親知らずの痛み以外の症状 腫れ、炎症、口臭は起きる?なぜ?

  • 作成:2016/09/09

親知らずが生えてくることによって問題が起きると、良く知られた「痛み」以外にも、腫れるなどの症状が起きます。口臭との関連も含めて、歯科医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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親知らずの一般的な症状の経過

親知らずは、10代後半から20代になって生えてきます。生えてこようとするとき、ムズムズと不快感がでることがあったり、軽度の痛みや違和感があったりするものです。また、親知らずの前側に生えている歯が押される感覚や、他の歯が軽く痛むことがあります。これらの症状は異常なことではありません。

親知らずが生えてきても、少しだけ歯が見えているまま、なかなか生えてこないときは正しく生えそろうスペースがなく斜めや横向きに生えてきている可能性があります。このようなときは、親知らずの周りが磨きにくくなっており、腫れたり虫歯になったりしやすくなってしまいます。

親知らずで腫れることがある?腫れるメカニズム

「親知らずが腫れてしまった」という経験があったり、周りの人から話を聞いたことがある方も多いと思います。親知らずの腫れは「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」という病気が原因なのです。親知らずが生えかけのときや横向きや斜めに生えているときは、磨きにくくなっています。磨き残したプラーク(歯垢)の中には1mg中に1億個以上の細菌がいます。その細菌の中には、歯茎を腫れさせてしまうものがおり、歯茎の炎症をひき起こしてしまって親知らずが腫れてしまいます。親知らずが腫れてしまったら、まずは親知らずとその周囲を柔らかい歯ブラシや太めの歯間ブラシを使用して歯磨きを行いましょう。

親知らずが腫れていて違和感があると感じても、実際は親知らずが生えてくるときに歯茎が盛り上がったことが原因で、「腫れている」と感じるだけのことも多くあります。親知らずが生えてきたら鏡で確認して、周囲の歯茎が赤く炎症を起こしていないか確認しましょう。

親知らずで起きる炎症ってどんなもの?

親知らずが生えてくることによって起きる炎症はほとんどの場合、「智歯周囲炎」です。親知らずの周りの歯茎にプラークが溜まって、プラーク中の細菌が歯茎を腫れさせてしまいます。智歯周囲炎は重度になった場合は、発熱や頭痛がすることがあります。さらに重症になると口が開けにくくなること(開口障害)や喉が腫れて呼吸困難になることがあります。

親知らずの周りの歯茎が腫れてしまったときは抗生物質で炎症を抑えます。しかし、智歯周囲炎は繰り返すことがよくあり、徐々に抗生物質が効かなくなってしまいます。そのため、親知らず自身には問題がなくても、智歯周囲炎を繰り返しているときは抜歯を検討します。

智歯周囲炎の他にも問題が起きることがあります。親知らずの虫歯が歯の根っこまで感染が進むと根の先のところに炎症がおき膿が溜まってしまいます。この膿の袋が大きくなり歯茎が腫れて痛くなったり、膿が外への通り道を作って出てきたりします。親知らずが虫歯になったときは、一番奥にあり治療が行うことが困難であるためほとんどの場合抜歯を行います。

口が臭い?親知らずで口臭が起きる?

親知らずが生えてくるとプラークが溜まり清掃不良になってしまい、口の中の細菌の量が増えてしまいます。細菌が活発になって、古くなった細胞や食べかすが発酵して「硫化化合物」という臭いのもとが作られ、口臭が出やすくなってしまいます。また、親知らずの周りの歯肉が化膿すると膿の臭いが混じり、口臭がでてしまいます。

一般的に、虫歯での口臭は本人が感じるだけで他人には感じないと言われています。他の人から口臭を指摘されたわけではないけれど、口の中の1カ所から臭いがすると感じるときは虫歯の可能性があるので、歯科医院を受診してチェックするようにしましょう。



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親知らずの症状についてご紹介しました。親知らず周辺の痛みに不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、歯科医院を受診してみてはいかがでしょうか。

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