人の手足口病については、別の原稿でくわしく解説しています)。
手足口病は流行する時期や場所がある?
手足口病は暖かい地域や季節に流行する事が多いです。春から秋に発生しやすいですが、夏場に流行し、5月から8月(7月下旬が多いようです)にピークを迎える事が多いようです。そのため、「夏風邪」の1つともいわれます。ただ、冬場に起きることもあります。
また、東アジアなどでも猛威を振るうため、旅行時には旅行先の感染症情報などを外務省のウェブサイトなどをみてチェックしておくと良いでしょう。日本では、局地的に流行するケースも多く、全国的に流行していなくても都道府県、市町村、保育園単位での流行が起こることがあります。流行が確認されたら自治体や保育園から案内がありますので、手洗いうがいを念入りに行い、可能な限り外出しない、マスクをするなど日常生活に注意すると良いでしょう。
手足口病は一度かかると免疫がつく?
手足口病の原因となるウイルスは、インフルエンザのように頻繁に変異しないため、一度感染したら二度、同じ手足口病のウイルスに感染することはまれで、ほとんどないといえます。しかし、手足口病の原因となるウイルスには種類が多く、別系統のウイルスに感染すれば再び手足口病を発症します。ただ、日本で最も感染例の多いのが「コクサッキーウイルスA16型」と呼ばれるタイプのウイルスであるため、このウイルス対する免疫がつけば、以降ほとんど発症しなくなるでしょう。そういう意味では、手足口病に一度かかると免疫がつくと言えるかもしれません。
手足口病は再発することがある?
手足口病は基本的には再発するものではありません。一度ウイルスに対する免疫がつけば、体内に残ったウイルスは完全に無力化され、再び症状を出すほど体に影響する事は極めてまれです。しかし、一度かかったものの、別のタイプのウイルスに感染し、それに対してまだ免疫を持っていなかった場合には再び発症する可能性があります。短期間で手足口病を発症する2つのタイプのウイルスに順番に感染すると、一度収まったはずの手足口病が再発したように感じるかもしれませんが、厳密には別のウイルスによる別の感染症です。流行期には、まれに同じシーズンで2、3回手足口病に感染する事がありますが、その場合はそれぞれが別のウイルスということなります。ウイルスの種類が複数あると、家族が免疫を持っていないウイルスは含まれる可能性が高いです。家族や周囲の人は十分に注意して感染拡大を防ぎましょう。
手足口病に予防接種はある?ない?
手足口病には、感染・発症を防ぐ予防薬やワクチンがありません。だからこそ、例年夏には大きな流行が起こっています。薬による予防ができないため、各々が予防のための心がけを行うことがたいへん重要です。
なお、アジアの数か国では、重篤な神経の病気につながる頻度が高い「エンテロウイルス71」に対するワクチンが開発されているようですが、2016年の時点で、実用化にはいたっていません。
手足口病は予防できる?どうすればよい?
手足口病は、原因菌である「コクサッキーウイルス」「エンテロウイルス」というウイルスへの感染を防ぐことで、予防することができます。これらのウイルスは、飛沫感染、接触感染、糞口感染によって人から人へ感染します。
飛沫感染を予防するためには、マスクの着用が有効です。また、つばや喉に潜むウイルスの数を減らすため、うがいをするのもよいでしょう。うがいをするときは、消毒作用のあるうがい薬を使うとより効果的です。
接触感染を予防するためには、手についたウイルスを減らすため、こまめな手洗い、手のひらのアルコール消毒をしましょう。また、すでに手足口病にかかっている人との接触を避けること、タオルなどの身の周りの物を共有しないことにも気をつけてください。子供がいる場合、おもちゃの消毒を行うことや、可能な限り使用するおもちゃを分けることなども考えられます。
糞口感染は、乳幼児のおむつ交換の際に起こることがほとんどです。予防するためには、おむつ交換時に手袋を着用したり、交換後に手洗い消毒を徹底することが必要です。おむつなど排泄物はすぐに処理することも重要になります。手足口病の症状が治まったあとも、約1カ月は糞口感染のリスクが残るため、予防は続けてください。
【医師による医療ページ評価 - Doctors Review】
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手足口病の再発可能性や予防方法についてご紹介しました。子供やご自身が手足口病のような症状になって不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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