顎関節症の治療 マウスピース(スプリント)?手術?矯正?
- 作成:2016/01/29
顎関節症の治療では、基本的にマウスピース(スプリント)を用いて実施するほか、悪いくせを修正して、症状の緩和をこころみます。ただ、改善が見られない場合、手術になることもあります。顎関節症の治療について、歯科医師の監修の記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
顎関節症の治療は手術でない場合も
顎関節症になったら、悪い癖を見直し、マウスピース(スプリント)の制作や開口訓練など患者さんの身体を切らない治療を行っていきます。マウスピース(スプリント)などでの治療を行った後、必要とされた場合のみ注射や手術、矯正治療などが検討されます。
痛みが強く口を開けるのが困難な段階では、氷水で10分ほど冷やし、固いものをかんだり、大きく口を開けたりしないようにします。症状が治まってくると、10分ほど温めるようにし、顎関節(がくかんせつ)や口の開閉を行っている筋肉のマッサージや顎関節症の原因となる生活習慣を直すようにしていきます。特に重要なのは、「歯列接触癖(TCH)」と呼ばれる日常的に上下の歯が接触してしまっている習慣を除去することです。また、口を開ける訓練やマウスピース(スプリント)での治療も同時に行われます。
マウスピースで治る?
一般的に顎関節症の治療には、マウスピースの一種である「スプリント」が用いられます。スプリントを寝ている間に使用し、夜間の歯ぎしりや歯の食いしばりからくる顎関節や筋肉への負担を和らげます。マウスピースで、朝起きたときに顎(あご)が痛い、口の周りの筋肉が緊張しているなどの症状が軽減され、顎関節症が改善すると考えられています。
昼間はマウスピースを使用しませんが、昼間、歯と歯が接触している癖(TCH)を除去することが、顎関節や顎の周りの筋肉への負担を和らげ顎関節症の改善につながります。具体的には、パソコンの画面や机など目に着く場所に「歯」や「リラックス」「お口ポカーン」などと書いた付箋(ふせん)を貼り、付箋が目にとまったときに姿勢を正し、軽く下向きになって大きく深呼吸して、顔や口の力をぬくようにします。単純ですが、これを繰り返しているうちに歯列接触癖が無くなっていきます。
顎関節症の矯正方法とは?
マウスピース(スプリント)の使用や日常的なくせを除いても、顎関節症が改善されない場合があります。しかし、そのような場合でも、なるべく歯を削って噛み合わせを調整したり、矯正治療を行ったりしない方が良いと考えられています。ただ、詰め物や被せ物を新しくしてからすぐに顎関節に違和感が出た場合、被せ物や詰め物を削ることがあります。また、歯周病で歯がグラグラしている場合や歯が移動している場合は歯を削ったり、ワイヤーを使用したりすることがあります。
原則として顎関節症では噛み合わせの治療や矯正治療は行いませんが、必要だと説明があった際は担当医とよく相談して治療方針を決めるようにしましょう。
顎関節症の手術
マウスピースなどでの治療を行っても痛みが改善されない場合は、注射や手術を行うことが検討されます。
痛みが強いときは、関節の中に局所麻酔や潤滑剤(じゅんかつざい)、ステロイド剤などを注射したり、関節の中で炎症に関連する物質を洗い流したりして、痛みを軽減し関節が動く範囲を広げる方法があります。
また、局所麻酔を行った後関節円板(関節の骨と骨の間にあるクッションのようなもの)を正常な位置に治す方法や、関節内に関節鏡を入れて関節内の癒着を取り除く方法があります。
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