胃腸科、消化器内科とは?普通の「内科」との違いは?
- 作成:2016/04/21
胃腸科と消化器内科は、内科の中でも、専門の臓器に特化した診療科です。診療する範囲の考え方やどのような病気を見るのかについて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
胃腸科や消化器内科は内科と違う?胃腸科と消化器内科の違い
胃腸科や消化器内科とは内科の中で、ある特定の臓器に絞って診療する科です。胃腸科は食べ物が通っていくところ、具体的には食道・胃・小腸・大腸を対象としています。消化器内科は胃腸科が担当する部位に加えて、消化に関連した臓器、消化液を作ったり溜めておく肝臓(かんぞう)や胆のう、膵臓(すいぞう)も対象としています。
胃腸科で扱う領域と病気
胃腸科で担当するのは食道・胃・小腸・大腸です。
食道の病気は食道がん、逆流性食道炎などがあります。症状としては食事が胸でつかえる感じや胸やけなどがあれば食道の病気を疑います。
胃の病気は胃がん、胃潰瘍、胃ポリープ、胃炎、ヘリコバクター・ピロリ菌感染などがあります。上腹部の痛みや胃もたれといった症状は胃の病気を疑います。
小腸は小腸の腫瘍や小腸の出血があります。十二指腸も小腸に含まれるため十二指腸潰瘍も含まれます。小腸は細くて長く、6メートルから7メートルあります。お腹全体に収まっているため、お腹のどの部位でも症状が出る可能性があります。小腸は十二指腸以外、検査のしづらい部分であり、通常病気の部位がわからない場合は胃や大腸の検査を行い、異常がない場合に小腸検査が検討されます。
大腸の病気は大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、痔核(じかく、いわゆる「いぼ痔」)などがあります。便秘や下痢、下血(便に混じった出血)といった症状があった場合に大腸の病気を疑います。
消化器内科はどこまで扱う?
消化器内科では胃腸科で扱う病気を含めて、そのほかに肝臓・胆のう・膵臓の病気も扱います。
肝臓はお腹の右上にあります。そのため右上腹部痛が出ることもありますが、まったく痛みがないこともあります。肝臓は症状が出にくく、疲労感や微熱などの症状しか現れず風邪と間違うこともあります。また目や皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)だけが出たり、症状がなく血液検査だけが異常値を示すこともあります。
胆のうは肝臓の下にあり、やはりお腹では右上にあります。代表的な病気は胆石、胆のう炎、胆のうポリープ、胆のうがんです。胆石発作や胆のう炎では右上腹部に痛みが出ますが、胆のうポリープや胆のうがんは症状がないこともあり、検診ではじめて見つかることもあります。
膵臓は上腹部にあり、背中側に近いので背中が痛いこともあります。病気としては膵がん、膵炎、膵のう胞などがあります。検査しづらい臓器で、病気を見つけるまでに時間がかかることもよくあります。膵臓はインスリンを出す臓器で、膵臓の機能が低下すると糖尿病を発症することもあります。
胃腸科や消化器内科で実施する検査概要
胃透視:検診でよくおこなわれるバリウムを飲む検査です。食道・胃・十二指腸を主に観察します。自分でバリウムを飲んで、台の上で指示通り動かなければいけません。またレントゲンを使用しますのである程度の被爆があります。
胃カメラ:食道・胃・十二指腸の入り口を観察します。カメラの操作は医師が行いますので、胃透視のように自分で動いたりすることはありません。場合によっては鎮静剤などで眠ったまま検査が可能です。胃透視ではできない、細胞の検査までができます。
大腸カメラ:肛門からカメラを入れて、大腸全体を観察します。大腸の中に便があるとできない検査ですので、腸を空にする下剤を服用する準備が必要です。
腹部CT:お腹をCTで観察します。お腹の全体像を把握するのに優れています。大きな病気の発見は可能ですが小さいものは判別できないこともあります。
腹部超音波:お腹に超音波を当てて臓器を観察します。超音波は空気のあるところが見えにくくなるため、お腹にガスが多いと目的のものが見られない場合もあります。ガスの多い腸管は見えにくく、膵臓も全体が見えないことがよくあります。逆に小さな病気はCTよりも見つけやすく、一般に胆のうの観察は超音波検査の方が優れています。
胃腸科や消化器内科、受診を迷ったらどちらに行くべき?
消化器内科でみる臓器は胃腸科でみる臓器をすべて含んでいるため、消化器内科にかかれば問題ありません。しかし、病院によっては胃腸科と消化器内科両方がある場合、通常と違って、消化器内科は肝臓・胆のう・膵臓のみを対象としていることもあります。特定の臓器を診てもらいたい場合は、医療機関に電話で問い合わせてみましょう。
胃腸科や消化器内科についてご紹介しました。もしかして消化器の病気かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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