全身麻酔の術前検査と術前にタバコがダメなわけ 意義や禁煙期間などを解説
- 作成:2016/09/02
全身麻酔は、確率が低いとはいえトラブルが起きることもありますし、死亡することが全くないわけではありません。そのために必要となるのが、術前の検査です。どのような意味があるのかを、術前にタバコがだめな理由を含めて、専門医師の監修記事でわかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
全身麻酔の術前検査とはどんなもの?なぜ必要?
全身麻酔を受ける前に、一般的に①血液検査、②心電図検査、③胸部X線撮影、④呼吸機能検査などが必要になります。
①血液検査;
主なものには、「血液型」、「肝炎ウイルス抗体など感染症」、「血算(赤血球数、ヘモグロビン量、血小板数など)」、「凝固系検査」、「生化学検査」などがあります。 輸血の予定があれば、同じ血液型でも、輸血のトラブルを防ぐために「不規則抗体」というもの調べます。
血算により、貧血の有無などをみますが、高度の貧血は全身麻酔中に、酸素の運搬能の低下から重大な問題を引き起こします。
血小板や凝固系(血を固める機能)の異常により出血傾向があれば、硬膜外麻酔(術後の痛みどめのための)の併用は選択できません。
生化学検査では、肝機能、腎機能、血糖値の異常を確認します。それぞれの異常により、使用する麻酔薬の種類や量の適否が考慮されます。
②心電図検査;
心電図の異常により心臓の病気の病歴や存在を明らかにし、ます。必要であれば、さらに詳しい検査(心エコー検査など)で心臓の状態を調べておきます。
③胸部X線撮影;
心臓や肺の状態を評価します。状態によっては、詳しい検査を追加しておきます。
③呼吸機能検査;
呼吸機能は全身への酸素供給に関係し、全身麻酔では重要な情報になります。術前に高度の機能低下がある場合、麻酔中の問題だけでなく、術後の人工呼吸による呼吸管理の準備も進めなければなりません。
以上のように、患者さんの術前状態を知ることなく、全身麻酔をすることは、大きな危険が伴うことになりますので、術前検査が大切であることは言うまでもありません。
全身麻酔前になぜタバコはいけない?いつから吸えない?吸った際のリスクは?
術前にタバコを吸っている方は、術後に肺炎をはじめとする多くの呼吸器の合併症、また術中・術後に心筋虚血(しんきんきょけつ;進むと心筋梗塞になる危険性があります)など心血管系の合併症のリスクを高めることがしられています。
喫煙による呼吸機能の低下の主体である閉塞性の障害を回復には、比較的長期(4週から8週)の禁煙を必要とする報告があります。
一方、心血管系に関しては、原因とされるニコチンやCO(一酸化炭素)の血中からの消失が速いため、短期(24時間程度)の禁煙でもリスクを減らすことが可能とされています。
最近、カナダから発表された「メタアナリシス(過去の複数のデータのを総合的に解析し、信頼性の高い結果が出る研究)」の結果では、全身麻酔前の禁煙期間が1週間長くなると、術後合併症が約20%減少するとされています。手術が決まったらできるだけ早く禁煙を達成させることが大切といわれています。
喫煙による術後のリスクは、上記の呼吸器感染症、心筋虚血以外にもあります。比較的よくみられるものは、手術の創部(そうぶ;切開した傷)の感染や痛みの増加、術後に人工呼吸が必要になる可能性が高まることなどがあります。
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全身麻酔の術前検査と、タバコがだめな理由をご紹介しました。全趾麻酔に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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