全身麻酔の費用と薬の種類 メリット、デメリットは?

  • 作成:2016/09/01

全身麻酔は、麻酔の方法によって基本料金があり、そこからさまざまな要素を考慮して、価格が加算されることとなります。薬の種類とメリット・デメリットを含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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全身麻酔の費用の目安

基本的に、麻酔の費用は「麻酔の方法」によって、それぞれ基本料が定められています。基本料の上に、別途の費用および、さまざまな加算があります。

(1)薬剤など;
麻酔にあたって使用された酸素などの医療用ガス、麻酔薬をはじめとする薬剤については別途、費用が加算されます。

(2)麻酔時間;
2時間までが基本(料)とされています。以後は30分ごとに料金は追加されていくようになっています。麻酔料となります。

(3)時間外;
緊急手術のために、「休日や深夜」に行った場合、麻酔料は1.8倍になります。または「診療時間以外の時間帯」に行った場合は、1.4倍になります。

(4)幼児など;
「未熟児(みじゅくじ)および新生児(未熟児を除く)」の場合、麻酔料は3倍となります。「乳児」の場合、1.5倍、「1歳以上3歳未満の幼児」の場合は1.2倍となります。

(5)厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者さん;
重症の心臓病、重症の呼吸不全、重症腎不全など重症度の高い病気が挙げられていて、麻酔前の状態で評価されます。該当する場合、麻酔料は「1.36倍」になります。

(6)麻酔管理料;
国が定める施設基準に適合した医療機関で、麻酔を専門とする医師(正式には麻酔標ぼう医)が、麻酔前後の診察を含めて担当する場合には、全身麻酔では9,000円が加算されます。

さらに、全身麻酔の基本料は、心臓、肺、脳の手術などのように、「侵襲(しんしゅう)の大きな手術」「特殊な麻酔関連技術を要する手術の場合」などの要素があれば、2倍、3倍と高くなっています。

最も費用の高い心臓の手術では、麻酔基本料が183,000円になります。一般的な手術の場合の麻酔基本料は、(3)(4)(5)に該当しなければ、61,000円で、時間延長による30分ごとの加算が、6,000円になっています。

ただ、全趾麻酔が不要な場合もあります。例えば、下腹部の手術では全身麻酔も可能ですが、「脊椎麻酔(正式には脊髄くも膜下麻酔、いわゆる下半身麻酔)でも可能な場合があります。脊椎麻酔の麻酔基本料は、8,500円です。

胸部(肺、食道など)や腹部(胃、肝臓など)を切開する手術では、術後の痛み止めのために「硬膜外麻酔」という局所麻酔を全身麻酔に併用するのが一般的です。胸部の硬膜外麻酔の場合は、15,000円が加算されます。

以上のように、一般的な全身麻酔の場合でも、通常の費用の目安は10万円弱、3割自己負担額では、およそ3万円と考えてよいでしょう。

全身麻酔の薬の種類と、それぞれのメリットとデメリット

全身麻酔で使用される薬としては、主に以下の4つがあります。

(1)吸入麻酔薬
(2)静脈麻酔薬
(3)麻薬性鎮痛薬(まやくせいちんつうやく)
(4)筋弛緩薬(きんしかんやく)

(1)吸入麻酔薬;

吸入麻酔薬は、全身麻酔に必要な4つの要素といわれる「深く眠らせる(意識消失)」、「痛みをなくす」、「筋肉を緩める」、「有害な反射を抑える」の作用を、すべて持っていることが特徴ですただし、筋肉への作用は弱いものです。

また、人工呼吸により呼気から排出させることができ、麻酔薬の濃度(麻酔の深さ)のコントロールがしやすいことが最大のメリットです。

デメリットは、気道への刺激性があること、まれな重症の合併症である「悪性高熱症」を発生させる確率が、静脈麻酔薬などに比べて高いことなどがあります。ただ、気道への刺激性は、現在使われているものは少ないです。

(2)静脈麻酔薬;

「深く眠らせる(意識消失)」作用が強力であることが特徴で、速やかに患者さんを眠らせることができます。メリットは、気道刺激性がないことです。デメリットは、効果が、薬の体内での分布、代謝、排泄に左右され、調節がしにくいことです。

(3)麻薬性鎮痛薬;

「痛みをなくす(鎮痛)」作用が非常に強いことが、最大のメリットです。静脈麻酔薬と同様に、薬物の血液中の濃度(作用の強さ)のコントロールが難しく、副作用として呼吸の抑制があります。

(4)筋弛緩薬(きんしかんやく);

「筋肉を緩(ゆる)める(筋弛緩)」作用が特徴的で、手術、とくに胸や腹を開く術式では、操作が容易になり、安全・確実に行えることがメリットです。術後に作用が残存していると、呼吸の抑制につながるデメリットがあります。



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全身麻酔の費用と薬の種類をご紹介しました。全趾麻酔に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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