顎関節症の原因 ストレス?親知らず?悪い癖も問題に
- 作成:2016/01/29
顎関節症の原因について、最近では、歯と歯の間に隙間がないという悪い癖が指摘されています。ストレスや親知らずとの関係を含めて、顎関節症(がくかんせつしょう)の原因を、歯科医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
顎関節症の原因とは?TCH?
顎関節症(がくかんせつしょう)になると、口を開くときに、耳の穴の前方にある顎関節や顎を開ける筋肉が痛む、カクンカクンという音がする、あるいは口を大きく開けられないという症状がでます。
以前は噛み合わせが悪いと顎関節症になると考えられていました。しかし、近年では噛み合わせだけではなく、顎関節の構造、口を開閉する筋肉の性質、日常的な習慣や精神的な要因など多くの原因が複雑に組み合わさって、顎関節症が発症すると考えられています。
顎関節症の原因となる日常的な習慣の中で、「歯列接触癖(Tooth Contacting Habit 、略語TCH)」という癖(くせ)が重要視されています。歯列接触癖とは、日常的に上下の歯が接触してしまっている習慣のことを言います。通常は上の歯と下の歯の間には約2mmの空隙がありますが、その空隙がなく歯と歯が噛み合わさっていると、顎関節や顎の周りの筋肉に持続的な力がかかり、それが軽い力でも負担になってしまうことから顎関節症になりやすくなると考えられています。
その他、歯ぎしりや高すぎる枕の使用、片側のあごで噛む癖、頬杖をつく癖などが顎関節症の原因として考えられています。
顎関節症とストレスの関係
顎関節症とストレスは一見関係がないように思われますが、不安や気分の落ち込みにより、口を開閉する筋肉が緊張し、凝り固まってしまいます。それにより、口が開けにくい、口を開けたときに痛みがでるといった顎関節症の症状がでてしまいます。
ストレスは筋肉の緊張だけではなく、歯と歯が無意識に接触したり、歯を食いしばっていたりするなどといった悪い癖を引き起こします。歯と歯が長い間接触していると、顎やその周りの筋肉に力がかかってしまい顎関節症になってしまいます。特に、ストレスが溜まった状態で、パソコンの長時間使用や細かい作業を行うと、歯と歯が知らず知らずに噛み合わさってしまいます。歯と歯を噛んでいることに気が付いたら、姿勢を正し、唇を閉じてゆっくりと深呼吸を行うようにしましょう。
また、ストレスは、顎関節症の原因の一つである睡眠時の歯ぎしり(ブラキシズム)を引き起こします。歯ぎしりの中には、ギリギリと歯をすり合わせる、歯を強く食いしばっている、カチカチと早く噛んでいるという3種類があります。ギリギリ歯をすり合わせている歯ぎしり以外はなかなか指摘されることもなく気がつきにくいですが、朝起きたときに顎が疲れているとしたら、歯ぎしりを行っていた可能性があります。
顎関節症と親知らずの関係
親知らずの周りは歯垢(プラーク)が溜まりやすい構造となっており、歯垢が溜まったままになっていると細菌が繁殖して、親知らずの周囲の歯茎が腫れてしまいます。この親知らずの周りの歯肉が腫れる症状を「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と言います。親知らずは、歯の中で、一番後方に位置し、顎関節とも近いため、親知らずの周りの歯肉が腫れると口が開きにくくなってしまいます。
親知らずに何らかの問題があると、多くの場合、歯を抜きます。しかし、親知らずが斜めに生えているときや、神経や血管が近くにあるときは、抜歯に1時間から2時間程度かかり、顎関節に負担がかかることや、抜歯後に親知らずの周りがはれることから、口が開きにくいという症状がでてしまいます。
以上のような、親知らずと関係がある口が開きにくいという症状(「開口障害」と言います)は一時的なもので顎関節症ではありません。ただ、まれに、口が開きにくい状態が長く続き、顎関節症になってしまうことがあります。
しかし、親知らずが生えてきているときは、智歯周囲炎でなくてもムズムズとした違和感を感じ、親知らずが生えてきていない方の歯で食べ物を噛んで食べることが多くなり、それによって顎関節症が引き起こされることもあります。疑われる場合は食べ物を噛んでいる場所に注意してみてください。
顎関節症の原因についてご紹介しました。もしかして顎関節症かもしれないと不安に感じている方は、歯科などにかかってみると良いでしょう。
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