外科とは?どんな種類や手術がある?一般外科は何を診る?

  • 作成:2016/04/19

一口に「外科」といっても、幅広い領域を扱っています。したがって手術も多様です。「外科」とは何か、「一般外科」の考え方を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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この記事の目安時間は3分です

一般外科の扱う領域の考え方 「整形外科」との違いは?

日本では一般外科の領域に、はっきりした定義はないようです。一般的には腹部(消化器)の外科を中心に外科全般を扱っています。もともとは英語の“General(ジェネラル)Surgery(サージェリー)”から来ているのですが、米国の「外科」の範囲は消化管、腹部とその内容、乳房、皮膚および軟部組織、内分泌系、臓器移植、小児外科、外科救急、緊急手術、頭頚部の腫瘍手術、外傷、火傷、血管外科と幅広くなっています。日本でも同様に、消化器、腹壁(ふくへき)、乳腺、甲状腺の外科を中心とした外傷や救急にも対応(手術)できる外科領域と考えられます。

切創(きり傷)、挫創(つぶされた傷)、打撲、捻挫(ねんざ)、骨折、脱臼(だっきゅう)といった外傷は、一般外科、整形外科のどちらも扱っています。骨折、脱臼に関しては、一般外科は応急処置を行いますが、手術は整形外科が受け持つことが多いようです。一般外科と整形外科の最も大きな違いは、腹部外傷です。腹部内臓の損傷が疑われる外傷は、生命に関わるほど緊急度の高いものも多く、手術を含め一般外科が対応します。

いろんな種類の「●●外科」の範囲 一般外科で全部みてくれる?

外科系科名も内科系と同様に、医療の進歩と共に細分化され、専門分科はざっと上げても、脳神経外科、胸部外科、心臓血管外科、消化器外科、小児外科、泌尿器科、整形外科、婦人科、耳鼻科、眼科、口腔外科、形成外科といったように多様です。

一般外科の診療科目としては、消化器(あるいは消化管)・一般外科となっている医療機関が多いようです。頭頚部外科(とうけいぶげか)、甲状腺外科、乳腺外科、直腸肛門外科、小児外科、泌尿器科、婦人科、血管外科、口腔外科などの診療科が掲げられている場合は、年齢、性別、調子の悪い所から考えて、それぞれの科にかかってもらえばよいでしょう。

これらの診療科がない時は、ただし泌尿器科と婦人科でも、腹部に問題があって病院に気場合、一般外科を受診すれば診てもらえると思います。医療機関ごとの事情にもよりますので、受付で聞いてみるとよいでしょう。

一般外科で扱う疾患

主なところでは、消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、虫垂、大腸、直腸、肛門)と腹腔(ふくくう)内臓器(肝臓、すい臓、胆のう、胆管)の良性および悪性の腫瘍性の病気、胆嚢炎(たんのうえん)、胆石症、消化管穿孔(せんこう)、虫垂炎、腹膜炎(ふくまくえん)、腹腔内膿瘍(のうよう)などの炎症性疾患、ソケイヘルニア、大腿ヘルニア、腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニアなど腹壁疾患、甲状腺疾患、乳腺疾患、副腎腫瘍、後腹膜腫瘍、下肢静脈瘤(りゅう)など末梢(まっしょう)血管疾患、腹部外傷、一般外傷、熱傷などの外傷性疾患、痔ろう・痔核(じかく)など挙げられます。一般外科の扱う疾患は幅広く、種類もとても豊富です。

一般外科で実施する手術の概要

A) 定時手術;なお1.2.に関しては開腹せずに腹腔鏡下に行われるものも多くなっています。

1. 消化管;食道切除術、胃切除術(胃部分切除、幽門側胃切除、胃全摘)、小腸切除術、虫垂切除術、大腸切除術(結腸切除、直腸切除)、人工肛門造設術、痔ろう・痔核根治術など  
2. 腹腔内臓器;胆嚢摘出術、肝切除術、膵切除術、膵頭十二指腸切除術など 
3. 腹膜・後腹膜;腫瘍摘出術、膿瘍除去術、試験開腹術など  
4. 腹壁;それぞれのヘルニア根治術、腫瘍摘出術など
5. 血管;下肢静脈瘤ストリッピング術、動静脈シャント作成術など 
6. その他;乳房切除術、甲状腺手術、副腎腫瘍摘出術など

B) 緊急手術;

1. 急性腹症;汎発(はんぱつ)性腹膜炎、化膿(かのう)性腹膜炎が疑われる次の疾患[手術]
消化管穿孔[大網充填(たいもうじゅうてん)、腸切除、人工肛門造設など]、虫垂(炎)穿孔[切除術] 胆嚢(炎)穿孔[摘出術]など 
2. 腹部外傷;主な外傷[手術]
脾損傷[脾摘(ひてき)術]、肝損傷[肝縫合(ほうごう)術]、消化管損傷[消化管吻合(ふんごう)術]など

外科の種類などについてご紹介しました。もしかして外科にかかるべき病気かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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