体脂肪率の平均値、科学的な落とし方 「1桁」の人に潜むリスクとは?

  • 作成:2016/01/26

60歳以上の女性の標準体脂肪率は30%から36%です。高く感じるかもしれませんが、これは、年齢や性別によって標準が変わるためです。また、「体脂肪率1桁」と聞くと良いイメージがあるかもしれませんが、過度に低い体脂肪率は女性にとって、リスクがあります。運動や食事による体脂肪率の効率的な落とし方を含めて、医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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男性と女性の体脂肪率の平均はどれくらい?

体脂肪とは「内臓脂肪」と「皮下脂肪」に大別されます。体脂肪率は体脂肪が体をどの程度占めているかを表しています。つまり、内臓脂肪と皮下脂肪のいずれか一方が増加すれば体脂肪率は増加し、減少すれば体脂肪率は低下することになります。

通常、体脂肪率の標準値は性別や年齢によって異なります。例えば、成人男性(18歳から39歳)であれば標準体脂肪率は17%から21%とされていますが、60歳以上の男性になると標準体脂肪率は20%から24%となり、同じ男性でも標準体脂肪率は異なります。また、女性の場合も同様で、14歳から17歳の標準体脂肪率は27%から35%であるのに対し、60歳以上の女性では標準体脂肪率は30%から36%と10代の女性よりも標準体脂肪率は高くなります。

同じ世代でも女性は男性よりも標準体脂肪率が高く、同性でも年齢が高いほど標準体脂肪率は高いことが分かります。このように体脂肪率は性別や年齢によって標準値が異なります。

一桁!低ければ良いの?低いとリスクはないの?

モデルのような体系にあこがれ、過度なダイエットを行う女性は少なくありません。しかし、誤ったダイエットを行うと、必要な栄養分が不足したり、体脂肪率が過度に低くなる恐れがあります。例えば、鉄分が不足すると、貧血を起こしやすくなるだけではなく、疲労が出やすくなったり、発育障害のような症状が表れる恐れもあります。

また、脂肪は女性の卵巣機能と関係が深いため、体脂肪の過剰な減少は卵巣機能の障害をきたす恐れがあります。例えば、脳の神経伝達物質のバランスが悪くなり、卵巣の働きを促すためのホルモンが分泌されなくなります。

その結果、生理周期が不規則になり、体重の減少が激しい人では「無月経」といって生理が止まることもあります。また、体脂肪率が低い方が妊娠すると、生まれてくる赤ちゃんが低体重児になりやすいといった報告がなされています。低体重児の赤ちゃんは成長すると、高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかるリスクが高くなることも明らかになっています。

過度なダイエットは避け、自身の健康や赤ちゃんへの影響を考えることが望まれます。そのためにも、自身の体脂肪率が標準と比べてどの程度なのかを知り、ダイエットをする場合、適切な目標をたてて、適切な方法を考えましょう。

朝食を抜いてはいけない理由

科学的な体脂肪率の落とし方の基本は食事と運動です。まず、科学的な体脂肪率の落とし方は食事です。食事によるダイエットのポイントは大きく分けて2つあります。1つ目は「朝昼食はしっかり食べ、夕食は軽く食べる。」です。人間の体は飢餓(きが)を恐れるため、エネルギーを蓄えようとします。つまり、朝食を抜けば、前の夕食のエネルギーを蓄えてしまい、昼食を抜けば、朝食のエネルギーを蓄えてしまいます。この習慣が長期間に及べば、エネルギーは脂肪として蓄えられてしまいます。また、昼食を抜くと、夕食を食べすぎてしまい、かえって太りやすくなってしまいます。

食事の注意点の2つ目は「食事はよくかんで、ゆっくり食べる」です。人間が満腹になるのは満腹中枢が刺激されたためだと考えられています。この満腹中枢は食事を開始してから20分から30分ほどで作用すると考えられています。つまり、食事を早く食べてしまうと、満腹中枢が作用する前に食事が進んでしまい、食事量が増すおそれがあります。また、かむ回数が多いほど食物は細かく分解され、消化吸収が効率よく行われます。そして、かむ回数が多い方が少ないよりも血糖値が上がりにくく、太りにくくなることも分かっています。

5分、10分の運動でも効果

科学的な体脂肪率の落とし方の2つ目は運動です。運動にもポイントが2つあります。

1つ目は「有酸素運動はできる範囲で少しずつやる」です。有酸素運動はランニングや水泳など、ゆっくり長く続ける運動を指し、エネルギーとして脂肪を用います。以前は20分以上続けなければ脂肪が燃焼する効果が得られにくいと考えられていましたが、現在は5分や10分といったより短い時間でも効果があると分かっています。ですから、通勤の際に今までよりも速く歩いたり、通学で自転車を使うなどの方法で、無理なく脂肪燃焼をすることができます。

2つ目は「筋力トレーニングで脂肪燃焼効率を上げる」です。有酸素運動だけでも脂肪は燃焼されますが、その効率は筋力トレーニングで上昇します。ですから、有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングをして、筋力を強くする試みも重要です。しかし、短期間で脂肪燃焼効率が上がるほどの筋力は付きません。筋力トレーニングを習慣化することで初めて、脂肪燃焼効率が高くなることを覚えておきましょう。

体脂肪率の平均は性別や年齢で異なることや、科学的な落とし方をご紹介しました。体重増加に不安を感じている方や、この内容に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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