めまいと病気の関係 更年期、メニエール病、脳梗塞、風邪、低血圧、貧血、自律神経失調症などを解説
- 作成:2016/05/19
めまいが起きる病気はたくさんあります。よく知られた、更年期障害や風邪、貧血でも起きますが、脳梗塞のような致命的な病気で起きることがあります。メニエール病や高血圧、低血圧との関係を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は6分です
更年期でめまいが起きる?どんな特徴?
高血圧でめまいが起きる?どんな特徴?
低血圧でめまいが起きる?どんな特徴?
貧血でめまいが起きる?どんな特徴?
メニエール病でめまいが起きる?どんな特徴?
脳梗塞でめまいが起きる?どんな特徴?
風邪でめまいが起きる?どんな特徴?
自律神経失調症でめまいが起きる?どんな特徴?
めまいの原因となるその他の病名と病気の概要
更年期でめまいが起きる?どんな特徴?
更年期障害による症状でめまいが起こる場合があります。更年期障害とは、主に40歳代から60歳くらいまでの女性でホルモンバランスが崩れるために起こる一連の症状をさします。更年期障害ではホルモンバランスの乱れのために様々な症状が起こりますが、めまいも比較的よくみられる症状の一つです。
更年期障害のめまいでは回転性めまい(ぐるぐる回るめまい)、浮動性めまい(フワフワ、クラクラするめまい)、立ちくらみなど様々な種類のめまいが起こります。また更年期のめまいは顔やからだのほてり、のぼせ、発汗などと同時期に起こることが多く、これらの症状がおさまるにつれてめまいも一緒に軽くなることが多いという特徴があります。
更年期になぜめまいが起こるかはまだよく分かっていない点が多く、めまいが起きた時にはまず耳鼻科を受診して検査を受けましょう。めまいを起こすような病気が他にない場合、更年期障害によるめまいと診断されます。
高血圧でめまいが起きる?どんな特徴?
高血圧でめまいが起こると考える方が多くいますが、実は高血圧ではめまいはほとんど起こりません。めまいがする時に血圧を測ると、普段よりも血圧がかなり高い場合があることは事実ですが、これは「高血圧のためにめまいが起こった」のではなく、「めまいがして具合が悪いために血圧が上昇した」と考えることができます。血圧だけが上昇しても実際には体調不良を感じる方はほとんどいません。
低血圧でめまいが起きる?どんな特徴?
逆に、血圧が低下した場合にはめまいの症状が起こることが非常に良くあります。血圧とは、心臓から出た血液を身体全体に運ぶために必要な圧力であり、血圧が下がると、脳をはじめとした臓器に血液が行き渡らなくなってしまいます。身体には血圧を自動的に調節する能力が備わっているため、少し血圧が下がった程度ではあまり影響はありませんが、あまりにも血圧が下がると、脳への血流量が低下して、身体の平衡機能を維持することができなくなり、フラフラする感じのめまいが出現します。低血圧は以下のような場合に起こりやすい特徴もあります。
・たくさん汗をかいた後
・夏に脱水症状を起こしている場合
・血圧の薬を飲んだ後
・飲酒後
・寝不足
低血圧によるめまいでは、重症になると立ちくらみのように目の前が真っ暗になったり、身体全体に力が入りにくくなって倒れてしまう可能性もあります。低血圧でめまいがした場合、安全のためにすぐにその場に座り、症状が落ち着くまで安静にしましょう。
貧血でめまいが起きる?どんな特徴?
貧血でめまいがすることがあります。貧血とは、なんらかの原因により血が薄くなっている状態を指します。もう少し詳しく言うと、血液に含まれる「ヘモグロビン」という成分の濃度が基準値を下回った状態を、医学的に「貧血」と呼んでいます。よく学校の朝礼などでクラクラして倒れたりする場合を「貧血」と考える方が多くいますが、立ちくらみや長時間立っていることによりクラクラする症状が出るケースは、そのほとんどが血圧の異常(一時的な低血圧)であり、医学的に言う「貧血」とは異なります。
「ヘモグロビン」は赤血球に含まれる鉄を含んだ色素で、酸素を身体中に運搬する役割を持っています。貧血では、ヘモグロビンの濃度が低下したために、身体に十分な酸素が行き渡らなくなってしまい、酸欠のような状態となってフラフラ、クラクラするめまいが起こることがあります。また貧血の場合、めまいの他、息切れや慢性的な疲労感、吐き気、眠気などの症状を伴うことが多いことが特徴です。健康診断などで貧血を指摘されたり、子宮筋腫などで月経量が多い方、食事のバランスが偏っている方は、貧血の検査を定期的に受け、必要な場合は治療を行いましょう。
メニエール病でめまいが起きる?どんな特徴?
