神経内科とは?扱う病気検査も解説 心療内科とはどう違う?

  • 作成:2016/04/07

神経内科とは、脳や脊髄のような神経が原因となって生じる病気を扱う診療科です。実施する検査や心療内科との違いを含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

神経内科とは?そもそも神経とは?

神経内科とは神経が原因で起きる様々な症状がある場合に受診する科です。神経とは「脳」「脊髄(せきずい)」「末梢神経(まっしょうしんけい)」をさします。これらの神経には、それぞれ体の支配する部分が決まっています。そのため、検査を行うと症状に合った神経の異常が見つかります。

たとえば腕を走っている「橈骨神経(とうこうつしんけい)」と呼ばれる神経は、肘や手首の曲げ伸ばしと、人差し指と親指の間の感覚を担当している神経です。そのためこの神経に障害を受けると肘や手首の曲げ伸ばしに支障が出て、人差し指と親指の間の部分の感覚が鈍くなります。別の例では右脳に左半身の動作や感覚を担当している部分がありますが、その部分が障害されると左半身に麻痺(まひ)が出たり、感覚が鈍くなります。

実際の診療では、症状からどの部分の神経が病気になっているのかを推測し、検査を進めていきます。原因となる神経がわかった場合、そのまま神経内科で薬やリハビリテーションを行って治療を進めていくこともありますが、例えば神経の障害が骨と接触しているためであれば骨の治療をするため整形外科に、脳に腫瘍ができているのであれば脳神経外科で治療を受けることもあります。

そのほかに神経内科では広い範囲の神経が障害を受ける病気、例えば認知症や全身の末梢神経(まっしょうしんけい)の病気も診療します。

神経内科は心療内科とどう違う?

よく「神経を病む」という言葉が使われると、こころの状態がよくないことを表すため、混同されやすいのですが、神経内科の「神経」とは目に見える神経をさしています。そのため神経内科の症状は必ず障害されている神経の担当部位と一致しています。対して、心療内科は、こころが原因で様々な体の症状が表れた人を対象にしています。そのため、診察や検査を行うと、神経の担当部位と合わない症状がよくみられます。

しかし、普通は自分の症状が神経からきているのか、こころから来ているのかはっきりわかることはあまりありません。そのような場合はどうしたらいいのでしょうか。迷った場合はまず、神経内科を受診してください。神経内科で症状が神経と合致するかどうかの検査を受け、神経内科ではなく心療内科の治療がふさわしいと判断された場合は、心療内科を紹介してもらえます。 心療内科の病気はその他の科で検査を受け、形の異常などがないことを確認した場合に診断されることが多いため、できれば腹痛でも、めまいでも、胸痛でもまずは部位の担当科(消化器内科・耳鼻科・循環器科など)を受診し、その科としての異常がないといわれたら、心療内科にかかるのが良いでしょう。先に診察した医師から、後で診察した医師に「自分の診療では異常がなかった」旨が伝わると、スムーズに次の診察に移ることができます。

神経内科で扱う病気とは?

神経内科で扱う代表的な病気を挙げます。

脳血管障害:脳梗塞・脳出血・一過性脳虚血発作
変性疾患:パーキンソン病・脊髄小脳変性症
認知症:アルツハイマー病・脳血管性痴呆
感染症:脳炎・脊髄炎・神経梅毒
筋疾患:筋ジストロフィー・周期性四肢麻痺
末梢神経:ギラン・バレー症候群・遺伝性ニューロパチー

神経内科で実施する検査と意味の概要

神経内科では外来の身体の診察に十分時間をとります。ある程度病気の部位や原因を推定したうえでその部位に合った検査を行います。

MRI:MRI検査は病気の部位の変化をみるために行います。脳が原因であれば脳を、脊髄が原因と考えられたときは脊髄のMRIを行います。腫瘍や梗塞(こうそく)、炎症の有無などが確認できます。

脳脊髄液検査:脊髄は背骨の中にあります。そして脊髄の周りには脳や脊髄を保護するための液体があります。これが「脳脊髄液」と呼ばれるものです。出血や炎症の有無を確認するために、腰の位置で背中側から背骨に向かって針を刺し、中の脊髄液を抜いて検査を行います。

神経伝達速度:神経は電気でやり取りしていますが、その伝達がうまくできているかを確認する検査です。調べる神経に沿って皮膚に電極を貼り、電気を流してその伝わり方をみます。

針筋電図(はりきんでんず):神経と筋肉のやり取りをみる検査です。神経に沿って針を刺し、筋肉に力を入れたときと安静にした時の電気を測ります。

神経内科の病気や検査についてご紹介しました。もしかして神経内科にかかるような病気かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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