めまいの診療科、検査、入院可能性、「原因不明」という診断の理由 耳鼻科でも内科でも大丈夫?
- 作成:2016/05/19
めまいは、症状がめまいだけの場合は耳鼻科を受診すればよいですが、他の症状がある場合は、別の対応が必要なことがあります。また、「原因不明」のめまいというのは、ほとんどありません。理由や、検査概要、入院可能性も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
めまいのとき病院は何科?耳鼻科?内科?
めまいの時の検査と診断の概要
めまいで入院することがある?
「原因不明のめまい」をどう考える?
めまいのとき病院は何科?耳鼻科?内科?
めまいの原因となる病気は様々ですが、症状がめまいだけの場合は耳鼻科を受診します。症状がめまい単独の場合、大半が耳を原因とするめまいである可能性が高いためです。しかし、めまいと一緒に他の症状がある場合は対応が異なる場合があります。例えばめまいと一緒に「ろれつが回らない」「うまく立ち上がれない」「まっすぐ歩けない」「ものが2重に見える」「手や足にしびれがあったり、力が入りにくい」などの症状のうちどれか一つでも認める場合には脳梗塞の可能性が高くなるため、脳神経外科を受診した方が良いでしょう。
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めまいの時の検査と診断の概要
めまいの診断で最も大切な事は、脳卒中からくる危険なめまいを早く、正確に見分けることです。脳卒中からくるめまいの最大の特徴はめまい以外の神経の症状を伴う という点であり、4つの症状(眼球運動障害、構音障害、顔面や四肢の麻痺、身体がうまく動かせない)が代表的です。「眼球運動障害」はものが2重に見える、「構音障害」はろれつが回らない、発音が正確にできない、「顔面や四肢の麻痺」は身体の一部に力が入りにくかったり、しびれがあること、「身体がうまく動かせない」とは、「運動失調(うんどうしっちょう)」と言って手が震えたり、真っ直ぐに歩こうとしても歩けないなど、筋力は正常にも関わらず運動が円滑にでない状態を指します。これらの症状のうち、一つでも存在する場合は脳卒中の可能性が高くなるためすぐに脳神経外科を受診する必要があります。
上記の4つの症状が一つもない場合、耳鼻科を受診して検査を行います。難聴や耳鳴り、耳がつまった感じ(「耳閉感:じへいかん」と言います)があればメニエール病の可能性が高くなります。
難聴・耳鳴り、耳閉感のいずれもない場合は、引き続き耳鼻科で、「眼振(がんしん)」という症状についての検査を行います。眼振とは、眼球が自分の意志とは関係なく小刻みに急速な運動を繰り返す異常のことで、めまいの時に現れます。この眼振の症状の出方を観察することで、めまいの原因が耳にあるか、脳にあるかなどを推定したり、耳が原因でめまいを起こす複数の病気を区別することができます。
眼振をみる検査にも種類があり、お医者さんが患者さんの頭を一定の方向に動かして眼振が起こるかどうかを観察する簡単なものから、機械を使って測定するものまで様々です。全ての検査を行う訳ではなく、症状の現れ方や程度をみて、医療機関でどのような検査を行うかを、適宜判断します。
耳鼻科でめまいの原因となる病気がみつからない場合、血圧や血糖値の異常、首の骨の歪み(ゆがみ)、ストレスなど耳鼻科の病気以外の原因について検査していくことになります。そのため、耳鼻科で異常がみられないにも関わらずめまいの症状が続く場合は内科や整形外科、心療内科などの受診が必要になる場合があります。耳鼻科のお医者さんが症状から判断して適切な科に紹介状を書いてくれるケースもありますので、不安な方は、かかったお医者さんに相談してみましょう。
めまいで入院することがある?
めまいで病院を受診すると、軽症の場合は点滴等を行って、帰宅することができますが、点滴で症状が改善しない場合やめまいの原因について検査が必要な場合には入院となるケースもあります。
患者さんごとに検査は異なりますが、脳卒中を疑った場合には頭部CT検査や脳MRI、「MRA検査(血管の様子を確認する検査)」などの画像検査、心臓病を疑った場合には心電図や心臓超音波検査、血糖値やホルモンバランスの異常を疑った場合には血液検査など多くの検査があります。
また、原因がはっきりした良性のめまいであっても、めまいのため吐き気や嘔吐が強く脱水状態になっている場合や、高齢の方でめまいのために転倒が心配な場合など、めまいそのもののために帰宅して通常の生活を送ることが困難であると判断された場合にも、入院して症状がきちんと落ち着くまで治療を行います。
基本的には「歩いて帰れない場合は入院」と判断するお医者さんが多いようです。
「原因不明のめまい」をどう考える?
めまいが起こって耳鼻科で検査を受けても、「異常ありません」と言われる場合がしばしばあります。このような場合は「原因不明のめまい?」と考えがちですが、実はそうではありません。耳鼻科でのめまいの検査は耳に関連する検査に限られているため、耳以外の原因で起こっているめまいは耳鼻科ではほとんど分からないケースがあるのです。耳鼻科の医師が言う「異常ありません」は「あくまで耳には異常がない」というだけの意味であることがあります。その場合、内科の病気や首や肩、脳の異常やストレス、疲労などによるめまいは正確には判別できないことがよくあります。
耳鼻科で原因がはっきりしない場合でも、めまい止めの薬は処方してもらえます。まずは、耳鼻科で処方された薬をまずは内服し、症状が改善されない場合はもう一度同じ耳鼻科を受診しましょう。その上で内科、脳神経外科、心療内科などの受診が必要か相談し、必要な場合は紹介状を書いてもらう事で、次の受診や検査をスムーズに行うことができます。
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めまいの検査や入院可能性などについてご紹介しました。めまいを感じて、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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