メニエール病は、耳が原因でめまいを起こす代表的な病気の一つです。耳は医学的には外側から「外耳(がいじ)」「中耳(ちゅうじ)」「内耳(ないじ)」の3つの部分に分けられており、内耳は更に「三半規管(さんはんきかん:身体の平衡感覚を司る部分)」と「蝸牛(かぎゅう:音の聞こえを司る部分)」に分けられます。
三半規管と蝸牛の内部は、リンパ液という液体で満たされていますが、メニエール病では何らかの原因でリンパ液が多くなり、内耳が水ぶくれのような状態(「内リンパ水腫」と言います)になり、内耳の機能が障害されるため、様々な症状が起こります。三半規管の機能である平衡感覚(バランス)が障害されるとめまいの症状となりますが、蝸牛の機能が障害されると、難聴や耳鳴り、耳がつまった感じの症状となって現れるのです。
メニエール病のめまいは「フワフワして雲の上を歩くような感じ」から「グルグル回転する激しいめまい」まで様々な症状が起こります。持続時間は10分から数時間程度であることが多いため、めまいがすぐにおさまる場合は、メニエール病の可能性は低くなります。メニエール病では上記のような難聴、耳鳴り、耳が詰まったような感じを伴うめまいを「繰り返す」ことが診断基準の一つに入っており、一度めまいがあっただけでは診断できません。病院にかかる際は、めまいが繰り返しているかを伝えるのも大事なことです。
脳梗塞でめまいが起きる?どんな特徴?
脳梗塞でめまいが起こる場合があります。脳梗塞のめまいはどちらかというとフラフラ、ふわふわする感じのめまいが多いのですが、中にはグルグル回るようなめまいを起こす場合もあります。めまいが起こった場合に脳梗塞を強く疑うのは、めまいのほかに以下のような症状を伴う場合です。
・身体の一部がしびれる
・手や足に力が入りにくい
・うまく立ちあがったり、真っ直ぐ歩くことができない
・ろれつが回らない
・ものが二重に見える
・なんとなくボーッとして反応が鈍い
上記の症状のうち、一つでも当てはまる場合は脳梗塞の可能性がありますのですぐに病院を受診し検査を受ける必要があります。
【脳梗塞の症状に関する記事】
脳梗塞の前兆(初期症状)とチェック項目 頭痛?発熱?眠気?いびき?周りが気づける「FAST」も解説
風邪でめまいが起きる?どんな特徴?
風邪でもめまいが起こる場合があります。風邪そのものの症状としてめまいが起こる事はあまりありませんが、めまいは脱水やストレスなどで起こりやすい傾向があるため、風邪によってうまく食事がとれなかったり発熱や嘔吐、下痢などによって脱水になっている場合や、具合が悪いことによるストレスでめまいが起こりやすくなると考えられます。
発熱などによる脱水の影響で起こるめまいはフラフラ、クラクラするような感じのめまいがほとんどです。また、立ちくらみのような症状を伴う場合もあります。風邪でこのようなめまいがある場合は水分をしっかりと補給し、症状がおさまるまで安静にして過ごしましょう。また具合が悪いことへのストレスで起こるめまいは様々な症状があり、フラフラ、クラクラするめまいからグルグル回るめまいまで多くのケースがあります。この場合もめまいの症状がおさまるまで安静に過ごし、症状が良くならない場合や、めまい以外他の症状を伴う場合は内科や耳鼻科の外来を受診するようにしましょう。
自律神経失調症でめまいが起きる?どんな特徴?
自律神経失調症でめまいが起こることがあります。自律神経失調症では、めまいの他に全身のだるさ、頭痛、吐き気、下痢、不安感、イライラ、発汗、手足のふるえ、不眠など多彩な症状が現れます。起きている症状を起こす他の身体の病気が見つからないと確認された場合、自律神経失調症と診断されます。
自律神経失調症のめまいはふらつき、フワフワ・クラクラする感じ、立ちくらみのように目の前が真っ暗になる感じ、グルグル回る感じなど様々な症状がみられます。めまいの症状が強い場合は、他の原因で起こるめまいと同様にめまい止めの飲み薬や点滴を行う場合があります。内科や耳鼻科の外来を受診して検査や治療を受けましょう。
めまいの原因となるその他の病名と病気の概要
めまいを起こすことがあるその他の病気には以下のようなものがあります。
・外リンパ瘻(がいりんぱろう)
耳の中耳と内耳の間にある窓(「正円窓(せいえんそう)」「卵円窓(らんえんそう)」の2つがあります)の部分に穴が開き、内耳を満たしているリンパ液が中耳に漏れてしまう状態です。内耳のリンパ液が中耳に漏れることによって内耳の機能が障害されるため、内耳の機能である聞こえや平衡感覚が障害されて難聴、ふらつき、めまいが起こります。他にも、神経の反射により吐き気、嘔吐、気分不良なども現れます。
外リンパ瘻は日常のささいな行為がきっかけとなって起こり、中でもくしゃみ、鼻をかむ行為、咳、嘔吐、きばり、飛行機、ダイビング、高い山へのドライブ、重いものを持つ、頭部打撲などが原因として多いと考えられています。
・前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)
