脳神経外科(脳外科)とは?代表的な手術や病気は?頭痛でいってもよい?
- 作成:2016/08/23
脳神経外科とは、脳だけでなく、脊髄などの神経におきる病気に対して、「外科」的に対応する、つまり手術治療をメインとして実施する診療科です。「脳外科」という言い方をする人もいますが、「脳神経外科」と同じものととらえてよいでしょう。代表的な手術や病気、頭痛で受診すべきかたどうかを含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
脳神経外科の領域の考え方 脳外科と脳神経外科は同じ?
脳神経外科とは脳(大脳、小脳、脳幹)、脊髄(せきずい)、末梢神経を含むすべての神経系および関連する骨、筋肉、血管などを含めた病気のうち、主に外科的な治療(手術など)の対象となりうる病気の診断、治療を行う外科分野です。主として、脳や脊髄の腫瘍性病変、血管障害、外傷、先天奇形、機能的障害を扱います。
脳や脊髄といった繊細(せんさい)な組織と、そこに含まれる微細な血管や神経を扱いますので、現在の脳神経外科の手術の多くが顕微鏡下で行われ、「マイクロサージェリー」と呼ばれています。
一般的には省略して脳外科という言い方がよくされますが、脳外科と脳神経外科に違いはありません。脳だけでなく脊髄や末梢神経も、科の対象疾患であるということを考えてみると、「脳神経外科」という呼び方が適切だと思われます。
脳神経外科の手術の概要
脳神経外科の一般的な種類は以下の通りです。
A) 開頭して顕微鏡を使って実施する手術(マイクロサージェリー) 「開頭」とは「骨を開けて脳を露出させること」を指します;
①脳動脈瘤に対する「クリッピング術」(最も代表的な手術です)、②各種脳腫瘍に対する「腫瘍摘出術」、③もやもや病の「血行再建術」、④顔面けいれん、三叉神経痛に対する「微小血管減圧術(ジャネッタ手術)」など
B) 頭部外傷に対する手術;
①急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫に対する「開頭血腫除去術」、②慢性硬膜下血腫に対する「穿頭(せんとう)手術」(骨に小さな穴をあけ血を吸い出す方法)など
C) その他のマイクロサージェリー(顕微鏡下手術);
①下垂体腺腫に対する「経鼻的手術(ハーディの手術)」、②脊髄腫瘍に対する「腫瘍摘出術」など
D) カテーテルを用いた血管内治療;
①「脳動脈瘤コイル塞栓術」、②頚動脈狭窄症に対する「頸動脈ステント留置術」など
E) その他の手術;
①水頭症に対する「シャント手術」、②頚動脈狭窄症に対する「内膜剥離(はくり)術」、③のう胞性二分脊椎に対する「閉鎖術」など
以上が脳神経外科の主な手術になります。
頭痛で脳神経外科にかかることがある?
片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などの一般的な頭痛は、「頭痛もちの頭痛」あるいは「慢性頭痛」といわれ、専門的には「一次性頭痛」、簡単に言うと頭痛の原因となる大きな病気のない頭痛です。
対して、脳神経外科が扱う頭痛は「二次性頭痛」と呼ばれるものです。具体的には、脳に病変(病気による変化)があることによって、例えば、出血に刺激されたり、酢要に圧迫されたりして起こってくるものです。具体的には「くも膜下出血」や「脳腫瘍」といった重大な病気の可能性があります。
二次性頭痛の特徴は、意識レベルの低下があったり、顔や手足のマヒを伴っていたりすることです。普段、みなさんが経験される一次性頭痛(慢性頭痛)とは様子が大分違うことがわかるのではないでしょうか。くも膜下出血に伴う頭痛は、「今までに経験したことのないような突然の後頭部痛」とよく表現されます。このような二次性頭痛(危険な頭痛)があったら、すぐに脳神経外科を受診して下さい。
脳神経外科で扱う病気
扱う病気としては、主に以下のようなものがあります。
・脳腫瘍→「髄膜(ずいまく)腫、聴神経腫瘍」「下垂体腺腫」「神経膠腫(こうしゅ;グリオーマ)」「松果体(しょうかたい)部腫瘍」「頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)」「原発性悪性リンパ腫」「ガンの脳転移」など。脳腫瘍には、でき方やできる部位によって、名前がわかれています。
・脳血管障害→「くも膜下出血(脳動脈瘤や脳動静脈奇形)」「脳出血」「内頚動脈狭窄症」「海綿状(かいめんじょう)血管腫」「もやもや病」など
・頭部外傷→「急性硬膜下(こうまくか)血腫」「急性硬膜外(こうまくがい)血腫」「慢性硬膜下血腫」「頭蓋骨(とうがいこつ)陥没骨折」など
・脊髄や脊椎(せきつい)の病気→「頚椎症」「後縦靱帯(こうじゅうじんたい)骨化症」「脊髄腫瘍」など
・機能性疾患(脳に大きな物理的な異常がない病気)→「顔面けいれん」「三叉神経痛」「中枢性疼痛(とうつう)」「難治性疼痛」など。なお、疼痛とは、「痛み」という意味です。
・「頭蓋骨形成異常」「のう胞性二分脊椎」「キアリ奇形」など
脳神経外科についご紹介しました。頭部の普段とは違う痛みなどに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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