整形外科とは?形成外科との違い 腰痛、肩こり以外の病は?

  • 作成:2016/04/28

整形外科は、「運動器」と呼ばれる部分の病気を扱う外科です。名前が似ているので、よくわからない方もいるかもしれませんが、「形成外科」とは、全く別の診療科です。腰痛や肩こり以外に診る病気や整形外科における手術の概要などを含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

整形外科領域の考え方 「形成外科」とはどう違う?

整形外科は「運動器」という領域の病気を扱います。「運動器」とは、身体運動に関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称です。「運動器」の機能の改善を重要視して治療する外科ということになります。背骨と脊髄を扱う「脊椎外科」、上肢(肩から先の手)は「手の外科」「肩関節外科」、下肢(脚の部分)は「股関節外科(こかんせつげか)」「膝関節外科(ひざかんせつげか)」「足の外科」、スポーツによるけがや障害を扱う「スポーツ医学」、腫瘍(できもの)は「骨・軟部腫瘍外科」などの専門分野があります。

整形外科に対し形成外科というのもあります。名前が似ているために、違いがよくわからない方もいるかもしれません。形成外科は、生まれながらの変形や、けがや病気などによって、身体表面の見た目のよくない状態になったものを改善する(治療する)外科で、頭や顔面を含めた体全体を治療の対象としています。口唇裂(こうしんれつ)や口蓋裂(こうがいれつ)の手術、乳房再建術などが代表例です。

したがって、整形外科と形成外科は、全く別のものです。

整形外科で扱う病気

スポーツ傷害や交通事故による外傷、労働中の自己などによる「外傷」として、切創(きり傷)、挫創(つぶされた傷)、打撲、捻挫(ねんざ)、骨折、脱臼(だっきゅう)、半月板損傷U(はんげつばんそんしょう)や靭帯(じんたい)断裂などの関節の損傷、脊髄(せきずい)の損傷、上肢、下肢、指の切断などがあります。

また、変形性の病気として、加齢に伴う関節症や脊椎(せきつい)症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)があります。運動器の腫瘍として、脊髄腫瘍、転移性の脊椎腫瘍、骨腫瘍、全身性の疾患である骨粗鬆(こつそしょう)症、関節リウマチ、痛風(つうふう)、子どもに多い股関節脱臼、斜頚(しゃけい)、側弯症(そくわんしょう)などがあります。新たに提唱され、寝たきりを防止するために、最近話題になっているロコモティブシンドローム(運動器症候群)も整形外科が扱います。

整形外科での手術やリハビリはどんなもの?

部位別に整形外科の手術件数を見てみると、「膝関節」「股関節」「手および手関節」の3つの部位が約20%ずつで多く、「腰椎」「足および足関節」がおよそ10%ずつとなっています。それぞれの部位で代表的な手術としては以下の通りです。

「膝関節」;人工膝関節置換術(人工関節を導入する手術、変形性関節症や関節リウマチに対して)、関節鏡視下手術
「股関節」;人工股関節置換術(変形性関節症に対して)、骨折に対する人工骨頭置換術
「腰椎」;椎間板ヘルニアに対する椎間板切除術、脊柱管狭窄症に対する椎弓切除術
「手および手関節」「足および足関節」;骨折に対する接合術

整形外科領域のリハビリは、運動器に対するものが中心です。頻度の多いものではまずい)腰痛に対する運動療法、いわゆる「腰痛体操」があります。腰痛体操はロコモティブシンドロームに対するトレーニング(ロコトレ)の1つとしても注目されています。変形性膝関節症の痛みに対しては、脚上げ体操やつかまり脚踏み体操などのエクササイズがあります。また、高齢者の大腿骨に近い部分の骨折の場合、寝たきりにならないための早期の歩行訓練などがリハビリとして実施されます。

腰痛や肩こりは整形外科にかかればよい?

多くの方々が日ごろ経験したことのある、腰痛や肩こりは、治療を始める前に、原因がどこにあるか診断することが大切です。肩こりの場合には、肩の筋肉やくび(頚椎;けいつい)、腰痛では腰(腰椎;ようつい)や神経といった運動器に主として原因があります。手術が必要な病気が隠されていることもあります。しっかりした診断の下に治療をはじめるためには、整形外科の受診が最適と言えます。

整形外科の概要や扱う病気についてご紹介しました。整形外科の病気かもしれないと不安に感じている方は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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