ウイルスによって「前庭神経」という耳の神経が炎症を起こした状態を指します。風邪症状に引き続いて突然のめまいが発症し、しばしば激しい吐き気や嘔吐を伴います。難聴や耳鳴りは起こりません。数日間でめまいは改善し始めますが、回復には数週間から数ヶ月かかることもあります。
・聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)
聴神経腫瘍は前庭神経という耳の神経に発生する良性の腫瘍です。聴神経腫瘍が発生すると片方の耳が聞こえなくなったり、耳鳴り、めまい、ふらつきが現れます。耳が聞こえなくなるのは、突然の場合も、ゆっくり聞こえなくなる場合もあります。良性腫瘍のため、治療はあわてる必要はありませんが、大きさや症状により手術や放射線治療を行う場合があります。
・突発性難聴
内耳全体の障害で、ストレスやウイルス感染などが原因と考えられていますがはっきりしません。難聴が症状の主体となり、突然聴力が低下することが特徴的です。
聴力低下に続いてグルグル回るようなめまいが起こることがあります。治療が遅れると難聴が改善する確率が下がるため、突然難聴の症状が現れたら突発性難聴を疑い、すぐに耳鼻科を受診し検査や治療を受けなければなりません。
・薬物によるめまい
アミノグリコシド系という抗生物質やシスプラチンという抗がん剤、利尿薬などの副作用で難聴、耳鳴り、めまいが起こることがあります。
これらの薬を内服したから必ず難聴や耳鳴り、めまいの症状がおこる訳ではありませんが、一度起こるとなかなか治りにくいケースもあるため注意が必要です。
【めまい関連の他の記事】
めまいの種類と危険性チェック 一瞬、突然、寝起きは危険?続く場合は?病院受診を急ぐべきケースも解説
めまいのセルフケアと予防方法 リハビリ、体操、食べ物に効果?
めまいの診療科、検査、入院可能性、「原因不明」という診断の理由 耳鼻科でも内科でも大丈夫?
めまいの薬の効果と副作用 市販薬、漢方、酔い止めも効く?メスロリン、セファドールとは?点滴を使う場合とは?
耳と首に原因があるめまいとその特徴 三半規管や耳石が問題?
めまいと生理、寝不足、疲れ、ストレスの関係 生理前にも起きる?
めまいと同時に吐き気、頭痛、鼻血など他の15症状!病気?要受診?鼻づまり、冷や汗、眠気、寒気、胃痛、腹痛も解説
めまいとよく知られた病気についてご紹介しました。めまいを感じて、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
関連するQ&A
関連する記事
このトピック・症状に関連する、実際の医師相談事例はこちら
病気・症状名から記事を探す
- あ行
- か行
- さ行
-
- 災害
- 再放送
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん
- 子宮頸がん検診・検査
- 子宮頸がんの症状
- 子宮頸がんのリスク・予防
- 子宮内膜症
- 脂肪肝
- 手術
- 出産後の症状・悩み
- 出産準備・入院
- 食事・授乳・ミルク
- 食欲
- 心臓病
- 自閉症
- 女性
- 自律神経失調症
- 腎炎・腎盂炎
- じんましん(蕁麻疹)
- 膵臓がん
- 睡眠
- 髄膜炎
- 頭痛薬、副作用
- 性器の異常・痛み
- 性器ヘルペス
- 性交痛
- 成長(身長・体重など)
- 性病検査
- 性欲
- 生理痛(生理・月経の痛み)
- 生理と薬(ピルなど)
- 生理不順・遅れ(月経不順)
- 摂食障害
- 切迫早産
- 切迫流産
- セミナー・動画
- 前立腺
- その他
- その他アルコール・薬物依存の悩み
- その他胃の症状・悩み
- その他うつの病気・症状
- その他エイズ・HIVの悩み
- その他肝臓の病気
- その他外傷・怪我・やけどの悩み
- その他心の病気の悩み
- その他子宮頸がんの悩み
- その他子宮体がんの悩み
- その他子宮の病気・症状
- その他出産に関する悩み
- その他腫瘍の悩み
- その他消化器の症状・悩み
- その他腎臓の病気・症状
- その他生理の悩み・症状
- その他臓器の病気・症状
- その他皮膚の病気・症状
- その他卵巣がんの悩み
- その他卵巣の病気
- その他流産の症状・悩み
- た行
- な行
- は行
- ま行
- や行
- ら行
協力医師紹介
アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。
記事・セミナーの協力医師
-
白月 遼 先生
患者目線のクリニック
-
森戸 やすみ 先生
どうかん山こどもクリニック
-
法村 尚子 先生
高松赤十字病院
-
横山 啓太郎 先生
慈恵医大晴海トリトンクリニック
-
堤 多可弘 先生
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷
-
平野井 啓一 先生
株式会社メディカル・マジック・ジャパン、平野井労働衛生コンサルタント事務所
Q&Aの協力医師
内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。