全身麻酔時の導尿カテーテルの意義と術後の食事制限 カテーテルが外れる時期も解説

  • 作成:2016/09/02

全身麻酔では導尿カテーテル、つまり尿を出すカテーテルがさされることになり、術後も一定期間利用する必要性があります。導尿カテーテルの意義や必要な期間を、術後の食事制限の内容を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

全身麻酔時の導尿カテーテルは必須?どうなったら外せる?

全身麻酔では、一般的に手術予定時間が2時間以上の手術で、尿道カテーテルが挿入されて行われます。尿道カテーテルとは、尿道を通して開口部先端を膀胱内に留めおいて、尿を体外に持続的に誘導する、つまり「導尿」する管のことです。管の直径は5mm程度です。チューブ尿道カテーテルによって流出した尿を貯めていくことで、1時間ごとの尿量が測定されます。

比較的長い手術・麻酔中には出血、麻酔薬の影響などで、体内の循環が不安定になりやすくなります。尿量は、第一に体内を循環する血液量の重要な目安となり、輸液・輸血などが尿量に基づいて調節されます。さらに、重要臓器血流(脳、心臓、肝臓などの血流です)の代表として、腎臓を流れる血液量(正式には腎血流量)をモニターしているという意味があります。また、尿糖、尿中ケトン体、尿比重、および尿中電解質などを測定して、糖尿病や腎機能の管理に役立てることができます。

実際には、尿量は目安として、1時間で、体重1キロに対して、「0.5 mlから1.0 ml」が維持されていれば、良好な管理が行われていることになります。体重50 kgの方ですと、1時間当たり25 mlから50 ml程度となります。

短時間の手術(全身麻酔)であれば、術後も尿量を測定する必要がある合併症のある患者さん以外は、尿道カテーテルは必要ありません。ただし、術後に麻酔の影響で、膀胱に尿が貯まり下腹部が張っているのに、尿が出せない場合は、一時的にカテーテルを挿入して導尿してもらえますので心配はいりません。

循環血液量が不足し、血圧などが不安定という理由で時間尿量を監視しなければならない重篤な患者さん以外では、一般に手術の翌日には尿道カテーテルは抜去されることが多いようです。逆に、膀胱内に留置する尿道カテーテルは、挿入後5日目頃から尿路感染症を発症することが多くなるといわれています。したがって、術後は必要以上に長い間、カテーテルを留置しないことが原則となっています。

全身麻酔後の食事 制限がある?いつから食べられる?

一般的に、全身麻酔による手術を受けた当日は、食事は取れなくなっています。水分に関しては、当日中に麻酔から十分に目が覚めてから少量の水で始めますが、気持ち悪くて戻してしまうことも、しばしばあります。すぐに水分摂取ができなくても、麻酔中に点滴で十分な水分を補給されていますから心配はありません。

全身麻酔の場合、麻酔薬や筋弛緩薬の影響で消化管の機能も低下しているため、手術当日は飲水で様子を見ることになり、通常、食事は翌日から開始になります。食事開始前に、腹部聴診による腸の蠕動(ぜんどう;飲食物を一定方向に運ぶ動きです)音やオナラの有無が確認されます。

ただし、消化管の手術では、腸などの吻合部(ふんごうぶ;胃や腸を切り取った後、接合した所)の安静をはかるために、術式によっては、術後7日程度まで禁食となる場合もあります。

食事の内容については、流動食から粥(かゆ)食を経て、普通の食事にしていくのが一般的な順番ですが、手術の内容により変わってきます。消化や吸収を徐々に回復させる必要がない手術、例えばヘルニア、肺の切除、乳房の切除などでは、年齢にもよるでしょうが食事再開時から、普通の食事となることも多いようです。



【麻酔関連の他の記事】


全身麻酔の導尿カテーテルと術後の食事について、ご紹介しました。全趾麻酔に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

病気・症状名から記事を探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師