子供の全身麻酔の方法とリスク 年齢ごとに違う?なぜ必要?
- 作成:2016/09/02
子供の場合でも、全身麻酔が選択される可能性があります。どのような時に選択されるのかや、方法、リスクを含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
子供の全身麻酔の方法
手術や検査を受ける子供さんの御両親から、「全身麻酔は恐いので」とか「局部麻酔でできませんか?」という質問が良く聞かれます。 確かに大人の手術や検査では、局部の痛みをとるだけで十分なことも多いのですが、子供さんの場合には痛みがなければ、じっとがまんできるというものでもありません。単に痛みをとるばかりでなく、子供さんに余計な不安や恐れを与えないために、むしろ全身麻酔が必要となる場合が多く、その役割は非常に大きくなっています。また、子供さんの全身状態を最善に保つ様々な処置も、全身麻酔には含まれています。
満15歳までの小児を対象とした麻酔は「小児麻酔」とよばれ、麻酔の中でも細分化された専門分野の1つです。年齢に応じて、以下のように分類されます。
・新生児麻酔(出生直後から生後4週)
・乳児麻酔(生後4週から1歳)
・幼児麻酔(1歳から6歳)
・年長児麻酔(6歳以上)
全身麻酔は新生児、乳児を含め、それぞれの年齢層で実施が可能になっています。また、出生時体重2,500 g以下の新生児は未熟児とよばれますが、未熟児に対する全身麻酔も今では安全な方法で行われています。
一般的な小児麻酔、とくに6歳以下の年少児の全身麻酔では、麻酔前に静脈に点滴が確保されていないことが普通です。注射の痛みや恐怖を感じさせないために、甘い香りをつけたマスクでガス(吸入麻酔薬)と酸素を吸ってもらい、徐々に全身麻酔をかけていく方法(専門的には「緩徐導入(かんじょどうにゅう)法」)が行われ、十分に麻酔がかかった状態となった時点でm静脈に点滴ルートなどが確保されます。
短時間の体表面の手術(ソケイヘルニア<でべそ>など)であれば、マスクによって呼吸を補助しながら手術は可能となります。気管内挿管が必要となる手術の場合には、点滴より筋弛緩薬を投与した後に気管にチューブが挿管され、調節呼吸(自発呼吸がないときに実施)の下に手術は開始されます。
子供の全身麻酔のリスク
日本で最初の小児医療専門施設の(旧)国立小児病院の麻酔科によると、開設以来35年間、述べ8万症例を超す子供さんが全身麻酔を受けてきましたが、幸い全身麻酔による事故死は全くないということです。
麻酔専門の医師がいて麻酔による大きな事故が今までに無かったからといって、全身麻酔に危険性が全くないとはもちろん言い切れません。風邪をひくなど感染症が潜んでいたり、アレルギー体質があったり、その時々の状態によっては麻酔が子供さんに与える影響が大きく、危険な状態に陥ってしまったり、入院が長びく可能性が十分にあります。麻酔をかける前には十分な診察や検査をして、子供さんの全身状態を詳細に知る必要があります。
したがって、お母さんをはじめ家族の方には、日頃より知り尽くしている子供さんの特徴をなるべくたくさん、どんな些細なことでも教えていただくことになります。お母さん、お父さん、そして時には親類の方々の以前の麻酔や手術の事を話していただくことも大切な情報となります。
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子供の全身麻酔について、ご紹介しました。全趾麻酔に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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